第一話「不純な別れと不純な出会い」
ベッドから降りて学校の準備をする。休みの日だから別にいかなくてもいいがワイヤレスイヤホン、ウォークマン、勉強道具をつめてリビングに向かう。リビングにはもうすでに母さんと父さんが起きていて新聞とコーヒーをもってこちらをみてきた。
「おはよう、蒼人。学校にいくのか?」
「おはよ。忘れ物したしテスト近いから」
「おはよう、蒼人。すいせいも?」
「わかんない。どうせくると思うけど聞いてくる」
俺だけが入室許可が降りているすい姉の部屋に入る。すい姉の名前は紗星水菜。推しの名前がすいせいで天文部。自分からそう呼べと言って何故か親もそれでいいと言う。ちなみにめんどくさいからすい姉と俺は呼ぶ。
適当に荷物の準備をしたから二度寝をしてるすい姉を跨いでカーテンを開ける。まぶしいそうしにして枕をかぶったから枕を取り上げ服を脱がした。胸がバウンドした。でもそこまで気にしない。体操着を渡して、好きな音楽をかけてあげてとりあえずすい姉とのルーティンが終わった。リビングに戻って父さんの前に用意されたいつもの朝ごはんを食べ始めた。半分ほど食べた頃やっとザ優等生なすい姉がでてきた。
「お母さんお父さんおはよ!」
「「おはよう」」
「あら、すいせいも学校行くのね」
「うん!蒼人が行くから」
すい姉俺の学校の生徒会長だ。俺は副会長で学校では仲の良さは知られている。学校でも優等生を演じているのかただ俺の前だけは油断してんのかは知らないけど、二つの顔があるのを知ってるのは俺ともう2人だけだ。すい姉が俺の横に座って食べはじめると母さんが
「お弁当作ってないから、適当にこれで食べなさい」
といいながら財布から500円玉を二枚出してすい姉と俺に一枚ずつ渡してきた。財布に2枚500円玉が入ってるのすげぇーって思いながら貰った。さっきまでコーヒーを飲んでいた父さんはもう飲み終わっていてお弁当を片手に仕事用のバックをもう一つの肩にかけて
「それじゃあ、行ってくる」
「いってらー」
「行ってらっしゃい!」
「はーい、今日は何時ごろ帰るの?」
「8:00頃かな」
「はーい」
母さんが父さんのお見送りに行ってくるまでの間テレビをつけてニュース番組にする。くだらないニュースが続いて、朝ごはんを食べ終わる。自分の食器とすい姉の食べ終わった皿を運ぶ。
「すい姉の荷物持ってくるよ?」
「ありがと!」
自分の部屋に入り、黒のリュックをとって、すい姉の部屋に入り彗星のキーホルダーのついた色がいにされたグレーのリュックをとってさっきまで自分が座っていたところにリュックを置く。ソファーの方に行ってニュースを見ると、十年に一度の流星群の話をしていた。すい姉のおかげで星座と星ならまぁまぁわかるようになった。
「すいねぇーこれ双子座?十年に一度だしそうかなって」
「細かいところは違うけど、そうだよ!そろそろ行こっか」
そういってリュックを渡してきた。母さんが後ろから続いていつも通り行ってらっしゃいと来るのでいつも通りに
「ん」
「行ってきまーす!」
と言って、家を出て駅に向かい電車に乗って隣に座った。目の前にはすい姉と同じ制服を着た寝ている女子生徒がいた。腕には俺と同じく一つのラインが引かれていたから同級生だと思った。ロングヘアで顔は普通に美人だ。バックを抱えている指は綺麗だった。乗った駅から約10分で駅からのスクールバスでいつも行っている。4駅乗ってる間すい姉は寝たり本読んだりスマホいじったりしていつも過ごしてるけど今日に関してはLINEで
『今日マック食べたい気分!』
『お昼マックにしよっか』
『うん!』
のあとに嬉しそうなウサギのスタンプを送ってきたあと寝た。最寄りの駅に着いたのですい姉を起こしたけど目の前の女子生徒がまだ寝ていたため、すい姉に起こしてくると言って先に行かせた。
肩を少し叩いて
「紗星蒼人です。制服を見て同じ高校なので最寄り駅なので起こしたんですけど」
「あっ、ありがとうございます!」
電車を降りて改札を抜けるとすい姉もいてバスがくるのを待った。
「あっ、私、釧路世良と言います。紗星水月さんと蒼人さんの紗星姉弟ですよね。」
「そうです。初めまして世良ちゃん」
「そんなに畏まらなくていいよ。同い年なんだから。」
「ありがとう。二人は何しに学校へ?」
「忘れものがあったし、そろそろ宿題しないとって思ってね」
「私は蒼人が行くから」
そんなことを話してる間にスクールバスが来た。乗るのは三人以外におらず運転手に挨拶して一番後ろに真ん中にすい姉を座らせて並んだ。すい姉は学校でのいつものように優等生のようになった。
「忘れ物を二人で取りに来たんですか?」
「少し勉強もしにね。すい姉は来年受験だし。」
「国公立の大学はむずいので、そういえば世良ちゃんはどしたんですか?」
「えっと、部活動で」
「あれ、今日部活なくね?」
そう、今日はというか今週はテストの問題を作るというかんじで先生は大忙し。部活を見ることができない顧問の人たちが多くいるので休みというわけだ。
「あっ、そっかないんだったけ。えっと、じゃあ私も勉強ということで」
「大学決めているのですか?」
「全然まだです。ここの高校入るのもやっとだったので、今の勉強に追い付くだけで手一杯です。」
「それなら、蒼人に教えてもらえばどうでしょう」
「えっ、そんな恐れ多いこと、蒼人さんの勉強もありますし」
「大丈夫でしょ?蒼人」
「まぁ、大丈夫だけど」
「ってな訳でこれから毎日勉強会!」
「部活があんだろ」
「あっ、そっか」
すい姉はこういう天然なところもあるからうちの生徒からはたぶん嫌われていない。オタクに優しいギャル的な、陰キャに優しい陽キャ的なクラスの愛されキャラを保持している。
自分もまぁまぁクラスの皆や先生から頼りにされているし遊びに行ったりしている。すい姉と俺は天文部に入っていてそのなかには小学生の頃から姉とクラスが全て同じという奇跡の幼馴染みがいる。すい姉のブラコンぶりを知っているから俺は部活に参加しなくても怒られない。
「まぁ、わかんないとこは教えれたら教えるよ」
「ありがとう」
バスが学校についてみんなで降りる。昇降口に入り靴を履き替え図書室へ向かった。すい姉は水筒を作る時間がなかったので俺の分と一緒に飲み物を買ってくると言って売店に向かった。世良と二人で向かう途中で世良のクラスに立ち寄って世良の勉強道具をとりに寄り道をした。
「世良、さん。なんで今日来たの?」
「世良で大丈夫です。部活があると間違えちゃったってさっき言ったじゃないですか」
「ありがとう。それは聞いた。けど、嘘な気がして」
世良は口を手をグーにして押さえて少し笑った。
「どうしてですか?」
「ってか、世良。部活入ってないだろ」
「なんで知ってるの?」
「生徒の全部の詳細が乗っているものを生徒会は保管しているから暗記している。住所とか電話番号は見ていないから大丈夫」
「へー!さすが紗星蒼人と言ったところだ。うんーーーー!一人くらいいいかなぁー」
少し顔を上にあげのびをしている。にこやかに笑っている。こういうのは沈黙が正解だと思う。けど、彼女の前では違ったらしい。こちらを向いて
「何がとは聞かないの?」
「沈黙が正解かと」
「あははっ!そうかも!」
世良はロッカーから教科書をだして手にもってきた。
「私は病気です」
「はい」
「落ち着いてるな、調子狂うねぇ」
「ごめん」
「いいよ、まぁこれは他言無用でお願いできる?」
「わかった」
「心臓病です!」
風が吹く。窓なんて誰が開けたんだよ。彼女の髪が風になびく。ってか、ほんと美人だなこいつ。
「知っているのは?」
「君と昔から仲が良い一つ上の先輩。あっ、あと先生」
「初対面だよね?」
「うん!」
「なんで?」
「言わなそうだし、そういう仲間がちょっと欲しかった、先輩のためにも」
「彼氏とかは?」
「いないよ?」
「まぁ、君の自由だ。これから関わらないで忘れるか秘密を共有するか」
彼女はかっこよく口を少し上げてこちらをみていた。
「余命はあるの?」
「あるよ」
さっきあった時と全くキャラが変わった彼女はすい姉とあったらさっきのどじっこみたいに戻った。すらすらと彼女の残りの余命を聞いて俺の中の何かが変わった。前も同じような感情になったことがある。
俺には一年付き合っていた先輩がいた。すい姉が認めるほどの優等生で体育祭の時付き合っちゃえばと言われて付き合った。勉強会とか映画館で見せる彼女の顔を見ていくうちにだんだんと思いが強くなっていった。そんな彼女は12月に交通事故で死んだ。最後に彼女は病院で数秒だけ話した。
「 」
彼女の最後の言葉だった。家族や姉妹、友達ではなく、恋人の俺に。一つ年下の俺に。中学生の俺に。唯一の救いは最後に話す前に家族や姉妹に話していたことだった。自分が死ぬことがわかっていたって。彼女の姉は
「君のせいじゃない。忘れていんだよ。新しく彼女を作ったていいんだ。切り替えていんだよ。」
そう言ってくれた。初めて見たお姉さんの性格と顔そして震える声。何かもが違った。俺は中学生のときは頭はよかった。けど、精神面は弱くて数日は学校にも行かないで勉強もしないで飯も食わなかった。けど、彼女はもう戻ってこない。忘れた方がいいんだろうか。彼女なんて作っていんだろうか。彼女以上の人間なんて存在するのか。彼女なんて作ったらどんな風に思うのかな。
そんなかんだで彼女の葬式に行った時。俺はずっと涙を流しながら椅子に座っていた。彼女の同級生や部活が同じ俺の同級生もいた。俺らが付き合っていることはまぁまぁ知られていることだからそこまで疑問は持たれなかったと思う。俺は涙を見られたくなくて俺は部屋を抜け出した。彼女の両親も姉も止めなかった。庭みたいなところでベンチに座って月を見てると後ろから人がきた。彼女の妹だった。中学一年生の彼女とはたまに学校でも会うし生徒会で引き継ぎとして仕事を教えたこともある。ずいぶん大人だと思う。もしかしたら彼女よりも。
「蒼人さん。今から言う言葉を受けてどうしようと蒼人さんの勝手です。忘れてもいい。これを信じてもいい。聞かなくてもいいです。」
彼女は横に座って同じように月をみた。
「お姉ちゃんは楽しそうでした。蒼人さんの話をしている時。後輩という立場の蒼人さんがお姉ちゃんと付き合ってくれていたことがとてもよかったです。」
ほんとに大人なんだなこの子は。
「忘れていい。彼氏を作ってもいい。切り替えろ。なんて私には言えません。けど、蒼人さんの自由です。」
こちらを向いて言葉を続けた。
「蒼人さん。あなたは迷ってますよね。これからの自分についてどうすればいいのか。ゆっくりもとの自分に戻るしかないも思います。姉を見ればわかると思いますが以前とは明らかに違いますよね。けど、いずれ戻ります。」
「俺は変わると思うのか」
「変わります。実際にいつもの明るいあなたは消えてしまいました。今まで通りじゃなくてもいい。明るくなくてもいい。今より少し前を向く。昨日より少し前を向く、それだけでいいと思います。」
「お前は変わったのか?」
「変わりました。そして、戻ってきました。」
「お前は強いな」
「ありがとうございます」
立ち上がって、最後に
「前を向いて歩く蒼人さんを待ってます。」
そう言って葬儀所に戻った。その背中には前を向いていないといけないと無理をしている任と自分が他を支えなければという任。その他にも重い任や自分の中でのプライド、そして悲しみや我慢を背負っているように見えた。そんな彼女を俺は1人にさせてしまった。前を向く。そんなことが俺にはできない。ちげぇ、前を向こうとしてねんだ。誰かが、いや、死んだあいつが俺を救ってくれるのを待ってたんだ。それをあの子はわかってたのかな。きっと前を向くチャンスをくれたんだ。俺の感謝がわかるやつなんて彼女と妹さんしかいねぇ、変わらねぇと。
ぼやぼやと昔のこと、いや、半年前のことを思い返していた。
「蒼人!お腹すいた!」
すい姉はそれからいつもより明るくなった。いつも明るかった俺は自分で理解してる時点で、まだましなんだろうけど、感情が薄くなった気がする。いやゼロに等しくなった気がする。それでも中学のとき彼女の部活の演劇部を見てるときに人が足らないからと演劇の練習をさせられたおかげか自分ではないものを演じることができた。
「マックいくけど、釧路もくる?」
「えっ、いいんですか!?デート邪魔しちゃって!」
「はっはっはっデートかおもしろいね!」
上機嫌だなぁ。なんか口調がいつものになってるし。そう思ってたら腕に抱きついてきて胸の間に挟んできた。恥ずかしいっていう感情をださせようとしてるのか知らないけれど、昔は恥ずかしがってすぐに手を引いたりはしていたから確かに変わっている自分をすい姉は理解していると思う。
「どうする?マックで勉強してもいいし、また戻ってくるんでもいいけど」
「マックで勉強会してみたいです!!」
腕を頑張ります!ってきなポーズをして目をキラキラしてこっちに向けてきた。
「よしっ、いくか」
バックを持ち上げて椅子を席に戻すと世良はバックを前に持って
「はいっ!」
と言って、すい姉は
「いい返事!よーしいくぞぉ!」
図書室には人がいなく、貸し出し係の廣井さんしかいなかった。
「若い者たち、人生楽しめぇ。勉強なんてあとからできんだからね~」
と自販機の紙パックのりんごにストローを加えながら言われた。
すい姉はにこにこでまさに顔文字の(*´∇`*)って感じで
「はーい!楽しみまーす!」
と言って俺らは図書室をでた。
初めまして、作者の月海かいりです。
この物語は辛い過去があった主人公「紗星蒼人」。
そして死ぬことよりも死んだ後が怖いと感じる心臓病の余命がある「釧路世良」。
彼らの出会いは周りと自分を変えていく。
そんな物語にしていく予定です。
この物語は中学2年生の私が考えた物語でいろいろと変なところがあると思います。高校生となった自分が推敲に推敲を重ねてこれから連載していけたらなと思っています。不定期な更新となってしまうかもしれませんが、これから読んでいただけたら嬉しいです!
第一話「不純な別れと不純な出会い」。シンプルに1話目から死んだ彼女のことを書こうかと迷いました。これから話が進むにつれ最後に発した「 」の言葉が分かります。そして題名の「片思いがちょうどいい」これに関しては目処が立っているので読んでいただけたらと思います。その言葉を知りに是非これからご愛読いけたらと思います!
後書きってどのくらいなんでしょーか?