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  異変2

 千穂は、むすっとした顔で登校してきた。その表情でさえ優実はおかしくてならないらしい。

「何?どうしたの?予習終わらなかったの??」

笑いをこらえるため歪んだ顔で尋ねてくる。


「違う」

千穂は首を横に振る。

「じゃあ、どうしたの?」

あかりが優しく首をかしげる。千穂はうーとうなった。何と説明すればいいだろう。何を言い訳にすればいいだろう。何かいい案はないだろうか。


「-気分!」


千穂はそう結論付けた。そう、自分はそういう気分なのだ。何となくふさいで、何となく不機嫌な、そんな気分なのだ。


「あら」

あかりは困ったわねと、頬に手を当てる。

「そういうこともあるよねー」

寝坊して朝ごはん足りない時とかーと、千穂にはない例をあげ優実は納得したようだった。


「まあ、ふくれっ面も可愛い女の子の特権よね」

不機嫌を顔に出しちゃうのは。と、最後にあかりも笑った。

「優実は朝ごはんが足りないと不機嫌になるの?」

「エネルギー足りないとねー、心の余裕もなくなるよねー」

あかりは?と優実はあかりに返す。

「そうねー、私だったら、髪とかお肌のお手入れにうまく時間がさけてないって思うとダメかしら」


くるくると柔らかい髪を指に巻きつける。それを見ながら優実はうんと頷いた。

「あかりは、確かによく手入れされてるなって、見てて思う。」

全部が。と優実は何度も力強く頷いて見せる。それがおかしくて、あかりはふふふと笑った。


「-お手入れって、どうやるの?」

リンス付ければいいってもんじゃないの?と千穂はあかりの髪に手を伸ばしながら尋ねる。

「リンスだけの時もあれば、パックすることもあるし、流さないトリートメントを乾かす前に付けることもあるし」

その時の触った感じとかで決めるのよ。とあかりは一番高度な答えを返してきた。


「難しいよー」

千穂は机に伏してしまった。

「だから私は年中ショート~」

「ショートヘアーだからお手入れが要らないってわけじゃないでしょう?」

今度はあかりが優実の髪に手を伸ばした。

「傷んだと思ったら切る」

「まあ、それはありよね」

きれいなところだけを残せばいいのだものね。とあかりは真面目な顔で優実の髪を検分する。


「気が向いたら頑張るよ~」

どこかの啓太を思い出させるセリフを口にして優実は笑った。その時は千穂も一緒に買い物行こうね、となぜか誘われて千穂は頷いた。

「私も気が向いてたら」

「そうよね、自分ばっかりの時に人を突き合わせるのってなかなか横暴よね」

くすくすとあかりは笑った。手は優実の髪から離れている。


 ホームルーム開始を告げるチャイムが鳴る。しかし、斉藤はまだ来ない。会議でも長引いているのだろうか。と、斉藤の心配をしていると隣の席がカタリと鳴った。そうだ、自分の今日の目的はこの隣人から話を聞き出すことであったと千穂は現実に引き戻される。


「遅刻ですよ?」


優実が果敢に挑む。にやにやと笑う優実を一瞥してから二階堂は座った。

「先生来てないからセーフ」

「あら、優実と気が合うんじゃない?」

この前同じこと言ってたわとあかりは優実の頬をつついた。

「じゃあセーフだね!」

遅刻じゃないわ!と優実はぐっと親指を立ててみせる。そのやり取りを二階堂は呆れたように見つめていた。


「疲れてる?」

「うーん、少しは??」

千穂はじっと見つめる横顔に疲労を見て問いかけた。

「あら、クラスの男子に連れまわされちゃった?」

「部活、どこも人足りないって言ってるもんね」

「-そうだね」

うんと二階堂は頷いた。


そうか、部活をあれこれ強引に紹介されたのかと千穂は小さく頷いた。

「そのあと帰してもらえた?部屋まで押しかけられたりしたんじゃない?」

「そうだね、あんなに人が来たのは初めて」

人であふれた自室を思い出したのか二階堂は頭を押さえた。

「なんか大変そう」

「大変だった」

片付けが。と二階堂はため息をつく。背もたれにぐったりともたれる。視線が再び千穂たちのほうにむけられる。


「でも、一番きつかったのは」

「まだあるの??」

わーと優実が感心したように声を上げた。

「パソコンの調子が悪かったこと」


「「パソコン???」」


「それは不便ね」

なぜパソコン?と頭の周りにクエスチョンマークを飛ばす千穂と優実に対して、あかりは分かるわと頷いた。

「あれって、なかなかうざったいのよね」

「夜10時に一回バグって、日付代わってからもう一回」

「あら、そんな夜中までパソコンを開いていたの?」

健康と美容に悪くてよ?とあかりはからかうように笑う。

「あかりは日付が変わる前に寝る派だもんね」

私は2時までには頑張る派。と優実は付け足す。


「それは頑張ってるねー」

深夜2時となれば千穂の敵がうろうろしている時間帯だ。寝て過ごすに限る。

「まあ、もういいけど」

大体分かってるし。と二階堂はそう話を終わらせた。それと同時に斉藤が手をぱんぱんと鳴らしながら教室に入ってきた。


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