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6.襲撃1

 ふわふわと千穂は浮いていた。


『あなたのお父様って、何をなさってるの?』


そうあかりちゃんは二階堂にいてたな。二階堂はお父さんのことはよく知らないって言ってた。やっぱり社長さんだと忙しいのかな。ふわふわと考える。


『じゃあ、聞き方変える。どうしてあんたは俺にこれだけ突っかかってくるのに、高野原には何も聞かないの?』


二階堂も訊きかえしてた。私のことは気にならないのかって。あかりちゃん、気にしてるみたいだったな。あとからいつものあかりちゃんに戻ってたけど、やっぱりまだ気にされてるのかな。ふわふわ、ふわふわ。


『もうよくない?』


優実ちゃんかっこよかったな。すごく助かった。あんなに頼りになるなんて知らなかった。


『俺は、どうやら見えるタイプらしいというのが前提』


二階堂見えるって話しちゃってた。二人とも信じたのかな。信じないかな、やっぱり。


―ああ、怖いな。もう少しで誕生日だ。


『高野原さんが要るって言うなら、別に守ってもいいよ?』

『じゃあ、決まり』


そう笑った二階堂の顔は、少し意地悪だった。ああでも―


―守ってくれるの?


私のことを。


―貴ちゃんはいなくなっちゃったの

―守ってくれる人がいなくなっちゃったの

―ねえ、二階堂、黄金の剣で、私を守ってくれる?


 ふわふわ、ふわふわ。なんだかんだ、今日もいい1日だったのかもしれない。ちょっと怖かったけど、不安なこともあるけど。でも


―守ってくれるんでしょう?


 視界が黒く染まる。大きな黒い影が千穂を飲み込もうと大きく口を開いていた。それは、とても怖い光景なのに、でも千穂は悲鳴を上げなかった。金色の閃光が走る。それに真っ二つにされて黒い影は消えてしまった。


―ほら、もう大丈夫だ。


 千穂は無意識に、にんまりとほほ笑んだ。



「ああ、よくない」


のっそりと男は起き上がった。ふらふらと窓に歩み寄り、カーテンを開ける。外は晴れていた。しかし、夜には雨が降ると昨夜の予報が言っていたことを思い出す。そして、またも夢を思い出す。


「よくない」


ぎりっと立てた爪がガラスに音を立てたけれど、男は気にしない。


「あれと一緒にいるのは都合が悪い」


そうだ、二人でいるのがいけない。誕生日の日まで、いや、そのあともずっと、会わなければいいのだ。そうすれば


「剣だって奪われないだろう?」


男は笑った。


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