犯人はあなたです! つまり、あなたが犯人だということです!
「だから俺は何もやってねえよ!」
「それでは昨日の18時ごろ、あるいは午後6時ごろ、どこで何をしていましたか?」
「ダチとバーで酒飲んでたっつってんだろ! 店に確認とれよ!」
「どうか落ち着いてください。私はこの事件をハッピーかつクールでセクシーに解決したいと考えています」
「正気かよ……大体俺がやったっていう証拠でもあんのか!?」
「くっきりではありませんが、おぼろげに浮かんできたんです。あなたの名前が。シルエットが浮かんできたんです」
「はあ!? おい、誰かそっちにいるんだろ! こいつマジで頭おかしいんじゃねえか?」
マジックミラー越しに取り調べを観察していた刑事の佐藤はため息をつく。
「なあ、本当に大丈夫なのか?」
「全く問題ありません。あなたもじきに理解するはずです。トートロジーの申し子、大泉逃次郎の恐ろしさを」
大泉を刑事課に推薦した鈴木は自信と確信に満ちた笑みを浮かべていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
事情聴取開始から一時間後。
「おい……頼む……もうやめてくれ……」
「現場にはプラスチック製の容器が残されていました。ちなみにプラスチックの原料は石油なんですよね。意外にこれ知られていないケースがあるんですけど。そういえばプラスチックって……」
「分かった! 認める! 俺がやったんだ!」
「本当に反省しているんですか? あなたの問題だと思うのですが、反省をしていると言いながら、反省の色が見えない態度を取るというのはあなた自身の問題だときちんと反省して……」
「許してくれ!! おい!! 誰か!! 俺が犯人だと認めるから!! 早くここから出してくれ!!!」
取り調べを終えた大泉に、佐藤が声を掛ける。
「よくやったじゃねえか。正直、全く期待してなかったが、これからの時代はお前みたいな奴が創っていくのかもしれないな」
「ありがとうございます。私も今のままではいけないと思います。だからこそ、警察は今のままではいけないと思っています」
苦虫を噛み潰したような表情の佐藤と対照的に、大泉はどこまでも爽やかでセクシーな笑顔を浮かべていた。




