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委員会抗争記!!  作者: 鈴ノ葉
2章 2年5月(上) 1学期中間テスト
12/12

第11回


桜の花びらの姿は完全に消え、植物の葉は鮮やかな緑が光る。気温も4月の頃に比べ、暖かくなっている。



ゴールデンウィークが終わり、今日からまた学校が始まった。


のだが――――――




「さー今日からまた勉強ー・・・・・・」


やる気の無い、沈んだ風紀委員長の声。


「おー・・・・・・」


風紀委員達も同様の声をあげる。


4月に生徒会との対決内容が分かって以来、皆頑張って授業の内容を理解し、対決で勝てるように勉強を毎日し続けた。


しかし、何となく予想していた通りゴールデンウィークでたくさん遊んでいた結果、皆勉強をするやる気が起きず、だらけていた。


正直俺も、家族で出かけたり、友達と遊びに行ったりしてて、やる気があまり起きない。家で少しだけ勉強してたこともあったが、本当に少しだけで、外から帰ったら疲れてすぐ寝てしまうような感じだった。


「あー遊びに行きたいー・・・勉強したくないー・・・」


佐藤先輩がそう呟く。


「でもそろそろ1週間前ですよ・・・嫌でもやらないと、生徒会に勝てませんよ」


俺がそう言うも


「分かってるんだけどー・・・ほんとやる気出ねぇのー・・・・」


と言って、ぐてっ、と顔を伏せる。


委員会(?)が始まり、かれこれ40分。顔を伏せ腕の力を抜いて伸ばし、机に寝そべっている状態の風紀委員がとても多い。


この状況をどうにかしないと――――――その方法を考えて約3分。


「!」


俺はあることを思い出した。


それは―――――――ゴールデンウィーク中に出かけたとき、風紀委員会の人達に買ってきたお土産のお菓子があり、それを持ってきたこと。


里上高校では、放課後の活動中、顧問の許可とごみはきちんと自分で処理して食べながら歩かないという約束をきちんと守るなら飲食ができる。


だから、とりあえず顧問―――――すなわち木田先生にまず許可を貰わなければならない。


「木田先生ー・・・」


いつもながら寝ている木田先生に小声で話しかけてみる。


「グゥ・・・グゥ・・・・」


・・・・やっぱりダメか。仕方なく佐藤先輩に相談してみることにした。


「佐藤先輩」


「んー・・?」


「ちょっと提案があるんですが・・・」


「何ー?」


「ゴールンデンウィーク中に買ってきたお土産のお菓子があるんですが・・・」


「!?」


途端に目をキラキラと輝かせ、寝ていた体を起こし笑顔になる佐藤先輩。


「最後までちゃんと話聞いてくださいね?そのお菓子を食べながらでいいので、勉強しませんか?」


「なるほど!俺も皆に分けられるお菓子持ってるし、他の風紀委員も多分持ってるだろうし♪」


「でもそれには木田先生の許可がいるのと、皆がお菓子を食べることばかりに注意しなきゃならないんですよ」


「お菓子にばかり集中して勉強が滞らないようにしない方法を考えなきゃな・・・・あ」


「何か方法が見つかりました?」


「えーっとねー、勉強しながらじゃなくて、ちょっと勉強してから休憩時間、つまりお菓子を食べる時間を取ろうよ。とりあえず、最初は今日の授業の復習とかをそれぞれでやってからちょっとお菓子食べよう♪その後のことはまた考えるから」


「そうしましょう。後は木田先生の許可だけですね」


「いやいいよそれは」


「え?」


そんな返事に目を丸くしてしまう。


「だってさー考えてみなよ!どうせ木田先生のことだから起こしても『勝手にしろー』っていう適当な返事が返ってきてまた寝出すだけだし、睡眠を妨害されたことに機嫌を悪くするんじゃない?」


「あー・・・」


容易に木田先生のその様子が想像できるな・・・。


けど・・・。


「・・・やっぱり許可貰ってからにしませんか?勝手に人の判断は決めたらいけないと思いますし」


「大丈夫だって♪」


本当にいいんだろうか・・・。


「・・・・・後で何があっても知りませんよ?」


「何も無いよきっと!」


ニカッと笑う先輩。何故かは分からないが、俺もそんな気がする。


「んじゃ、皆にこのこと伝えるか!」





こうして、お菓子で何とか風紀委員達のやる気を起こし、頑張って勉強することになった。


各学年に分かれて、授業内容の復習、それぞれの課題をやるなどして勉強した(趣味の話題や愚痴をこぼしていろいろ盛り上がっていたこともあったが)。


また、分からないところは皆佐藤先輩に質問していた為、絶える事無く先輩は呼ばれ、とても忙しそうだった。


ときどきはさんだ休憩時間では、お土産のお菓子などを風紀委員達に1人1つずつ配った後、余ったお菓子を巡り争奪戦が起きていた。




賑やかに委員会―――と言うより勉強会は進み、気が付いたら18時を過ぎ、日が沈みそうになっていた。


佐藤先輩は慌てて解散させ、皆教室を出て行った。


「お疲れ優ちゃん!さ、俺等も帰ろうか♪」


「そうですね。佐藤先輩は勉強平気ですか?さっき自分の勉強全然出来てそうに思えませんでしたが・・・」


「俺を誰だと思ってんのっ!俺これでも授業中に理解して頭に入ってるからへーき☆」


得意気に話す佐藤先輩。さすが学年トップ3だ・・・俺もこういう風になりたいと思う。けどやっぱりそういうのは生まれつきなんだろうか・・・?


空には濃い青が広がり、夕日の差す光はなくなりつつある。そんな廊下を佐藤先輩と2人で歩く。


校舎内にはもう他に生徒はいないのか、しーんと静まり返っていた。


と、思えば。


階段を下りようと角を曲がると


「うわっ!!」


誰かとぶつかりそうになり、全員同時に同じ声を上げる。


「ごめんなさい!」


相手が咄嗟に謝ってきた。なので俺も「こちらこそすみません!」と謝ろうとする。しかし、


「ん・・・?」


佐藤先輩が不思議そうに相手を見てそう言った。相手が頭を上げる。そして、ようやく気が付く。


「・・・・・!!!」


お互いに驚き、目を見開く。そして1歩下がる。


辺りの空気が一瞬にして冷え、その空気が張りつめるように感じた。


「お前・・・・!!」


「何であんたが・・・・!!」


そう。今ぶつかりかけた相手は―――――――






――――――――生徒会長である、水瀬さんだった。







『1学期中間テスト』・・・学年が上がってから最初の定期テストということで、先生達は難易度を簡単にしていることが多い。その為、平均点も高くなりやすい。ここで点を稼いでおくと、期末の結果が駄目でも何とかなることがあるので、生徒達にとって重要なテストである。

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