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不死賢者の迷宮  作者: 漆之黒褐
第参章 『迷宮創世』
71/115

第67話 昇級と進化

 迷宮が灼熱地獄へと変わったあの日から、約一月が過ぎた。


 予想通りに外界へと旅立っていった子鬼(ゴブリン)腐った死体(アドルゾンビ)などのD級魔者達。

 第二のXデーの始まり。

 きっと彼等は二度と俺の迷宮には帰ってこないだろう。


 ――そう思っていたのだが、予想外にもゴブリンだけがまた迷宮へと戻ってきた。

 しかも、旅先で捕らえた者達を連れて。



「それはきっと繁殖奴隷用に捕らえた女性達だと思います」



 そう答えてくれたのはティナシィカ。

 この迷宮の情報を与えた者達の中で、飴を与えていた者達はなかなかに友好的な態度を取り始めているといった結果が少しずつ現れ始めていた一人。

 その中で特にティナシィカはこれといって言葉を飾る事もなく、率直な意見や情報を聞かせてくれている。

 元々感情が希薄だったのが最近では諦めの境地を越えて機械的な反応にもなっている気がしないでもないが、扱いやすさではルリアルヴァの中でダントツ一位。


 ただ問題点としては、飴を与えている筈なのにティナシィカにとってそれは鞭にも等しく感じている様な気がする事だろう。

 今もこうして毎日の湯浴みを要望したティナシィカは湯船で汗を流しているというのに、あまり喜んでいる様子はない。

 まぁそれも暫くすれば、鳴いて喜ぶようになる訳だが。


 それはそれとして、まさか弱者として名高いゴブリンが最近何かとそこそこの実力者達が見え始めている迷宮の周囲で、人間狩りに成功して戦利品を手に入れて戻ってくるとは流石に思わなかった。

 未だに牙の衰えない赤髪ポニーと、最近ではその赤髪ポニーを一緒に弄り始めた金髪ショートからの情報では、迷宮の周囲には小さな村が二つあるだけ。

 それより他の村や町に行くには徒歩の旅だと森を越えるにしても山を越えるにしても最低三日は掛かるとの事。

 近くにある二つの村にしても、最初のXデーでほぼ村人は全滅。

 故にその村に残っている者もいない筈との事なので、普通に考えればたった二日でゴブリン達が狩りを終えて、しかも戦利品まで手にして帰ってくる事はまずない。


 となると、赤髪ポニーと金髪ショートが外界の情報を手に入れる事が出来なくなったあの日から今日に至るまでの間に、迷宮の周囲で何かがあったという事なのだろう。



「私達を捕らえようとした奴隷商の一団が、まだ近くにいるのではないでしょうか?」

「かもしれないな。もしかすると、捕らえられた御前達の仲間もまだいるかもしれない」

「いえ、それはないでしょう。本当に私達の仲間が捕らえられたのだとすれば、すぐにでも大きな街へと連れて行かれ、王族や貴族、大商人に売り払われると思います」

「御前達は至高の宝と言っても過言ではないからな」

「はい」



 それがいったいどういう意味での宝なのか理解しているにも関わらず、ティナシィカは全く迷わずに返事する。

 エルフは長命で、しかも全員が美男美女。

 奴隷として手に入るならば、誰もがこぞって手に入れようとするだろう。


 ただ勿論、その事は公にはされない。

 どうもこの世界には多種多様な種族で入り乱れているらしく、奴隷制度は多くの国で当たり前の様に認められているとはいっても、平然と人攫いをして許される訳では決してない。

 野良エルフを見かけて捕まえてもそれはれっきとした大罪として扱われ、他の種族が襲われた時と同様に国によって犯罪者として扱われ、救出依頼/犯人討伐依頼が発生し、追われる事となる。

 だからといって価値の高いエルフが狙われる事が少ない訳でもないが。


 但し、やはり抜け道は存在するし、捕獲しても問題の発生しにくい場合も存在する。

 その例が、ルリアルヴァの様に外界と極力接触を持っていない一族。

 彼等はそもそも交流がないため、捕らえられてもまず誰にも気付かれない。

 勿論、一族の者達は仲間が捕らえられれば気が付く。

 しかし、大抵の場合が捕らえられた者の自己責任とされ、捕らえられた仲間を解放しようとする動きはあまりしなかった。

 基本的に自己保身が強いため更なる被害を恐れて、より殻に閉じこもってしまう傾向の方が強いのだとか。


 故に、捕らえる側にとってそういう一族は、恒久的なリスクがなく手間は掛かるが非常に美味しい相手となる。

 隠れエルフの一族ならば尚の事。

 ルリアルヴァもそうだが、一度汚してしまえば一族としてすら見なされなくなる。

 周囲にも認知されていない者達ならば、一網打尽にしても問題なし。


 エルフの一族が引き籠もろうとするのは、実はそんな諸事情も含まれているのかもしれない。



「奴隷商の一団がまだ近くにいるとすれば、その理由は何だろうな」

「森の外に出た私達の仲間をまだ狙っているのかもしれません」

「森に残ったルリアルヴァの民が、森の外に出てくる可能性は?」

「まずありません。というのも、森に残った者達だけではこの世界との間に道を繋げる事は出来ないと思います。それが可能な方達は皆、森の外に出されましたので」

「カチューシャの命令でか?」

「いえ。今回の様な大規模な遠征の場合には、森に残された者達が勝手に森の外に出てしまわないように、力なき者達だけを森に残す決まりになっています」

「一族の全滅だけは避けるためにか」

「はい。今回、森に残された者達を見る限り、後50年は外の世界に出る事は叶わないでしょう」



 引きこもり歴50年が確定か。

 長寿と永遠の若さを約束された種族ならではの人生設計はスケールがまるで違う。

 それだけの時間が過ぎ去れば、伝説になったり忘れ去られるのも当然か。



「ティナシィカは森の外に出た事はあるのか?」

「今回が初めてです。ほとんどの者が私と同じで初めての訪問(ヽヽ)となります」

「怖くはなかったのか?」

「皆が一緒でしたので、それほど怖いとは思いませんでした。ただ、もうあの森には帰れないという覚悟もしていましたので、不安でいっぱいでしたが」

「ん? フォーチュラを助け出した後は森に戻る予定じゃなかったのか?」

「勿論そのつもりでした。ですが村の教えでは、森の外に出たら二度と帰って来れない覚悟をしろ、そして外の世界でどれほど苦しい目にあう様な事となろうとも決して絶望せずそれを第二の人生として楽しめるように努力しろ、と言われ続けてましたので」

「……」



 ――それはつまり、奴隷として捕らえられた後の事を暗示しているのだろう。

 そんな教えをいったい誰が作ったのかは分からないが、きっとその者は実際に自身の目で見て自ら体験した事を踏まえ、せめて今後同じ境遇に陥った者達がただ苦しみ続けるだけの人生を送ってしまわないようにその教えを説いたのかもしれない。



「ゼイオン様。私はもう、本当に森に戻る事は出来ないのですか?」

「……ああ、そうだな。レビスが張っている結界のせいで、この空間から出ようとすると肉体から魂が剥がされる仕組みになっているらしい」

「試されたのですか?」

「望んで試した訳ではないが、不幸にもこの空間から逃げようとした者が一人、犠牲となった。この牢屋から出た瞬間、肉体から魂が強制的に剥がされ一度死亡した」

「……一度?」

「ああ。すぐに魂を身体に戻して蘇生させる事には成功した。一応、その者はまだこの牢屋の中で生きてはいる。但し心は壊れてしまい、ほとんど獣と変わらない状態になっているがな」

「そうですか……」



 ペットな幼女の症状は何ら改善していない。

 未だあの頃のまま。

 言葉を教え様ともしてみたりもしたが、成果はなし。



「それとな。一応、御前達の中では一番力の強いターチェユに、その結界を見てもらった事がある」

「……」



 生死不明である筈のターチェユの情報を初めて伝えたにも関わらず、しかしティナシィカは何ら反応を示さなかった。

 むしろ認識出来ていない様にも思える程の無反応。

 その事が少し気になったが、とりあえず話を続ける。



「結論から言えば、あまりにも強すぎて手に負えないらしい」

「……」

「カチューシャにも見てもらったが、顔を青くしていたな。不死賢者レビスという名前は聞いた事はないが、それが最低でもいったいどれだけの化け物なのか理解したと言っていた」



 というのは勿論、嘘である。

 カチューシャには一切の情報は与えていない。

 故に、あの境界線も見せていない。

 見せたのはターチェユのみ。

 勿論、念のため赤ん坊のフォーチュラを人質に取った上での事。



「やはり、私にはもうここで第二の人生を送る未来しかないのですね」

「奴隷商に捕まったならばまだいつの日にか逃げ出せる可能性はあっただろうがな。残念ながら、ここを預かっている俺にはその問題はどうする事も出来ない」



 カチューシャには反応した。

 ならばターチェユの事に反応しないのは、それほど彼女達の業が深いのか、それとも大樹カーランの加護というものが何か認識阻害などの力を働かせているのか。

 同じ部屋にいる場合にはどうしても認識せざるをえないが、こうして離してみるとその症状がより大きく出てくるのかもしれない。


 そういえば、カチューシャもターチェユの事を全然気にしなくなってきたのを思い出す。

 あれは例の真名問題の失敗を犯してしまった俺に対する反応ではなく、愛する者を認識する事が出来なくなったが故の辻褄合わせみたいなものなのかもしれない。


 一月もかけてようやくそんな身近な問題に気が付くとは、少し日々のお遊びが過ぎたかな。

 ……まぁ、楽しいのだから仕方がないといえば仕方がないのだが。


 その後は、いつものようにティナシィカと濃密な一時を過ごす。

 少し吹っ切れたのか、いつもよりも鳴き声に喜びの感情が籠もっていた。


 力尽きた彼女をイリアに任せて、迷宮の様子を見るために部屋へと戻る。

 扉というよりも、隙間を塞いでいるだけの様にも思える無駄にカジュアルな板を元の位置へと戻し、急ごしらえの錠前を施錠。

 ついでに(かんぬき)を掛けて、誰もこの部屋に入ってこれない様にする。

 面倒ではあるが、いつ彼女達があの牢屋を抜け出す方法を見つけ、この部屋へとなだれ込んでくるか分からないため、念には念を。


 特にあのルリアルヴァの美女達は誰一人として失いたくはない。

 この生きていて欲しいという願望も、《欲望解放》の呪いによって解放されている欲望の一つなのだろうか。

 もしそうであるならば、この呪いがなければ俺は彼女達を平然と死に追い込んでいたという可能性もあったという事になる。

 確実に死が約束されそうな拷問器具もここには多く揃っているため、この異常な世界に身をおいていつまでも平然としていられる自信はない。

 そういう意味では、俺には嗜虐的な嗜好はなく、健全な精神の持ち主だったという事なのだろう。


 いつも通り、小五月蠅い羽虫共が頭の上でやんちゃを働くのを若干無視しつつ、迷宮画面を確認する。


 迷宮外への大遠征を終え、捕虜を連れて無事に迷宮内へと帰還したゴブリン達は、迷宮中間点よりやや手前、骨戦士(ボーンソルジャー)が沸く場所より奥にある秘密の安全地帯へと向かっていた。

 それが、俺が部屋を出る前に予想していたゴブリン達の動向。

 そう予想したのは、そこは彼等が遠征に出発する前に拠点としていた場所だからだ。


 そして今。

 ゴブリン達が他の魔者達――主に数の増えすぎたアドルゾンビ、ボーンソルジャー、ブラックシャドウ――に便乗して遠征へと出かけた際にはその安全地帯は以前同様に空っぽになった訳だが、今そこには十数個の光点が輝いていた。

 迷宮に帰ってきた時よりも数が減っているのは、その道中で罠に引っ掛かったり、捕虜に反応した他の魔者達の襲撃を受けて多少の犠牲を出したためだろう。

 しかし全滅だけはどうにか免れた様で、今彼等は色の異なる三つの光点を中心に集まっていた。

 恐らく戦勝祝い中。

 酒の肴とされたその者達にとっては不幸極まりない事態の真っ最中だとは思うが。


 そのゴブリン集団を、あまり見たくはないが観察スキルで確認してみると、少しだけ予想していた結果が表示された。

 彼等は、迷宮に返ってきた時にはただのゴブリンだったのに、住処へと辿り付いた今となっては名前が子鬼戦士(ゴブリンウォーリアー)だったり子鬼剣士(ゴブリンソード)子鬼闘士(ゴブリンファイター)子鬼盗賊(ゴブリンシーフ)、といったものへと変化していた。

 つまり彼等は、度重なる死闘を見事くぐり抜け、ついに昇格(クラスチェンジ)を果たしたのだ。


 かつて水溶の粘体生物(アクアンスライム)が人一人を丸ごと吸収する事で進化(クラスアップ)し、劇的に強さが上昇するという事があった。

 流石にクラスアップ程の劇的な変化だとは思わないが、少なくとも職業持ちとなった彼等は並のゴブリン達に比べると数段強くなっている事だろう。

 但しその弊害なのか、職持ちゴブリン達のレベルは一様に1まで下がっている。

 能力値まで下がっているとは思わないが、ユー・イ・チリーの時とはやはり状況が違う様だった。

 故に、クラスチェンジと呼んでおく。



 それぞれの職持ちゴブリンの特徴をあげるとすれば、きっとこんな所だろう。


 ゴブリンウォーリアー:斧などの武器を持って闘う攻撃力特化系のゴブリン。殺害数がきっと多い。その分、死亡率も高そうだが。

 ゴブリンソード:剣を持って戦う。もしかしたら盾も持っている攻防特化系。バランスが良いので、少し厄介。

 ゴブリンファイター:武器の数が少なかったため、武器を手にする事が出来ず、ずっと素手で闘っていた。結果、こんな事に……。

 ゴブリンシーフ:短剣を持ち、とてもすばしっこい。死体漁りが得意で、戦闘にはあまり参加せず。


 今後、彼等がどの様な行動に出て、職を変化させていくのかが少し楽しみになった。

 勿論、最も可能性が高いのは死亡してしまう事だろうとは思うが。

 それに、本当に他種族の雌を使って繁殖を始めたとすれば、産まれてくる新しい命はただのゴブリンなのか、それとも最初から職持ちなのか。

 まさか半子鬼(ゴブリンハーフ)とか亜子鬼(ゴブリンヴァリアント)という名前ではないだろう。

 少なくとも、今もゆっくりとしたペースで沸き続ける魔者発生ポイント付近にいるゴブリン達から産まれてくる子供はゴブリンとなっているので、その可能性は低い……と思う。


 そして、まったく情報の読み取れない捕虜3人。

 人の種であるかどうかも実は分からない訳だが、彼女達は皆???という表記になっていた。

 それは迷宮に侵入してきた者達にも言える事である。

 イリアに確認させる事も出来るが、あまり危ない橋は渡らせたくない。

 何しろ、現在の迷宮はやたらと物騒な状態となっているため。

 あのキュイすらも避けて通る兇悪な存在が、迷宮内をゆっくりとしたペースで巡回し続けていた。


 名は、ファントムガイスト=ユー・イ・ムオーカ。

 名前の中にあの名が混じっている事からして、きっとユー・イ・チリー関連だろう。

 彼女には何度も驚かされる。


 ただ、今回はアクアンスライムが進化したユー・イ・チリーが更に進化した、という訳ではない。

 ファントムとは、亡霊や幽霊の事を指し示す。

 ガイストも、幽霊や精神を意味する言葉。

 よって俺の仮定は、幽霊(ゴースト)が進化した存在だと考えている。


 迷宮の灼熱地獄化現象によって、粘体生物であるユー・イ・チリーを含むアクアンスライム進化型の固有魔者4体は、間違いなく消滅した。

 焼滅した。

 しかし、その固有魔者4体にひっついていたゴースト達は、そもそも霊体であるために、ただ気温が上昇しただけでは消滅する事はない。

 しかしあの日、そのゴースト達も迷宮から姿を消していた。


 ゴースト達はきっと、対となっていた固有魔者達が消滅した事で、一時的に姿を消したか迷宮の外へと探しに出かけていたのだろう。

 暫くして、ユー・イ・チリー達が本当に消滅してしまった事の影響が徐々に現れ始め、次第にゴースト達はその怨念を強めていく。

 更に、対となっていた者達がいなくなった事で、ゴースト達は互いの怨念に惹かれあい合体。

 最もその怨念が強く、最も長くこの迷宮で死の時を過ごしたユー・イ・チリー付だったゴーストが他3体のゴーストを吸収し、進化した。


 その結果、ファントムガイストという魔者が誕生。

 魔者名の後ろにユーという少女の名と、名の欠片だけを合体させたイ・ムオーカという言葉が付属した固有種が、この迷宮内を徘徊する様になった。

 そんな所か。


 そのファントムガイスト=ユー・イ・ムオーカによる迷宮の被害は、ほとんど災害といっていい状況となっていた。

 遭遇してしまえば即殺。

 1階層にいるD級魔者が相手にならないのは兎も角として、2階層にいるC級魔者達も出会ってしまった先からその命を刈り取られていた。

 だけでなく、等級の不明なピクシーすらも手に負えない始末。

 一度、例の花畑にファントムガイスト=ユー・イ・ムオーカの進路がたまたま重なり、阿鼻叫喚。

 ほとんど全滅に近い状態となった。

 それがまた、ピクシー達が俺の部屋にたむろする様になる切っ掛けとなった訳だが、事が事だけにその逃げてきたピクシー達をあまり煙たがる訳にもいかない。

 根本的な原因を生み出してしまったのは、なんにしても俺な訳なので。


 幸いにして、ファントムガイスト=ユー・イ・ムオーカの活動時間は最も夜の闇が濃くなる深夜にほぼ限定されるらしく、それ以外の時間帯はほぼ迷宮内に姿を現さなかった。

 行動速度も非常に遅く、前日消えた場所から引き続き移動を開始するので、迷宮画面を見る事の出来る俺やイリア、ウィチアならば注意しさえすれば遭遇する危険はほとんどない。

 だからといって確実に安全という訳でもなく、時々ふっと消えては突如として全く別の場所へと現れる事もあったので、油断は出来ない。

 日中も気が向けば極小時間だけ出現する。


 ――という訳で、この隔離空間とは異なる時間軸にあるらしき迷宮内の時刻や外の世界の天気が、それとなく分かるようになった。


 ファントムガイスト=ユー・イ・ムオーカが長く現れていれば、迷宮内は深夜帯。

 少しの間だけ現れた場合は、外の天気は暗雲とした曇りか雨。

 動きが異常に遅いがかなり長い時間出現していた場合は、たぶん新月や満月だと俺は考えている。


 まぁ、そんな事が分かったからといって、何の意味もない訳だが。

 敢えていうなら、夜には侵入者達は迷宮にまず入ってこない。

 ゴブリン達もほとんど動きはない。

 故に、迷宮画面を眺めていても真新しい情報はまず出てこない。


 無為に過ごす時間が減ったため、また牢屋へと出かけている時間が増えた。

2014.02.15校正

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