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大学最強のサーバント

 太一とゴッサムは隕石に唖然としていたが、今は違う。


 急に気配を感じると、砂漠の真ん中で周囲を途端に警戒し始めていた。

 ゴッサムは隕石の襲撃をきっかけに何かの気配を刺さるほど肌で感じているようだ。

 どっしりとした肉体を余念無く警戒態勢に、握られた拳はゴツゴツとしていてとても人間の手とは思えない。


「太一とやら、ここは砂漠だ。普通、それにこの日差し。ふつう、人間が長時間砂の中で隠れることは不可能だと考えていた」


 太一も二丁拳銃を懐から静かに取り出した。


「そりゃそうだろ。でも、問題はそこじゃないはずだ。もし、砂の中に隠れられたとしても、気配が全くないのはさすがにおかしい。俺だって、こう見えても戦場経験はあるからな」


 周囲でトレーニングをしていたサモントレーナーとサーバントたちも似たように警戒態勢をとる。

 すると、敵はあっけなく姿を現した。

 周囲の砂のから立ち上がる人間の姿、その数7人。

 彼らは皆どこかで見たような格好だ。

 

 太一がその正体に気づく。


「カウボーイ」


 一目瞭然だった。砂漠の中から現れたのは明らかにカウボーイだった。

 茶色の帽子に革製の鞭、彼らは作業服を身にまとって革製品を多く使用している。

 だが、エクレツェアにて、カウボーイは後ろ飼う人間という産業的な存在とは少し違った。

 彼らの総称、それは。

『ガンマン』

 たった4文字で表される彼らは、僧正以上の実力を持っていた。


 ゴッサムがたった7人に思わず腰を引いている。

 太一はその姿が一番衝撃的だった。

 たった今までサーバントたちの凄まじい戦闘力を見せつけられていたのにも関わらず、その中で最強と謳われているゴッサムがたった7人に臆するのは予想外だったのだ。


 そして、その裏ずけもすぐにできてしまった。

 

 

 砂だらけのガンマンたちは、すかさず銃を構えると、辺りにいたサーバントたちに一斉射撃を開始する。

 拳銃にしては重い弾丸の音。

 彼らの一撃は凄まじく、巨大なワニのわき腹に、大きな風穴が簡単に空いてしまったのだ。

 キングコングも簡単に沈める。

 きりきり舞の速度にも簡単に追いつくし、大グモのはらわたすらたやすくうち抜く。

 それがガンマン一人分で起きた被害だ。

 まだ、周囲にはたくさんのガンマンたちが。

 彼らの及ぼす被害は甚大だった。


 サモントレーナーたちはぬりかべのサーバントの後ろに身をひそめるが、その耐久力も時間の問題だ。

 ゴッサムも太一を掴んでそこに引っ張ってきた。すかさず現状を尋ねる。


「一体何が起きてる!? ガンマンが7人もいるぞ!?」

「わからないよ! 7人がどうした!?」

「本当に何も知らないのか!? ガンマンは一人で戦闘機一台分の戦力に匹敵するんだぞ!?」


 太一には正直パッとしない表現だった。今更、戦闘機を引っ張り出されても、彼らの強さがいまいちつかめない。

 だが、百聞は一見に如かずだった。


 太一はカウボーイ姿の7人を密かに観察する。

 目の前に現れガンマンたちは皆二丁拳銃だ。それらの威力はよしきが一度見せたものより、はるかに強い。

 かすかに見た銃の大きさを考えても、明らかにマグナム以上の銃であることが窺えた。

 それを片手でやすやすと扱い、挙げ句の果てには異世界の補正か何かで、一発一発が機関銃やガトリング砲のそれより凶暴だ。

 太一の口から驚きがこぼれた。


「常識はずれだ」


 だが、今に始まった事ではない。

 今、太一たちが隠れているぬりかべもよく耐えているものだと感心した。

 ゴッサムが太一の頬をたたく。


「何してる! 早く奴らを倒せ!」

「できるわけないだろ!」

「エクレツェアのメンバーじゃないのか!?」

「無茶いうな!」


 しかし、そうこう言ってはいられない。

 塗り壁の体を貫通する弾丸が現れ始めた。

 ちょうどゴッサムの後ろにいたサモントレーナーが一人頭を吹き飛ばされる。

 思わず目を逸らしたが、彼を助けるためには一刻も早く異世界技術での治療が必要だ。そのためにはこの場を今すぐ制圧しなければならない。

 だが、太一にそれだけの実力はなかった。


 太一はゴッサムを囃し立てる。

「お前こそ大学で一番強いんじゃないのか!」

「それは……!」

「お前が手伝うならやってやるよ!」

「だが、それは……」

「どうしたんだよ! みんな死んじまうぞ! 早くしろ!」

「……わかった」


 ゴッサムはポケットからサングラスを取り出し、こめかみを指で二度たたく。

 それがサーバント召喚の合図らしい。

 銃撃は続く。

 ぬりかべもう半分ほどしかない。

 危険だ。だが、狙い撃ちされては手の出しようがないのだ。

 一か八か、フィガーを使うか?

 だが、そう思っているうちに、ぬりかべは倒れてしまった。


「まずい!」


 絶体絶命、まさに今の状況だ。

 しかし、ヒーローとは常にそのいうときにこそ現れるものだろう?


『正義の使者、エース・タンクトップ。降臨!』


 誰かが、太一たちを遮るように、砂漠に着地したのだ。

 しかも、あの凄まじい威力の弾丸を、全て体で受け止めていた。

 太一たちはその姿を見ようとするが、逆光でよくわからない。

 だが、そのヒーローは筋骨隆々なのは見て取れた。


「みんな! もう大丈夫だ! 後は任せていなさい!」


 そう答える彼がゴッサムのサーバントだ。

 尋ねる間も無く、エースは中に飛び立った。

 逆光のまま上空に上がると、それは地表に大きな影を生みだし、彼の強さをまたひときわ目立たせる。

 彼の姿が見え切れぬままことは進んだ。

 エースがガンマンの一人に尋ねる。


「君たち! 一体何の真似だ!? 人にそんなおもちゃ向けちゃいけないじゃないか!」

「お前には関係ない!」


 容赦無く弾丸を浴びせられる。

 だが、彼の鋼の肉体にはかすり傷一つつかない。

 へちゃがった弾丸だけが砂漠の上に落ちた。


「よかろう、では正義の鉄槌を受けるがいい!」


 エースが拳を真上にかざす。

 するとその瞬間、彼は新幹線よりも早く飛び上がり、そのまま低空飛行へ。

 砂漠の上のガンマンたちを次々と殴り倒していった。

 彼の高速移動は、ガンマンたちの弾丸をかい潜り、太一たちを狙う弾丸は、目から出る光線で焼き消してしまった。

 とんでもない戦場と化した砂漠の上は、瞬く間に鎮圧され、ヒーローが飛び上がるのみとなったのだった。


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