別行動
「担イシ者タチ」第六話です。
よろしくお願いします。
雨が完全に止み、少し晴れ間が見えてきた午後二時ごろ、一人の少年と三人の少女の心の中はまだ晴れてはいなかった。
副都心。東京23区と呼ばれる地域の中心部に近い場所。一般に杉並区と呼ばれる地区。
少年と少女はその地区の東側にいた。
「だいぶ逃げてきたけど……僕ら、がむしゃらに逃げ回っているだけで、目的地があるわけじゃないんだよね……。このままだったら、いつか追いつかれるのは確実だ。どこか隠れられる場所を見つけるか、最悪の場合隠れられる場所を見つけられなかったとしても食料と水を確保しないと捕まる以前に飢え死にする。何か食べ物を探さないと……」
「そうだね。でも、いったん落ち着いて現在地の把握をした方がいい気がする」
ハツキと鈴が冷静にこれから何をすべきかを割り出していく。
「うう……難しい話は苦手だよ……。とりあえず、今一番やらなきゃいけないことをすればいいんだよね」
祈が自分なりに今の話の内容を要約した。
「そうだね……。よし、じゃあ、二手に分かれよう。戦える人と戦えない人で二人一組にして動くことにしよう」
ハツキが少し危険な提案をする。
「確かに、危険は大きいけど、時間がかかればその分奴らに動かれる危険も高くなる……。早く作業を終わらせた方がいいってことだね」
鈴がハツキの提案に同意した。
「じゃあ、チーム分けはどうしますか? 私とお兄ちゃんか、もしくは鈴さんか、ですよね」
梓が二通りあるチームの分けかたを両方提示した。
「「!」」
祈と鈴が同時にビクンッという効果音が聞こえてきそうなほど過剰に反応した。
次の瞬間、祈がかなり焦っているような様子で口を開いた。
「えっと、や、やっぱり、ここは絆っていうのが優先されると思うのよね! だからここはやっぱり二歳の時からずっと一緒に過ごしてきた私とハツキが一緒に行動するべきだと思うの! うん、そうした方がいい!」
祈がそう言うと、反抗するように鈴が口を開いた。
「は、はい!? き、絆が重要なら、ハツキと梓が兄妹同士なんだからその二人で行けばいいと思うなあ!」
(私とハツキが一緒に行動できないなら、祈を牽制するのが一番いい! あいつは危険! ハツキに何をしでかすかわからない!)
鈴がそんなことを思いながら祈の意見に反抗していると、
「絆が重要っていうんだったら、祈ちゃんと鈴ちゃんは3歳から今までずっと一緒だったじゃないですか。お兄ちゃんがいなかった時もずっと」
梓がそう言うと鈴が、勝った……、というような顔をし、祈が、負けた……、というような顔をした。
「決まりだね。僕と梓、祈と鈴で行こう。じゃあ、とりあえず僕と梓はどこかで食料を買ってくる。ついでに、隠れられる場所も探しておく。祈と鈴は今僕らがいるところの確認と情報収集、後、できたら二人も隠れられる場所も探しておいて」
「了解。って、ハツキと梓ちゃん、お金持ってるの?」
鈴が首を曲げて聞いた。
「それに関しては、ちょっと秘策があるんだ」
「合法だよね?」
祈が俗に言うジト目でハツキの方を見て聞いた。
「当たり前だろ!」
少し焦った様子でハツキが祈の問いに答えた。
「じゃあ、みんな携帯もってるし、何かあったら連絡してくれ。また三時にここに集まろう」
「「「了解」」」
ハツキが連絡の方法を提示し、他の三人が頷いたところで、四人は交差点を左右に分かれて別行動を開始した。
読んでくださり、ありがとうございます。
なんだか最近、あまりいい話が書けないです。同時に投稿しているほか作品も最初と比べて面白さとPVが激減しているように感じます笑
そして最近なんだか変な感想、(一言)が送られてきたのです。僕みたいなあまり人気のない小説家につけこもうというものでしょうか。
そして最近コアラのマーチの食感が変わったような気がします(関係ねー笑)。
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