ラスタリア(星の核)になる者
「トゥーメリア 共に生きよう」
白銀の太陽の差す、休日の往来する人々の群れをすり抜けてゆき、獲物を狙う鳥のように立ち、じっと軽く手や肘の関節を自然に曲げて、私を招く。柑橘系の黄色いパーカーに黒い生地とシンボルのような柄を覗かせた一人の男性の姿が目に入った。
大半の考えとして、赤の他人が突然喋りかけてきたら、余計なことに関わりたくないから、無視をしたり一言「急いでいるので」とか「すみません」と断ってその場から立ち去っていく。ごくごく自然な話である。
そう・・私に似た世間的な変わり者を除いて。もちろん、どんな人でも突然話しかけられたら、ビックンっとまるで、木のささくれが指に刺さったような感覚に襲われ、ささくれを抜こうとするためにまずは、対象に目をつけるそんな感じだ。
パーカの男は、そんな表情を見て楽しんでいるのか、ニヤリと不敵に笑い。深層心理を内側からえぐるように、ほんの一言を呟いた。
「トゥーメリア」
「共に生きよう」
気分が悪くなる。心の大動脈に小さな穴を空け、自分の血圧で穴を裂けながら広がり成り行きのままに、言葉を流血を起こしたように吐いた。
いつものことながら、変なことをしていたら。周りから冷めた目線が霜柱をたち始め次第に足を拘束していく。やがて、吹雪はじめ氷の牙が頬をかすねていく、次は刺さることを覚悟した瞬間だった。
パーカの男は、顔を緩ませ安堵した表情浮かべ、手の力を落とし。人霧に紛れ消えって行った。
それと同時にいつもどおりの現実に戻された。凍えた私は、しばらく立ちすくすことができなかった。だけど私は気づいた。
あの男性と似た存在をよく知っている。凍りついた、心が溶けてくにつれてその結露した、雫は次第に私の頬を濡らし、かすり傷に染みていた。それは、21年の短い人生の中で唯一。
大切な人々を殺してきた、私を満たし流れつつ幸せなになれる、場所を与えてくれた存在である。確かその名は・・・。