表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祭りの日の夢  作者: 篠原葵
祭りで出会ったお面の子
3/10

狐のお面

「魔ノモノがでる・・・・・・!」


沙夜は急に恐ろしくなってきた。

魔ノモノは皆の魂を奪っていく。

魂は天へはいけず、そのまま魔ノモノに食われてしまうのだ。


どうしよう、どうしよう・・・・・・!!

恐ろしさのあまり、足がすくんで動けない。


ザッザッザッ・・・・・・。


足音がする・・・・・・!

きっと魔ノモノだ・・・・・・。

沙夜は膝を抱え込み、ギュッと体を硬くした。

その間にも足音はどんどん近づいてくる。


沙夜はもう、生きた心地がしなかった。

魔ノモノに魂を奪われることは、なによりも人々が恐れていたことだったから。

沙夜の怖がるのも無理はなかったのだ。


ふいに足音が止まった。


トン。


肩をつつかれて、沙夜は飛び上がった。


「いやぁっ!!」


そう叫んで払いのけた手は、意外にも沙夜とそう変わらぬ年頃の子供の物のように思えた。


「え・・・・・・?」


「どうかしたのか?」


問うてきた子供の顔を見て、沙夜は絶句した。

その顔が、人間のものではなかったからだ。


「どうか、したのか?」


もう一度問われ、沙夜ははっと我に返った。

よくよく見ると、その顔は狐の面であった。

面と分かっても、沙夜はその子供が恐ろしくてならなかった。

こんな人気のない真っ暗な木立のなかを、あんなふうに躓きもせず、一定の速さで歩くことなどまず無理だからだ。


「名は、なんという」


「沙・・・・・・夜。沙夜」


やっとの思いでそう答えると、面の子供は沙夜へと手を差し伸べた。


「沙夜か、いい名だ。わたし・・・・・・いや、俺の名は伊吹という」


沙夜がためらいながらもその手をとると、伊吹は強く、けれど優しく握り返してきた。


「どうして、祭りの夜にこんなところにいる?」


沙夜は話そうかどうか迷ったが、その手の温もりに心が少しずつ温かくなってくるのがわかった。


「友達と・・・・・・はぐれちゃって・・・・・・。魔ノモノが・・・・・・怖くて動けなかったの・・・・・・」


切れ切れにそう話すと、伊吹はゆっくりとうなずいた。


「それはさぞかし恐ろしい思いをしただろう。けれど、友とはぐれたとて、決してこの森に一人で足を踏み入れてはいけない。沙夜の言う魔ノモノが、この森には住まうのだから」


沙夜は心底震え上がった。

もし、伊吹がきてくれなかったら・・・・・・!!

自分は魔ノモノに魂を食われていたかもしれない。


「さぁ、おいで。俺と一緒に沙夜の友を探そう」


「え・・・・・・?」


戸惑っている沙夜に伊吹はこう続けた。


「大丈夫、きっと見つかる」


「うん・・・・・・!」


沙夜は伊吹に手を引かれながら再び人の波へと足を踏み入れた。

新キャラ、ってはやっ!!

2人目の主人公、伊吹です。

お面の子ってただ顔が見えないだけなのに、なんとなく一線引いてしまいませんか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ