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祭りの日の夢  作者: 篠原葵
沙夜と母
9/10

母の思い

「おはよう、お母さん」


沙夜は小さな髪飾りを抱きしめるようにしてそっと呟いた。


あの日―――母が亡くなった日からもう3年がたつ。

この髪飾りは母が旅立つ3日前に、沙夜にくれたものだ。


母は女手一つで沙夜を育ててくれた。

この里唯一の医術師として、里の人々に尊敬されていた。


だが、ある日突然、高熱を出して寝込んでしまった。

医術師なのだから、自分の体のことは自分が一番よく知っている、大丈夫だろうと皆思っていたのだが・・・・・・。

母は病に倒れてからひと月もしないうちに、あっけなく逝ってしまった。



母は、自分の死期を悟ると沙夜に昔のことを、ぽつりぽつりと話してくれた。

少しでも、自分の人生を娘に知ってもらいたかったのかもしれないと沙夜は後になって感じた。


もともと父も母も、遠く離れた異国の民だったと聞いている。

2人とも裕福な家の出で、母方の家は代々医術師をしていたらしい。

沙夜が3の年になるまでは、一家幸せに暮らしていた。

だが―――。

隣国との戦が始まり、父も戦にかりだされていった。

その頃のことは沙夜はよく覚えていない。

ただ一つ、はっきりと覚えているのは・・・・・・。

黙って沙夜を抱きしめ、厳しい顔で去ってゆく父の後姿だった。

今思えば、厳しい顔をしていたのは娘の前で懸命に涙をみせまいとしていたのだろう。


父が戦で亡くなったという知らせが入ったのは、それからわずかふた月後のことだった・・・・・・。


母は沙夜を守るために、なにも知らぬこの里に転がり込んできたらしい。

最初、里の人々は母に対して冷たかったと聞いているが、病人や怪我人の治療をしているうちに、少しずつ受け入れてもらえたらしい。



母の死後、沙夜は母から受け継いでいた技術のおかげで、この里でなんとか生活していた。

文字の読み書きができたおかげで、いろいろと里長にも感謝され、助けてもらうことができた。


「・・・・・・おかあさん」



この髪飾りは、母が母国を離れるとき、唯一身に着けていた装飾品だ。

他のものは、戦で暮らしが厳しくなり、売り払っていた。

しかし、この髪飾りだけは母は手放そうとしなかった。


父からの、最初で最後の贈り物・・・・・・。


その大切な髪飾りを母は、沙夜にくれた。

『幸せになりなさい。愛する人とともにね―――』



そのときのことを思い出すと、今でも胸が張り裂けそうになる。

聞き取ることのできた、最後の言葉・・・・・・。



深く息を吸うと、沙夜は立ち上がった。

今日は祭りだ。


あのなんとも奇妙な出来事を体験したのが、もう6年も前になるのだ―――。

まだ母も元気だった・・・・・・。


あのとき沙夜はまだ十のおなごで、祭りのもうひとつの意味を知らなかった。

今は・・・・・・。


この祭りが年頃の男女にとっては生涯の相手を決める、カミに祈るのとはまた別の意味で大切な祭りだということを知っている。

千早はもうすでに、去年相手を見つけ、結納も済ませている。

16では少し遅い方なのだ。


今年は咲音と一緒にいい人を見つけよう、と話していた。



「よい・・・・・・しょっと」


髪を結い上げると沙夜は母の髪飾りをそっとつけた。


「守っていてね、お母さん」

なんか一気に時間がとんでますねw


実はこの回、一度投稿しようとして、サブタイトルを入力し忘れ・・・・・・。


全部消えてしまいました(´・ω・`)


このとき沙夜は16歳。

母が亡くなったとき13歳。

伊吹を出会ったとき10歳です。


前の話から6年も飛びました。


この話はプロットを書かずに勢いでかいているのでこれからどうなるかは自分にもわかりませんが・・・・・・。


沙夜にまかせてみようかな、と思いますw

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