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遥かに遠き、英雄譚  作者: 鈴汐 タキ
一章 英雄を目指す者
11/38

昇る暗雲、暗闇の王都にて ー5ー

「今だ、ノインッ!」


「"救済の福音(ゴスペル・レイ)"!」


 コロコロと今日だけで聞き慣れた音を鳴らして魔力喰らい(マナ・イーター)が散り消えていく。ともすれば、神秘的な光景にも見えるが、良い加減に見飽きた。


「これで十体目、どんだけいるんだよコイツら!」


 魔力喰らい(マナ・イーター)単体はさして脅威ではない。最初こそ遅れはとったがタネがわかれば、余裕をもって相手できるぐらいの強さ。だが、こうも数が多いと、体力や魔力の消耗が馬鹿にならない。


「まだいるわよ。王都中から交戦の連絡が来ていたもの。」


 伝達用の魔法具を片手にノインがそう言った。一番最初に助けた騎士が持っていた物を借りたのだが、良くも悪くも手元に確保できて良かった。


 現在、夜の王都は大混乱の最中だ。

 

 これまで一体でしか確認出来ていなかった魔力喰らい(マナ・イーター)が、俺達の予想通りそこら中に姿を現し、別れていた各小隊も襲っている。

 本隊の対応も遅れており、後手に後手にとなってるのが現状だ。

 

 本隊には俺達で掴んだ情報はすべて伝達したが、そう簡単に対応できるわけでもない。決定打になる救済の福音(ゴスペル・レイ)がノインしか使えない以上、耐久するのが精々のところ。状況は芳しく無い。


 俺達も各所を周って援護をしていってるが、王都全域となると流石に手が足りない。俺が前衛、ノインが後衛で分担はしているが、移動や負傷者の対応も重なって疲労感が凄さまじい。そんな事を言ってられないのは分かるが、正直、そう長くは保たない。


 ノインは常と同じく平気そうな顔を浮かべているが、良く見ると呼吸は荒く、相応の疲労の色を滲ませていた。……お互いこのままじゃ、不味いのは確かだ。

 

「ノイン、少し休むか?」


「大丈夫よ。それより負傷者の相手をしてくるわ。」


「……おう。周りはこっちで見とく。」


 疲れを感じさせない動きで、傷ついた騎士や生徒に回復魔法をかけていくノイン。……本当に大丈夫では無いだろうな。上手く隠しているが、疲労の色を隠しきれていない。……本人が言わないなら、無理に引き止めはしないがどうしたものか。


 俺でも簡単な処置は出来るが、治療の大部分はノインの回復魔法。加えて、戦闘や、支援も並行している彼女の負担は言うまでも無く大きい。いくらノインと言えど、魔力の限界も、体力の限界も近いはずだ。本来ならここらへんで休ませたいが…………代わりになれる奴がいない。


 こんな時に、師匠(アリーゼ)がいれば最高なんだが……。出て来ないのには何か理由があるんだろうし、期待薄だな。


「すまない、助かった。本来なら私達が護るべき立場なのに。」


「気にしてないわ。それより、動けるなら他は任して良いかしら。流石にお()りできるほど余裕はないのよ。」


「あぁ、大丈夫だ。この者らは責任をもって預かっておく。」


「そう。……余裕があるなら本隊まで向かう事をお勧めするわ。」


 何やら会話を終えたノインは負傷者から離れてこちらに向かってくる。次に向かうという事なんだろう。後ろでは会話していた騎士が、綺麗な敬礼をこちらに向けていた。


 怪我人はいても、攫われた者も、死んだ者もいない。……俺達が来なければ、そうはいかなかっただろう。……こんな状態が王都中で、ってんだから堪ったもんじゃない。


「行くわよ、リオン。」


「……おう。」


 短く返事をしてノインに続くように、再び夜の王都を駆け出す。前を行くのは少しふらついた姿のノイン。…………やっぱり、ここらで止めるべきだ。このままでは、近い内にノインの限界が訪れる。

 他の奴らには悪いが、ノインを失うのは何倍も痛手だと勝手ながら思ってしまう。


「……このペースは流石に無理がある。俺は兎も角、ノインが――。」


「それでも、やるしかないでしょ。」


 潰れる、そう続くはずだった言葉は、遮られて音になる事は無かった。ちらりと覗く彼女の横顔。不安げな俺と違って、揺るぎの無い瞳が前だけを見ている。


 ……何を言っても止まる気はないんだろう。

 わかってはいた。賢いノインが自分の限界を知って尚、動き続けていることなんて。…………これ以上は不毛、だな。良く考えれば、俺が言えた義理でもないし。 


「…………ま、最悪、俺が何とかしてやるよ!」


「そう、頼んだわ。信用はしていないけど。」


「だから、一言余計なんだよっ!」


 こんな状況でも変わらないノインに思わず笑みが溢れてしまう。釣られてノインの口角が上がっていた。互いに空元気なのは違いない。けど、悪く無い。


 とにかく、今はこの最悪な夜を終わらせる為に尽力する。その上で俺の出来る全てで、ノインの負担を軽減する。それだけが今考えるべき事。……余計な事は考えずにいよう。


 そう決意しなおしていると、不意にノインの持っている魔法具が騒がしく音を鳴らした。


『――――本隊より各隊に伝達。北、東、西は制圧完了。負傷者は本隊へ。以外は南の殲滅に向かうように。繰り返す、北、東、西は――――』


 予想外の朗報に、思いがけず二人して足を止める。見合わせた顔は互いに困惑の色を浮かべていた。


 ……早すぎる。つい先程まで各地で魔力喰らい(マナ、イーター)の報告が出ていたのに。なのに、残り一区画を残して殲滅完了だと……?


「……偽装報告だと思うか?」


「考えたけど、意味がないから違うと思うわ。」


 だろうな。この状況でわざわざ一区画にだけ人を集める意味もないし、何より現場に即座に勘付かれる。


「なら、連絡は本当だと考えるのが妥当だな。」


「えぇ、そうね。……可能性としては、他の隊も合流した、とかかしら……。」


 思案顔を浮かべるノインがそう告げる。ただ本人も可能性が低いと思っているか、自信は無さそうだ。


 実際、かなり無理筋で、無くは無いぐらいの可能性だ。

 騎士団の隊は全てが王都にいるわけではない。遊撃を担当している三番隊なように、別の任に出向いて、王都外での任にあたってる隊も多い。

 王都に常にいるとなると、隊に属さない警邏隊。と、一番隊だけ。

 騎士団の隊の中でも一番隊は常に王都に滞留している。言わば、最終防波堤。彼らが力を貸したとすれば、異常な早さでの鎮圧も納得できる。

 

 ただ、一番隊がこんな事で動くのか、という疑問は残る。確かに王都にて待機しているが、彼等の任は他の隊と違い、王族の守護に注がれているからだ。……現状を憂いて勅命が下った線も考えられるが……。


「……とにかく、朗報だな。さっさと残りを片付けて仕舞いにしようぜ。」


「そうね、やる事は変わらないわ。」 


 一旦疑問は思考の外へ。現状が少しでもマシになった事を喜ぶとしよう。幸いにして俺達がいるのが南の区画。向かう方向も、目標も変えないで済む。

 誰のおかげかは不明だが、終わりが見えた事に素直に感謝しておこう。


 二人して溢した安堵の吐息。少しだけ肩が軽くなった気がしたのは、俺だけじゃ無いはずだ。


――――――――――――――――――――――――――――


「やっぱ、ちゃんと強いな。カイル先輩。」


「………………。」


 あれから更に三体ほど魔力喰らい(マナ・イーター)を倒して、次の現場に駆けつけた時、そこではカイル先輩が交戦中だった。目の前で戦闘を繰り広げる先輩は、魔力喰らい(マナ・イーター)の猛攻を事も無げに剣で捌いていて、まだ余裕がありそうだ。

 

 綺麗な太刀筋、それに型も綺麗で、攻めているのは異形でも、終始流れを握っているのは先輩のほう。同じく剣を使う者同士だが、戦い方は全く違う。

 

 先輩の動きは受け流しが主体の待ちの剣術。

 

 どちらかといえば、攻め続ける事で突破を図る俺とは真逆の在り方。上手く触手の攻撃を逸らして、隙を晒した瞬間に一撃。変に攻めっ気を出さない分、先輩の動きが崩れない。……うん、強い。

 

「……ちょっと、いつまで見ているつもり?」


「あ、悪りぃ。」


 先輩の剣に感心していたら、ノインの声で我にかえる。すっごい非難の視線が背中に突き刺さっている。もう少し観察していたいところだが、仕方ない。


「先輩!助太刀します!」


「……!リオン君!!助かるよ!!」


 俺を見て、険しい表情を緩めるカイル。さっきまでは無の表情で剣を振るっていたから違和感が凄い。それだけ集中していたんだろうけど。


「ふっ……!」


「…………しぃ!」


 場に踊り出ると同時、こちらを目掛けて飛来する触手を斬り捨てる。交わした視線は一瞬。それでも、先輩は意図を読み取ってくれた。

 カイルは反対の触手を切り払うと、飛び退き俺の方へと着地。上手く合わせてくれたようで良かった。

 

「本当に助かるよ…。来てくれなかったら、やられてたかも。」


「ふーん。」


「な、なんだい?その目は。」


 嘘つけ、って伝える視線です。爽やかな顔して随分な嘘をつくもんだ。結構余裕あったの見てたぞ。

 

「…………トドメはノインが。詠唱の時間だけ稼ぎましょう。」 


「なるほど……。……流石はノイン・クランだね。了解したよ。」


 疑問を呈する事もなく剣を構える先輩。もうちょい詳細を求められると思ったが、流石に場慣れしてる。言葉的に、ノインの事も知っているみたいだし、それも理由かもだけど。


「コォロロロロ」


「リオン君、来るよ!」


「おう!」


 声と同時、向かってくる触手を一刀で斬り伏せる。慣れてきたとはいえ、気が緩みすぎたか。触れられば厄介なのには変わりない。

 

 剣を握り直し、見据えるは見慣れた異形。 ……さっさと終わらせてしまうとしよう。いい加減、コイツの相手はウンザリだ。


――――――――――――――――――――――――――


「頼りにしていい、なんて言っときながら、助けられるなんて先輩失格だね。」


「確かに。今度何かお詫びでも貰わないと割に合わないですね。」

  

 数分も経たない内に塵と化した魔力喰らい(マナ・イーター)を横目にカイルがそう言って笑っていた。相変わらず謙遜しすぎというか、なんというか。一人でも難なく対処できていただろうに。面白いから乗っかっておくけど。


「な、なるほど。因みにどんなお詫びだい?」


「先輩の剣を教えてもらうってのでどうですか?」


「あぁ!それぐらいなら全く問題ないよ!」


 俺の提案に朗らかな声をあげる先輩。快諾してくれたのは嬉しい誤算だ。剣技は隠したい人もいるので、本当に助かる。臨時報酬獲得ってな。


 それにしても、カイルは何で一人で此処にいたんだろうか。小隊で動いているはず何だが……。もしや、他の面子はやられてしまったのだろうか。


「先輩、他のメンバーは……?」


「ん?あぁ、僕以外は本隊の方へ合流してるよ。全員無事ではあるんだけど、最初に魔力喰らい(マナ・イーター)と接敵した時に怪我したからね…………。」


「そっから一人って事ですか?……良く無事でしたね……。」


「まぁ、僕はひたすら待ちの姿勢だからね……。耐える避けるなら、それなりの腕があるから。」


 片眉を下げてそう言う先輩。実にサマになってる素振りだ。俺と違って、威圧感が少ない見た目で羨ましい。

 しかし、なるほど。先の剣技を見れば、確か魔力喰らい(マナ・イーター)相手にも遅れは取らないだろう。そんで、連絡を聞いて一人この南区画へと向かってきたわけか。

 中々の働きっぷりだ。隊が潰えた時点で、先輩も本隊で待機していても誰も怒らんのに。


「はぁ……。さっきもだけど気を抜きすぎよ、リオン。」


「……悪かったよ。」


 核を回収し終えたノインが、溜息と共にこちらに寄ってきた。放たれた苦言に耳が痛い。確かにちょっと緩んでいた。


「リオン君のせいじゃないよ。元はといえば、話しかけた僕が悪いからね。」


「そう。」


 すかさず先輩が庇ってくれた。普通に俺のせいだと思うが……せっかく庇ってくれたんだし、否定はしないでおこう。


 てか、ノイン。初対面とはいえ、俺が先輩って呼んでる人に対して、一言返すだけって……。流石に良くないぞ……?


「……ノイン、師匠(アリーゼ)じゃないんだから、もう少し気を使えよ……。」


 誰に対しても無愛想なのは知っているが、いざ目の当たりにすると放っておく訳にもいかない。せめて知人が相手の時ぐらいは、表面だけでも取り繕ってくれ欲しいなぁ。


「あはは。気にしなくて良いよ。改めて、初めまして、ノイン・クランさん。僕はカイル・ヴェルモンド。宜しくね。」


 いつかのように許容した先輩は朗らかに名乗ると、右手をノインへと差し出した。無論、友好の証を求めての事だ。

 そんな先輩を見て一人頭を抱えた俺。なぜって、この先の展開が容易に読めたから。

 

 先に謝っておきますね。カイル先輩。


「そう。宜しく。」


 短くそう返すとノインはカイルに見向きもせず、別の何事かに意識を移してしまう。予想外の返事に先輩の手は行き場を無くして、空中をふらふらと。目を点にしたカイル先輩がこちらを見てくるが、曖昧な笑みで返してお茶濁し。


 先輩は知らないだろうけど。

 ノインがその手のコミュニケーションをとるわけが無い。ノインは必要最低限でしか人と関わらない。自己紹介が済んだなら、他は捨て置かれます。握手は悪手ですよ。……なんちゃって。


『――――本隊より各隊に伝達。現時点をもって、全ての区域での討伐を確認。各自速やかに本隊へ帰投されたし。繰り返す、現時点をもって――』


 何とも居た堪れない空気感を切り裂いてくれたのは、魔法具からの通信だった。有難いタイミングで鳴ってくれて感謝しかない。

 

 それに、どうやらカタが付いたらしい。相変わらず早すぎる展開だとは思うが、同じく嘘ではないはずだし、とりあえずは喜んでいいんだろう。タイミング的に俺達のが最後の一体だったんだろうか。


「んっ、んん。何とかなったみたいで良かったね!」 


「そ、そうですね!本当に!」


 空気を飛ばすようにカイル先輩が不自然に声を出す。本当に何となって良かったです。二つの意味で。…………当の本人は未だに目を閉じて考え事してるのが腹立つが。


「うん、本当に良かったよ。こんな事初めてだったしね。……複数体が同時になんて、報告を聞いた時はどうなるかと。」


 たはは、と苦労を感じさせない笑顔を浮かべるカイル。何度か調査隊に加わった、って前に言ってたし、初めてじゃなかった分、焦りは多かった事だろう。それを見せず笑ってみせるとは。中々に豪胆だ。


「……複数体いるって事は、誰も知らなかったんですか?」

 

「そうだね。というより、正確に姿を捉えたのが初めて、かな。」


「そうすか…。」


 予想通りの返事が返ってきた。

 これからの事を考えると嫌になるが、一旦は俺たちの仕事は終わりと見ていい。魔力喰らい(マナ・イーター)の詳細もノイン経由で師匠に伝わるだろうし、そこから先は追って考えればいいさ。


「さて、と。僕は少しだけ辺りを見回してくるよ。逃げ遅れた人とか、撃ち漏らしがいないとも限らないからね。」


「俺も付き合いましょうか?」


「いや、大丈夫!……リオン君達は動き回っていたんでしょ?……なら、今ぐらいゆっくりしてなよ。」


「助かります。何かあったら直ぐに言ってくださいね。」


 ひらひらと手をふって、離れていくカイルの背中。付いて行くべきなんだが、言う通り体力は限界に近い。気を抜けばその場にへたり込むぐらいには、疲弊しているのは事実。

 邪魔になってしまっては元も子もないし、甘えさせてもらおう。


 カイル先輩を見送りながら、張り詰めていたものを吐き出すように息を吐く。

 

 ようやく、終わった。久々に精魂尽き果てるしんどい内容だった。安堵感からか、全身を忘れていた疲労が襲ってきてる。

 後の事は全部誰ぞに任せて、夢の中へと旅立ちたい気分だ。行きから勝手な行動してたし、咎められる事はない気がする。……それぐらいは頑張ったしな。


「ねぇ」


「ん?」


 声のほうにと顔を向けると、ノインが真剣な面持ちで俺を見つめていた。先程から考え込んでいるとは思っていたが、新たに気付いた事でもあったか?


「どうしたよ。」


「……まだ、確証はないのだけど。」


 珍しくハッキリとしない態度だ。それでも、口にしたと言う事は、見過ごせない何かなんだろう。良い報告だと嬉しいんだがなぁ……。


「別にいいぞ。言ってみ。」


「そう。……リオン、あのお―――」


「――――ッ!!!!」


 ノインが二の句を継ごうとしたその時、

 

 ノインの首が、俺の首が切り飛ばされた。


 ――と錯覚するほどの殺気。

 そんなものが突如として襲ってきた。


「っ!ノイン、下がってろッ!」


「え、えぇ。」


 即座に剣を構えて殺気がした方へと向きなおる。ノインは訝しげにしながらも、俺の後方へと。


 この反応。

 ノインはさっきのを感じ無かったのか……?


「…………っ。」

 

 嫌な空気が肌を焼いてくる。

 明確に俺達を殺しにきてる意思が漂っている。

 

 違う。俺達ではない。

 

 ()()()()()()を殺しに来てる。

 

 ついでに向けられた殺気なのに、頬に冷や汗が伝い、心臓がうるさい。本能が警鐘を鳴らし続けている。


「ほう、反応されるとは思っていなかった。飾りの護衛ではなかったのか。」


 第三者の、殺気の主の声が響き渡る。

 最悪な事に聞き覚えのある声だった。

 数時間前に聞いた声だ、忘れるはずが無い。


「ふむ。学園にいる有能な者は把握していたつもりだが、漏れていたのか。」


 …………冗談、だろ。何で、アンタがこっちを殺しにくるんだよ。


「存外に楽しめそうで安心した。」


 影からゆったりと歩を進め、その姿を露わにしたのは。

 

 左右を刈り上げた金色の短髪。

 猛禽類を思い出させる鋭く険しい瞳。

 胸元に白百合が描かれた白銀の鎧と、腰に下げられた二対の短剣。

 左目の目元から頬にまで描かれた稲妻の刺青。


「グリード・ヴェイン……!」


「っ!何で、貴方が……?」


 "迅雷"と名高い王国最優の騎士が、はっきりとした敵意を携え、俺達の前に姿をみせたのだった。


「亡き同胞達の無念晴らさせてもらうぞ。」

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