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はじめて書いた詩

作者: みとせ

俳句をやっていた伯母から、詩を書いてみるよう勧められたのは小学1年のとき。

「詩って何?」と聞くと

「何でも好きなことを書けばいい。」と。


机に向かってチラシの裏に、思いついたことを2つほど書く。

ひとつは「くも(雲)」というタイトル。

もうひとつは「くも(雲)を食べたら」という続編。


「これは、ひとつにまとめたほうがいい。」

と伯母は言い、どこからか原稿用紙を出してきて言う。

「これに書きなおして。」


言われるままに、筆圧強く「くも」と書きはじめると、横で見ていた伯母は

「ひらがなじゃなくて、漢字で書ける?」

と言い、チラシの裏に「雲」と見本を書いてみせる。


いま書いたばかりの「くも」の字を、消しゴムでゴシゴシと消し、見まねで「雲」と書いてみる。

と、どうしても縦長に伸びて、用紙のヒトマスに納まらない。

伯母はあきらめて、わたしが「くも」と書いた次のマスに、大人の字で(雲)と加筆した。


後から知ったことには、わたしが書いたものを新聞に投稿したようで、数ヶ月後、それは某新聞の「こどもの詩」欄に掲載された。

伯母をはじめ、大人たちはたいへんな喜びようで、わたしには景品の「フエル・アルバム」が送られてきた。

たしか選評は、詩人の川崎洋さんだった。


******************************************************

 

    く も  (雲)


わたしは はじめて くもを見たとき

たべてみたいとおもった


たべたくて

たべたくて しかたがないので

とうとう たべてしまった


くもは とっても あまかった


くもをたべたら

からだが うきあがって 空になっちゃった


空がきえた

わたしも きえた


*****************************************************

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