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序章__スベテノハジマリ

この世界の真ん中に男は居る。


ただただ静かに。この世に残るただ1人の人間として


その姿は月光に照らされる1つの芸術のようだった。


人は言う。

皆の言うことに従えと


人は言う。

正しいことをしなさいと


人は言う。

正しいからそれは正しいと


それら全てを疑うことをしない。


幼い頃から当然だと思う事を疑わない。それが人間。


それ故に衰退すること知る由もなかった。


だがそれも全ては自らの過ち。過去には戻れない。死したものは蘇らせない。


それら全ても人は当然だと思い込む。


なぜ過去には戻れない?


戻れない理由を作って戻れる理由を探そうとしない。


そうした固定概念を持ってはいけないと男は考えていた。



艶やかな銀髪が風にたなびく。その男が自然や地球に受け入れられたもののように。


月に照らされた表情はまだ幼さの残るもの。

しかし頬に残る傷はその男の過去を物語っていた。


人間は愚かだ。


金と言う概念に縛られ金の為に争う。


金が無ければ飢えて死ぬ。


そんな理不尽が世界から人を消したのだろう。


死んでもそれに気づけないのだから愚かなものだ。


「ふぅ……」


短く吐息を吐く。


それと同時に宙から水滴が落ちてくる。


この場所は男が作ったものだ。


寄せ集めで継ぎ接ぎで……


しかし円状に空いた屋根から差し込む光は男の心を高揚とさせた。

周りから見ればそれも無表情には変わりない。


……見る人が居ないのだから関係ないが


その男は吹っ切れるのが早い。

それを美徳とも悪徳とも考えない。


頭が悪いのではない。概念を知らなかっただけである。


その概念を聞いても男はきっと興味を持つことは無いだろうが。



この錆びた世界で出来ることは少ない。


人はおろか、動物さえ居ない。


まず男は食べ物を食べなければいけないと言う概念を超越した。


何かを食べたいのなら海へ行けばいい。


別に食欲が湧かないのなら世界を歩けば良い。


世界は広い。いや、男から見れば狭い物だ。


歩いていけばいずれ何処にでも行ける。


歩けないのなら泳げば良い。


無理なら持ち主が消えて放浪とした船を使えばいい。


……そうして男は眠りについた。



次の日。太陽が昇る頃、男は覚醒した。


辺りを見渡し1つ伸びをする。


男は名を月華零(ゲッカレイ)と言う。


15の歳にして家族を失い1年が経つ。


元々虐待されていた身だ。

家族に情など無い。



裸足でぺたぺたと外に出る。


今日も太陽が眩しい。


世界は人が消えて明るくなった。

一方夜は驚く程暗くなった。


当然と言えば当然。これが地球のあるべき姿だろう


男には朝の日課がある。


それを済まさねば一日が始まったと感じない。

いや、感じさせない。


男は極力喋らない。

そもそも話す必要が無いと感じるからだ。


だがその考えは概ね正しい。


男が話してもその声が耳に届く者など居ない。


もちろんその声を聞く者が居れば別の話で…


「元気か。少年」


孤独な男の傍に近寄る黒い化け物。


化け物に名前なんて無い。


あっても意味がない。


「お前こそ。……まぁ、元気だよな。」


男の声は辺りを震わす美声となって化け物の耳に響いた。


しかし、その声はいつも寂しげだ。


全てを見放し、固定概念を捨てた代償。


表に出さなくとも男はまだ16歳の少年だ。


年相応の反応もする。


「俺は見ての通りだ。困ったことがあれば呼べよ、少年。それじゃ」


「あぁ。」


これが男の日課だ。


現存する中でこの世界で唯一の話相手『化け物』


しかし、男の人生の中で最も心を開いたのも化け物だった。


「……さて。」


今は無き東京と呼ばれた地を見渡す。


建物にはツタが絡み、道路沿いからは植物が生い茂っている。


今となっては見慣れた光景だ。

むしろ過去の東京を見せられると驚くだろう。


継ぎ接ぎの階段を降り靴を履く。


履きなれた靴に手早く足を入れ、廃れた道を歩き始める。


相変わらず太陽は眩しい。


慣れてなければ目を痛めるほど……


さて、男は荒廃した街を歩き始めた。


1歩ずつ、1歩ずつ……


今日は男の起点となる日だ。


男はそう考えている。


しかし、男がしようとしていることは、周りから見ればただの起点などでは無い。

簡単に表すならば無謀。


そんなもの作るから進めない。上限を決めていてはその先へは進めない。

未知に挑戦しなければ成長なんて出来ない。


「行くか。」


己の目的の為に地を深く踏みしめた。

ども。こんにちは、こんばんは、おはようございます。REIKAです。

「異世界行きたいって言ったけどガチで行きたいとか言ってねぇ!」と「Be God。訳あって神様稼業始めました」に続く3作目です。

実はこの話の最初のタイトル候補が終末世界だったのですけど、友達に聞いたら「これ消〇都市と名前も内容も似てるね」との事だったので変更しました!

ちなみに申し訳ないですけど消〇都市は見た事ありません……


さて、この話の投稿頻度になりますが《毎週木曜日の夜20時》となります!

今回はいせガチの執筆の為に(執筆途中の小説があると他の話が書けないんです)投稿しました。


という事なので、これからよろしくお願いします!

最後まで読んでいただきありがとうございました


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