表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
川ノ内学園薬剤調合研究部  作者: 悠夕
第一章『憂一神』
1/3

プロローグ

 春がきた。かれこれ『学校』というものに通い始めてからちょうど十回目の春だが、毎度毎度心が躍る。いいじゃない、春だもの。

 桜を見ながら茶を飲むだなんてそんな雅な人間じゃないけど、桜を眺めながら自販機で購入した〝選ばれたアレ〟を口に含んだ。瞬間

「おーい三条(さんじょう)ー!!」

 背中を走る衝撃とともに綾○は桜の木の栄養分と化した。

「おいコラスポーツバカ。脳筋。急に背後から話しかけんなってしょっちゅう言ってんだろ。ついでに人が飲み物飲んでる時に背中を強く叩くなとも言ってるハズなんだけど!!」

「わーりぃわーりぃ。俺豚頭(ぶたあたま)だからさ」

「……それトリ頭と間違えてる?食用の肉って辺りしかかすってないぞ?えぇ?!」

 口元にベッタリと付着したお茶を袖で(ぬぐ)いつつ、真後ろの脳筋馬鹿を睨みつける。まだ春だってのにブレザーを押入れの肥やしにし、ワイシャツ一枚(しかも袖をまくっている始末)の褐色系バカは名取(なとり) 輝男(てるお)。一年中肌が黒い馬鹿である。

 ……もう何回バカって言っただろうか。かれこれ中学一年生の頃から────だから四年目の付き合いになるが、こいつの馬鹿さ加減にはいまだに本気でイラつくことがある。

 でもこいつと縁を切れないのは、まぁいろいろ理由があるのだが。

「んで何の用だよトリ頭」

「なんだとてめぇ馬鹿にしてんのか!?」

「さっき自分で言ったんだろ?!あぁもう話が前に進まない!!」

 割と本気でキレだした名取のせいで頭痛が痛い。呼吸を整えてお茶を一口飲み下し、ゆっくりと言葉を紡いでやる。馬鹿(ゴリラ)相手に会話のキャッチボールをするんなら、慎重にやらなくちゃいけない。向こうが投げた剛速球で殺されかねないから。うん。

「俺の優雅な放課後を邪魔したんだ。なんか用があって話しかけたんだろ?どうしたんだよ」

「おーそうだった。三条さ、お前もう部活決めたか?」

 ……部活、部活か。

 この学校、川ノ内学園(せんのだいがくえん)は校長が金を食って育ったんじゃねーかと思うほどの金持ちであり、持て余していただだっ広い土地を使って学校を建てたもんだからかなりデカい。

 しかも毎年定員割れを起こし、結構な人数の生徒を迎え入れてるもんだから顔を覚えるのも一苦労。金が腐るほどあり、しかも人も多すぎるほどにいれば部活も大量にできるわけで。

 バスケ部やサッカー部、野球部だけでも三つ。その他アニメ研究部やラノべ研究部、漫画研究部にアニメ映画研究部など『それ一つにしちゃアカンの?』と訊きたくなるような無駄な部活もズラリと。正直、どれに入ればいいのかわからん。なんか帰宅部も二つくらいあったけど何が違うんだろう。

「別に。まだ決まってないけど」

「じゃあ野球部に入ろうぜ!!」

 真っ黒い肌とは対照的な、真っ白い歯を見せつけるように微笑むゴリラ。なんかもう松〇修〇の生まれ変わりなんじゃねーかと最近薄々思い始めた。まだあの人死んじゃいないけどさ。

「いやさ。俺に野球をやれと?この非力野郎に?」

「そうだな、三条はもやしであった……」

 ぶっ殺してやろうかコイツ。

 まぁでも名取にも名取なりに理由があるようで、頭をぼりぼりと掻き毟ると憂鬱げに地面とにらめっこを始めてしまった。

「まーなんだ、三条みたいになかなか親しい仲が居れば安心だと思ったんだけども。仕方ない」

「あー………」

 不覚にも、少し申し訳ないと思ってしまった。

 確かに俺たちはつい数日前に入学してきたばかりで、この人数なら知ってるヤツより知らないヤツの方が多いくらいだ。そら馬鹿でも馬鹿なりに心配なことはあるだろう。

「めんどくさい先輩の押し付け先がなくなってしまった」

「やっぱりこのゴリラ殺す」

 同情なんかするんじゃなかった!!馬鹿なくせに変なとこで賢いんだからコイツ!!!


 ◇◆◇◆


 さてまぁ。鬱陶しい名取(アホ)を振り切って校舎内。校舎と言っても、文化部の部室が集まっている『部室棟』と呼ばれる校舎だ。

 階段の向こうからは吹奏楽部の演奏が聴こえ、すぐ近くの教室からはアニメの音声が漏れ出し、なんかもう特徴的って言葉じゃ収まりきらない現状。なんだろうねこれ。普通に音楽単体だったら嬉しかったよ。

 アニメの音と吹奏楽という謎の大合唱から逃れるべく、校舎の奥へと進んでいく。

 途端、空き教室が目立つようになり、あんなに聞こえていた楽器の音色も小さくなっていった。

「……なんだろ、この匂い。薬?」

 音色が小さくなるにつれ、何かの匂いが漂ってくる。

 匂いの元はどうやら校舎の一番端っこの教室で、周りが空き教室ばかりの中その教室だけ何かの部活が使っているようだった。半ば匂いにつられるように、歩みを進めていく。

「……薬剤調合研究部?」

 引き戸の目の前まで来るとそう書かれた張り紙。赤文字で『部員募集!!』なんて書かれてるのにこんな場所にあったら新入生はなかなか来ないだろうに。

 ちょっとした気まぐれだった。俺の手は知らないうちに引き戸に伸びていて、ゆっくりと開けていく。

 日差しが思いっきり直撃し、思わず目を細める。一段と強くなる薬の匂い。

 ────そんな中、彼女は立っていた。

「あ、え、えっと………」

 それなりに美人な顔。腰のあたりまで伸びる黒髪と、少し年期が入った白衣が特徴的な女の子。胸元のリボンの色は俺の学年カラーとは違う。たぶん一つ上の先輩だ。

 その先輩はしばらく視線をあちこちに泳がせた後、呼吸を整え言った。

「いらっしゃい。ようこそ薬剤調合研究部へ」

 と。

なんで連載にしたんだろう。薬剤調合の知識なんてないのに……とりあえず薬の匂いがする可愛い先輩といちゃいちゃする話が書きたかったんですごめんなさい許してください。薬剤調合研究部って表現もおかしくないか五分近く頭を抱えた結果なんですひぃぃ……

まぁビビッててもかけないんで頑張ります。少しだけ続きます。たぶん三話くらいで完結すると思います。温かい目で見守ってくださいね。一応『薬』をメインにするんじゃなく恋愛というか人間関係をメインにしていきます、とだけ。


念のため言っておこう。


短 編 に し て お け ば よ か っ た と !

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ