便所ウォーズ
——サカ鬼さん、龍矢さん。一体どこで何をしているんですぅ〜?——
——今すぐ戦場に駆けつけてください、大学が襲撃されていますぅ〜——
「そうは言っても、ケツから酒が止まらない」
「右に同じだ、トイレが清潔でよかったよ、うががが!」
二人はトイレの個室に閉じこもっていた。
「ちくしょう、酒でも腹を下さない俺が、大福アイスで腹を下すとは」
「ドラゴンの胃袋はこんなものだったのか? すっごいショックを受けている」
ミズノが情けなさそうに、
——あんなくだらない勝負してるからですぅ——
「あん? ミズキ、酒も飲めねぇ女が言っちゃいけねぇことだ」
「そんなこと言う前に爪の手入れをしたほうがいい、見た目は綺麗だが清潔じゃないはずだ」
——ああ言えばこう言うですぅ——
すると、二人は呻きながら腹を抑えた。
「おいドラゴン、このままじゃラチがあかねぇ、お前の分も代わりに出しておいてやるから早く戦え」
「ふざけるな! 酒飲みすぎて頭悪くなったのか!?」
「うがががががが」
「腹がああああああ!」
別室のモニター前ではミズキがサファイヤのような髪の毛をくるくる弄んでいた。すると、か弱い声で隣のミズノに尋ねる。
——先輩〜、これどうしたらいいんですかぁ〜?——
——ミズキ、私は今よしきのオペレートしているから後にしてちょうだい——
——そんなですぅ〜——
その時、サカ鬼が思いついた。
「そうか、俺たちが便所に入ったまま戦えばいいんだ」
「なに? 便所に入ったまま?」
「龍矢、お前がドラゴンに変身して翼と尻尾だけを便所から出して攻撃、その間に俺が腹のなかの門を出し切る!」
「どういう原理だよ!?」
「まだ話の途中だ!」
「それ以上話して何の解決になるんだ!」
「その後、俺が便所から出てきてお前が大便を出し切るまで全力で死守する! よし、完璧だ」
「どこがだ!? 同じ便所に入るだけでも不潔だというのに!」
——作戦はわかりましたですぅ——
——今から二人を一つの便所に転送しますですぅ——
「汚いからやめてくれ!」
だが、龍矢の意見を踏み倒すようにサカ鬼が腹を下す。
「うがが、ついでに戦場に送ってくれ! 話はその後だ!」
——わかりましたですぅ——
「汚いからやめてくレェ!」
——転送ですぅ〜——
サカ鬼と龍矢は便所ごと戦場へ転送されてしまった。便所からは二つの個室がなくなり、大きな円形の跡だけが残された。
シュバ!
便所が二つ転送された。中ではまだうめき声が聞こえる。
——転送しましたですぅ〜、多分——
「そうか、だが龍矢がいないぞ。うががが、あいつがいなければ戦かえない」
「俺は隣だぞ、そして同じ便所に入るのは勘弁だ」
——サカ鬼さん、龍矢さん。お腹下しているところ申し訳ないですぅ〜——
——そこはかなり危険なので今すぐ避難をお願いですぅ〜——
「そんなこと言われたって! ドラゴン! 早くこっちに移れ!」
「バカ! 本気で拒否する!」
「そんなこと言ってる場合か! ほら、早くしろ!」
「こら! トイレを蹴るな! 揺らすな揺らすな!」
——早く避難をぉ〜——
サカ鬼がトイレを揺らしてしばらく、便所の留め具が外れた。
個室が張りぼてのように壊れて、様式の便所に座った二人が、露わになった。
しかし、それより驚いたことがある。
目の前の景色は、どこか高いところにいる気がする。
よく聞くと、争いの音はかすかで、凄まじく風を切る音が耳を塞いでいた。
足元が茶色で砂漠の色とは違う。何か巨大な岩の上のようだ。
「「ここはどこだ?」」
——隕石の上ですぅ〜——
「「なんだって!? なんでそんなところに!?」」
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「らしくないな。手のエネルギーは10秒も我慢ならん! 隕石はあと何個だ?」
——あと10個です——
それを聞くとよしきは鼻をこすって、
「連れて行け、一番でかい隕石の前に」
——了解、転送します——
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サカ鬼と龍矢の前に突然、黒の装飾この上なくうるさい姿が現れる。
両拳には青筋を当てて、とても大きなエネルギーを堪えているように見えた。
「よっしゃ、これだな!? 吹き飛ばしてやる!」
「「ちょっと待ってよしきぃいあああああああ!」」
「最大火力、Xバースト!」
「「ぎゃあああああああ!」」
——ごめんなさいですぅ〜——
なお、反省はしてない模様の彼女だった。




