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さあ、行こうか。最高の世界へ


 最終章 さあ、行こうか。最高の世界へ


 ここは正方形のお城の上。南の塔の上は平らで真っ白だった。

 よしきたちが荒らしたお城も見事もとどおりになって、結局、この国で起きたことはほとんどがなかったことになってしまった。

 でも。一つだけ収穫がある。

 ミーティアがスミレに声をかけた。

「本当にエクレツェアに行くきっすか?」

「ええ、だって私ってまだまだ弱いから、あんたたちのことろで修行させてもらうわ」

 彼女を心配して、ハルトとクロカズが彼女の前に膝間つく。

「本当に行ってしまうのですね……」

「いつでも帰ってきてください……」

 アカリが大きな着物をきて歩いてくる。

「わしもいつかエクレツェアに行くからな、楽しみにしているがいい」

「お見送りに来てくれて、ありがとう」

 でも、彼女が一番来て欲しい人が来ていなかった。

「お鷹の胸さまは?」

 やはり、彼女はこない。もうスミレは一人で生きていけるはずだから。

 少しだけ待ちたかったが、彼女は振り向いた。

「さあ、いきましょうか」

 アカリは心配そうに、

「お鷹の胸を待たなくていいのか?……」

 すると、彼女はにっこりと笑った。

「いいのよ、べつに。また逢えるんだから」

 そこにコーデルの声がかかる。

「準備できたよ、集まってね」

 彼の前には巨人の服が入るくらいの大きなクローゼットがあった。

 向こう側には電流が渦巻き、光で満たされた、行き着く先がどこかまるでわからない世界。

『クローゼットは旅の扉』その言葉の所以だ。

 その前にはサカ鬼や龍矢、スミレ、ミズキ、も集まっていた。

 二人もそこに集まると、スミレがミーティアに尋ねる。

「鏡さんは?」

「また影武者が必要だって先に帰ったっすよ」

 すると、気がつけばよしきが皆の前に大きな仁王立ちをしていた。

 彼は大きく息を吐き、みんなに伝える。

「今回の任務、みんなよくやったな。これでこの世界ともエクレツェアが接続され、大きな力となって発展していくだろう。皆のおかげだ」

 コーデルはそのことに慣れた様子だったが、他の皆は嬉しそうに少しだけてれ始めた。

 しかし、よしきはそこに喝を入れる。

「だがしかぁーし! まだまだ成長の余地はある。それはわかっているな?」

 その場の全員が頷くと、よしきも頷いて、

「よし、じゃあかえろう」

 あっさりしすぎだろ。

 と、言ってみても誰も気にしていないようなのでいいか。

 皆がクローゼットの中に入ろうとした。

「待ってくれ!」

 そこにキシヨが慌てて駆けつける。

「ま、待ってくれよ! 置いてかないでくれ!」

 スミレが彼を叱った。

「急に何よ、あんたはこないんじゃないの!?」

「俺も連れて行ってくれ!」

 コーデルが、ほぅ、と感心してよしきを眺め。それをよしきは手で払いのけるように動かす。

 後ろからマリが駆けつけて叫ぶように言う。

「キシヨ! 帰らないっていうの?」

 よしきは息が上がっていたのを抑えて、みんなに伝えた。

「おれ、間違ってたんだ! おれの名前はキシヨじゃなかった!」

 スミレが理解できずに、

「何言ってるの? じゃああんたは誰よ!?」

「おれは、キシヨじゃない、白堂太一だったんだよ!」

 マリが驚いて口を隠した。

 太一は必死で訴える。

「おれ、何でもするからさ! 一番弱い世界の出身でも絶対に負けないくらい強くなるから! だからお願いだ! おれをみんなの仲間にしてくれ!」

 太一は大きく頭を下げた。

「頼む!」

 よしきは鼻から大きく息を吐き出すと、少しだけ仕方なさそうに言った。

「何言ってるんだ。お前はもう仲間じゃないか」

 コーデルもクローゼットに足をかけて、

「そうだよ、君がよしきに行ったセリフはかなり楽しかったけど、あれくらい僕らの世界じゃ日常茶飯事だからね。気にしないほうがいいよ」

 サカ鬼と龍矢も頷いて、「「うん、気にしないほうがいい」」と合わせると互いをにらみ合った。

 よしきが手を広げるとどうでも良さそうに、

「ま、気にしなくていいってことさ」

 そして彼はクローゼットの先に踏み出すのだった。


「さあ、行こうか。最高の世界へ」


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