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プロローグ
更新は不定期です
「ぐわっ」
短い悲鳴と共に一人の男性が土砂降りの路地裏に力無く伏せる。
男を中心に広がっていく真紅の液体は雨に打たれ滲んでいく。
その傍らで佇む一人の少年。細身の身体に黒のウィンドブレイカーを羽織り、その黒髪は雨に濡れ顔に張り付いて表情がよく読み取れない。しかしその黒髪の間から見える瞳はどこか悲しみに満ちている。
右手にあるのは漆黒の刀。
周りの景色に溶け込むように静かに佇むそれはなにか異様な雰囲気を纏っている。
――ザアアアアア……
アスファルトに跳ね返る大粒の雨。少年は再び天を仰ぐ。
雨はしばらく降りやまないだろう。