はじめて書いた詩
俳句をやっていた伯母から、詩を書いてみるよう勧められたのは小学1年のとき。
「詩って何?」と聞くと
「何でも好きなことを書けばいい。」と。
机に向かってチラシの裏に、思いついたことを2つほど書く。
ひとつは「くも(雲)」というタイトル。
もうひとつは「くも(雲)を食べたら」という続編。
「これは、ひとつにまとめたほうがいい。」
と伯母は言い、どこからか原稿用紙を出してきて言う。
「これに書きなおして。」
言われるままに、筆圧強く「くも」と書きはじめると、横で見ていた伯母は
「ひらがなじゃなくて、漢字で書ける?」
と言い、チラシの裏に「雲」と見本を書いてみせる。
いま書いたばかりの「くも」の字を、消しゴムでゴシゴシと消し、見まねで「雲」と書いてみる。
と、どうしても縦長に伸びて、用紙のヒトマスに納まらない。
伯母はあきらめて、わたしが「くも」と書いた次のマスに、大人の字で(雲)と加筆した。
後から知ったことには、わたしが書いたものを新聞に投稿したようで、数ヶ月後、それは某新聞の「こどもの詩」欄に掲載された。
伯母をはじめ、大人たちはたいへんな喜びようで、わたしには景品の「フエル・アルバム」が送られてきた。
たしか選評は、詩人の川崎洋さんだった。
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く も (雲)
わたしは はじめて くもを見たとき
たべてみたいとおもった
たべたくて
たべたくて しかたがないので
とうとう たべてしまった
くもは とっても あまかった
くもをたべたら
からだが うきあがって 空になっちゃった
空がきえた
わたしも きえた
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