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神話 伝説 歴史 詩集

古代エジプト詩『ラメセス2世讃歌』

 世界の神話伝説や歴史を題材にした詩、第13弾。古代エジプト最強の王、某ゲームでも「オジマンディアス」の名で登場する偉大な王、ラメセス2世を讃えます。途中まで書いたものの、完成させられずにいましたが、本日2023年6月4日(日)放送のTV番組『世界遺産』で、この王様が建てたアブ・シンベル神殿が紹介されているのを見た勢いで、書き上げました。この詩をラメセス2世その人と、自分が尊敬するエジプト考古学者の吉村作治先生や河江肖剰先生、河合望先生や大城道則先生をはじめ、古代エジプトを愛するすべての方々に捧げます。

 ラメセス大王、いにしえの 

 エジプト治めしファラオの中で

 最も偉大な王者の一人。


 おお、偉大なるラメセス、

 王の中の王なるオジマンディアスよ。

 御身若かりし頃、世に名高き戦ありけり。

 御身自ら黄金の 二輪戦車チャリオット駆り

 二万の大軍率いて出陣し、

 北の大国ヒッタイト、かのくろがねの帝国と、

 大河オロンテスよりほど近き

 カデシュなる地にて一戦を

 交えたるなり、いと激しく。


 ヒッタイト王ムワタリは、

 狡知に長けたる策略家。

 眼鏡蛇コブラのごとく抜け目なく、奸計の網をば張り巡らせて、

 ラメセス、御身を誘い出す。

 ヒッタイトの精鋭手ぐすね引いて 待ち構えたる罠の中、

 獲物よ来いと待ち受ける、ナイルの王なる河馬かばの口へと。


 おお危うし、罠にまり敵勢に 四方囲まれたるラメセスよ!

 されど御身は性、豪胆。

 己が命の危険も顧みず、単身敵勢 二千五百のただ中へ、

 強弓こわゆみ引きつつ突き進み、

 敵に降らせた 矢のあめあられ

 かくて窮地を切り抜けた 勇猛果敢なラメセスは、

 その後も策士ムワタリと 一進一退繰り返し、勝機つかめぬうちに引き分けたり。


 されどラメセス大王は、

 エジプトの民には己が奮闘 誇張して、

 敵の大軍、余が一人で蹴散らしたり、

 大勝利なるぞと胸をば張りぬ。


 その後、ラメセス大王は、

 ムワタリ亡き後、王位を継ぎしハットゥシリ、

 ヒッタイトの新王と 和平の協定結びにけり。

 これぞ名高きカデシュの和約。白銀の板に記されし、

 世界最古とも言われたる 平和のための条約なり。


 ラメセス大王、その後も幸運、長寿に恵まれて、

 ナイルの賜物エジプトの 輝ける一時代を築きたり。

 百三十四の石柱並ぶ カルナックの大神殿、

 永遠の神殿ラメセウム、アブ・シンベルの大神殿など、

 数多の神殿建立し、後世「建築王」と呼ばれたり。

 最愛の妻ネフェルタリら 愛した女性は数知れず。

 百人超える子をもうけ、ラメセス一家は大所帯。

 おお、かくも家族に恵まれて、民にも慕われたる大王よ!

 御身は六十六年国治め、よわい九十にして大往生、イアルの野へと旅立ちぬ。


 ラメセス身まかりし後、エジプトは 沈む夕日のごとく衰えて、

 ファラオの時代もやがて終わりぬ。

 されど今なお天空そら渡る 太陽神ラーの輝くまなこは年に二度、

 アブ・シンベルの大神殿、その最奥に座すファラオを照らす。

 暗がりにおわす冥界神プタハの傍らで

 神々の王なる最高神アメン・ラー隼の頭持つ太陽神ラー・ホルアクティ

 二柱の神に挟まれ座り給う、

 ラメセス大王、御身の像を——。


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