伝えたかった事は その四
小声で泣きながら話してくる
会社に辞めるって言ってきた・・
うん、わかった
ごめんね
忙しい時期にいなくなって・・
気にしないでいいよ
自分の事だけを考えたらいい
そんな事を言いながら
なんとかならないかと頭の中で
懸命に考えてた
答がでない、何もでない
このまま会えなくなるのだけは
回避したかった
とても大切な物を無くすような気が
して心がざわついてた
すすり泣くような声が聞こえる
それと同時に何か変な音も聞こえる
泣き声 ポリポリポリ
ヒックヒック・・ポリポリ
なんか食べてんの?
うん、もやし食べてる
泣きながらなに食ってんだよ!
だってお腹空いたんだもん
泣くか食べるかどっちかにしなさい!
あははは、そうだよね
んじゃ、たべるよ
やっと笑い声が聞こえてきた
少し安心した
もやしとなに食べてんの?
もやしだけだよ
他におかずは?
もやしだけ!
ご飯は?
ない!もやしだけ!
もう少しいろいろ食べなさい
だってお金ないんだもん
一瞬考えたけど言わないと後悔するから言葉にした
今度ご飯作ってあげるから食べに
来なさい
おっさん一人で住んでいる家に
呼ぶなんて気持ち悪いと
思われるかなって言った後に思った
うん!行く!
すぐに元気な返事が返ってきた
よかった、うれしくてほっとした
あ、もしかしたら変な事しようとか
思ってる?
お、お、思ってなぁいよ
なに焦ってんだよおじさん キモ
変な事なんて考えてないけど
Bまでなら大丈夫なんやろ?
うあ、変態おやじだ!信じられん!
男はみんな変態なんだよ
あんただけだ!
やっといつもの様な会話に戻り
気持ちが落ち着いてきた
また連絡するよ またねー
うん、わかった おやすみ
なんとか縁を繋ぐ事が出来た
モヤモヤした不安は無くなった
でも
会社に行くとあの子はいない
当たり前の事なんだけど楽しくない
やる気のない自分に追い討ちをかけるように女部長がヘンテコなルールを
突然言ってきた
毎日7、8名で仕事をしている
その日の仕事の内容で直属の上司が
グループ分けを指示してた
男は2名しかいないから重い荷物や
力がいる仕事は二手に分かれてた
それを女部長が
明日から私が決めたグループで
別々に仕事をしてもらいます
直属の上司と離された
納得できないし、意味わからん
直属の上司が反論してくれた
現場の私がその日に来た荷物で
グループ分けして効率よくできるようにしてたんじゃだめですか?
駄目です
パートさん同士のおしゃべりが多すぎてよくないのでやり方を変えます
あの子が辞めて2日後の事だった
辞めた次の日の朝に直属の上司が
女部長の愚痴を自分に言ってたのを
聞いてたんだろうと、教えられた
もともと、直属の上司から
この作業部屋のどこかにマイクが
あるから会社の悪口は
言わないようにね
あと、パートの◯◯さんは女部長の
にペラペラなんでも報告するから
気を付けて話してね
入社してすぐに教えられてた
教えてくれた上司がそれを知ってるのに余程腹が立ったんだろけど
わざと作業部屋の中であの子を辞めさすような言動をした女部長の文句を
めちゃくちゃ叫んでた
パートのおばさんも聞いてたし
そりゃ、耳にも入るよね
直属の上司が一番仕事は出来るし
みんなをまとめれる
PCで文字打つのが苦手なくらいで
あとは完璧な人だった
だから辞めさすことはできない
だから嫌がらせのグループ分けを
してきたんだろう
ファミレスでご飯食べさせてもらう
代わりにいつも愚痴を聞いてた
弟みたいにかわいがってくれた
あの子もお母さんみたいな感じで
いろいろ相談してたと後で聞いた
会社にいる意味がなくなった
あの子が辞めて3日後に辞表を出した