表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/89

序章2 リプレイ2 親愛なる友へ

 序章 リプレイ2 親愛なる友へ



『記録データを再生しますか』



yes no



 yesyesyesyes! イェス以外ない。



『スタンバイします』



*****************************************



 ここに来てようやく新しいキャラクターが出てくる。



 キャラクターの名前はキシヨ。この世界で最も勇敢な男さ。物語によると、グレンシアと戦おうと言い出したのもこの男らしい。



 彼もまた主人公であるのだが、この辺がまた旧約聖書をラテン語で朗読するくらいにややこしいため、明らかになるのを待つとしよう。



 そんな彼に、先ほどの青年に太一はどのように感化されるのか。楽しみでならないね。



 時は進み、瓦礫だらけの街は変わった。



 太一の顔は希望に満ちていた。



 この頃いいことばかりだ。



 極東の国を支配下に置いたグレンシアはこの国に最先端の技術をもたらし、どの先進国よりも発展した国に育て上げたのだ。



 街並みは一年前の診療の時が嘘のように整備され、カラフルな壁、清潔な道路、ユニークに満ち溢れた極東の国の首都は簡単に以前以上の活気を取り戻していった。



 青年も身なりも整え、汚れていた白のシャツは新しいのを買い、黒のスーツパンツで清潔感をアピールする。これが今のトレンドだ。



 そんな時、彼に出会った。



「よう、太一。遅いじゃないか」



 声をかけた彼は、白が基調のモダンなカフェテラスに腰掛け、上品さを顔にたたえていた。



 その顔全体のしなやかな曲線が、垂れがちな眉とともに少し情けなさも感じさせたが、目つきだけは芯の通った力を宿していた。



 青のナプキンや、白のワイシャツ。いたるところにブランド名が刺繍された安定したセレブでおしゃれな姿。



 だが、そんな彼も太一が声をかけると、いとも簡単に幼さを飛び立たせる。



「ようっ、キシヨ。待たせたな、5分ほど遅刻した」

「そんなのどうでもいいんだよっ! これ見てくれ!」



 キシヨが大喜びで見せびらかしたのは、ロボットが描かれた青いハンカチだ。



「これは人気アニメ『バーストアップ』と『オメガバースト』のコラボ作品! 二つのロボットアニメが手がけた最新鋭のハンケチーフだ! みよ、値段一枚千円!」



 太一は呆れて、



「おいっ、千円のハンカチなんて聞いたことないぞ」



 キシヨは大声で見せびらかした。



「ハンケチーフだ! これだけは譲れん! それに、見よ! このハンケチーフはグレンシア最大の科学力をもってして生まれたんだ!」



 そう言うと彼はハンケチーフをフリスピーの要領で空高く投げ飛ばし、そして説明を始める。



「これはな、表と裏の生地の間に精密な部品と高度な刃を仕込むことによって生まれた、日本の忍者に感化されてデザインされた最新ハンケチーフ型手裏剣なのだよ! これさえあれば、テロに備えて個人的な防衛が簡単に可能! なにせ、無差別に対象を切り刻んで破壊するものだからね!」



 そうこう説明している間にあたりは切り刻まれていった。


 太一がおののいて、



「おいおい……その辺にしとけ」



 キシヨが右手をあげる。



「回収するときは右手をあげるだけだ」と言っては戻ってきたハンケチーフを掴み取った。



 ドカンと大爆発。



 キシヨはビクッと驚いた。



 あたりはズタズタだ。




 近未来的な東京一角は巨大なビルすらもう傷つく場所がないほど切り刻まれ、先ほどの清潔な姿は何処へやら。



 近くに駐車されていた原子力を利用したエコカーが爆発を起こした。



 これはまずい。



「——逃げるぞ」

「ああ——」



 キシヨは太一を連れて逃げていった。



 彼と出会ってからの生活はこのようにいつも賑やかで、穏やかなことは全くなかったが、そんなちょっとスリルで気兼ねなく話せる友ができた生活は、太一にとって、とってもとっても幸せな毎日だった。



 これが一つ、過去の自分から立ち直るきっかけになったのだ。



 ああ、楽しかったなぁ。



 ギコー、ギュルギュルギュル。



****************************************



『再生を終わります』



 君を太一くんというべきか、キシヨくんというべきか、ちょっと迷ってるよ。



 だからここでは君ということにするよ。

 


 僕はね、人に世界を否定されるのが最も嫌いだ。僕とい語り部に向かって、尺者の声そのまんまじゃねぇか。とかいうのは正直最も屈辱的だ。



 いいかね、僕は正真正銘この物語の登場人物だ。僕を作ったのは母と父さね。



 僕の作り方が聞きたい? プロットを見せろ? いいだろう。



 まずオスの陰茎を挿入して性行為を行う。そして、医者に『はは〜ん、こりゃいっぱつやったなぁ』とか思われながら「おめでたですね」って言われるんだよ。



 そうやって臨月まで食事と運動を適切に行い、定期的に母の健康診断しながら臨月を待つ。



 ここで重要なのはタンパク質を取りすぎてはいけないということだ。子供がバカになるらしい。しかも、ダイエットしてもいけないということだ、子供が太りやすくなるらしい。



 太ると体が慢性的に延焼すると言われている。寿命に関わるんだよ。



 そうこうして臨月を迎えると、父は出産に立ち会う。でも、それは実を言うと逆効果。父が母の出産に立ち会うと出産時の痛みが増すらしい。



 昔のアニメでよく見たが、オトコは出産を外で待つものだ。



 あと、お医者様になりたい方は見ておいて欲しい。帝王切開をしたあとは母体の膣から体液を採取して、赤ちゃんの口の中に突っ込むんだ。



 そうすることで、無菌状態の出産から菌を摂取してアレルギーが発症しにくいらしい。他にもあるよ、生後何ヶ月は外に触れさせる。卵は食べさせすぎない。



 そして、あとは養育費だ。正直に言って、母親は責任を感じすぎる必要がない。先進国なら援助はあるさ。極東の国も子供不足に陥るだろうが、そのうち助成金が出て子供がたくさん生まれるとおもおよ。



 もう一度言う、母親は何の責任も感じる必要がない。ただ子供の自由にしてあげればいい。母親はどんな教育をしてもそのうち、ああしてやればよかった、こうしてやればよかった、もっといろんなことをしてやればよかった、そう思うんだ。



 だから、今をもっと大切に生きよう。だから、幸せになることを考えよう。



 辛いのは時間の無駄さね。



 つまり、僕にプロットなんてないのさね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ