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ばかああああああ!

 単純に言うと、一人の死が原因だ。



 誰も悪くないのに起きた戦争は、たった一人の親友を簡単に奪い去ってしまった。



 荒れた荒野に一人たたずんでも、灰色の煙が上がるばかりだ。両手で額を覆い隠し、泣き喚いても、夕日の洗浄にこだまするのみ。



 誰も助けてはくれなかった。いや、仲間は大勢いた。だが、誰も親友が消えたときにできた大きな穴を塞げなかったのかもしれない。



 その結果、我々エクレツェアの民が最も危険視するイレギュラーが存在したというのは、また別のお話になる。



『たった三文字』でとある名前で呼ばれた親友。彼は、未だ太一の心の中に芽生えている。



 太一が現実を見るまで、友に歩むのだった。







**********************************




 春。グレンシアとの戦いからまた一年が過ぎた。いま、太一は20歳だ。



 彼は今、大きな建設物の中にいた。紛争中はこの場所を反乱軍の基地として使用していた。中には住居や防衛設備が整えられていた。


 

 外から見るとチェック柄の白いドームで、紛争後に建てられた平和の象徴である。



 その建物の中にある広い中庭。お墓の前で目をつむっている。丁寧に手を合わせて



 ぷるるるるるる、ぷるるるるるる



 なぜこのタイミングで緊急用電話が鳴るさね? おっと、さねさねは出来るだけ抑えないと。



 何が起こったか簡潔に説明する。先ほど紹介した僕の紺色の書斎に置いてあった黒い固定電話が鳴り響いたのだ。



 僕は書斎から一歩も出ずに、語り部の仕事をしている。



 服装もいつもと同じ、一流のテーラーに仕立ててもらった最高級の紳士服だ。つたの刺繍が入った、特殊な紳士服。銀色の糸がアクセントの逸品だ。



 最新鋭のモニターシステムが僕の机の上に立ち並んでいる。僕から見て右の緑のモニターは、過去。クリアなモニターは現在。左の青いモニターは未来を映し出している。



 正直、どれもこれも、最初に語らった中庭しか写っていない。しかし、青の未来を映すモニターだけは、何名かの人間を映し出していた。



 中庭は外と同じくらいに美しく、滝も流れ、一番奥に小さな碑石が置いてある。その前には太一という少年が、親友に向けて両手を合わせている。彼は主人公だ。



 それを後ろから眺めるのがその他二人の登場人物だ。一人は女で凛々しく清楚が印象的な、ドレス姿のお姫様。もう一人はおっさんで、襟元が赤いダウンを着ている、ファンタジーのドワーフみたいな出で立ちだ。



 皆、凝りに凝ったキャラクターとなっいる。僕が小説を読んだ限りでは、非常に濃ゆい仲間達だった。



 この光景は、あと10分くらい先の光景である。三人は物語の終局を飾るにふさわしい顔達だった。



 しかしながら、我々がこの異世界を作ってから語らってきたこの三人も、しばしの解散だ。しばらくは、太一の物語を語っていくこととなるだろう。



 そう思うと、今までの感情が沸き立ち、とっても名残惜しくなるものだ。



 語り手とは小学校の教師のようなもの。物語が先に進めば、別れもあるのがこの仕事だ。



 ぷるるるるるる、ぷるるるるるる



 電話が鳴り響いいたさね。黒い固定電話だから、音も容赦ないさねねぇ。



 いやそんなこと言ってる場合じゃないさね、もっと前から説明しようか。



 僕は語り部だ、名はリレイザ・マルコヴィール。先ほどの展開を踏まえればわかるはずだ。



 僕と詠嘆のエクレツェアが、異世界を創造しようとしている。というか、もうすでに作ったわけである。



 まあ、語らうまでもなだろう。だが、あくまでも仕事だ、最善は尽くさせてもらっている。



 ぷるるるるるる、ぷるるるるるる



 ……まあ、今は語らうことが先決だ。それにもう一つの問題があった。



 ぷるるるるるる、ぷるるるるるる



 仕事人の僕がクライアントの前でふんぞり返っているのも書斎の中までさね。と言っても、僕はまだ書斎にいるのだ。先ほど語らった中庭の緑豊かな景色を、部屋のカメラで眺めている。



 ようやくここまで来た。異世界の創造が終わったところなのだよ。なのにだ、僕の仕事は続いている。



 これは、タイムリープして時代を変えたのにも関わらず、『あれ? 総理大臣一緒じゃん!?』というくらい変な話だ。



 僕はてっきりこう思っていた。異世界が完成すれば、語り部の仕事は終わる。でも、詠嘆のエクレツェアの考えはちがった。



 この異世界の主人公に、詠嘆のエクレツェアを継がせる。それが最終目標。その目的が完了するまでは語り部を続けないといけない。そう言われてしまった。



 だから今でも書斎の中。僕は仕事の最新設備に囲まれながら、作った異世界を眺めているのだ。



 ちぃ、あの時さね。



『それは面白い物語じゃないか』



 とか言わんかったらよかったさね。明らかに調子に乗ってしまっていたさね



 ……さねさねは仕事中は抑えねば。

 ぷるるるるる、ぷるるるるるる



 というか、なんでこんな裏話語っているんだ? 確か、本編が始まるはずだった。僕はこの物語の主人公について語っていたはずさね。



 太一という人間がどれほど嘆いたか、それを伝えることができたはずなのに。なのに電話が鳴って…………そっか、完全に理解した。



 おい、まだ始まったばっかりだぞ。勘弁してくれよ。語り部が止まったらどうなるのかわかるよね?



 ぷるるるるるる、ぷるるるるるる



 全く容赦がない。しかし、止まってしまったものは仕方がない。僕は電話に出ることにした。



 ガチャ

——緊急事態です、マルコさん——

 ガチャン……



 僕はゆっくりと受話器を置いて、電話を切った。なぜなら、今の声は受話器からではなかったからだ。



 今のはミズノという女性からの連絡なのだが、彼女たちは遠距離から人のサポートをすることが主な仕事内容なのである。



 今のは彼女たちの特有の通信方法で、遠隔から人の鼓膜を揺らしてきたのだ。つまり、特殊な方法で声を耳に届けけることができる。



 電話を切ったのは、僕の鼓膜を直接、それも豪快に揺らしてきたからである。電話を鳴らしてきた意味がまるでないからである。



 僕はもちろん書斎で約1200回目のため息をついた。数は問題ではない。



 なぜわざわざ電話を鳴らしたんだ。マナー違反もいいとろだろ。



——マナー違反で申し訳ないです——



 冷静な声。僕は思わず耳を塞いだ。だが、彼女達の遠隔的な鼓膜の操作はそう簡単に遮断しきれない。



——お仕事について報告があります。出切りだけ礼節を重んじてお話いたしますので、お聞きください——



 わきまえているならまだいい。だが、ここで一つだけ大切なお知らせだ。



 もう何回も言っているからわかるとは思うが、僕は語り部だ。普通、物語を淡々と進めるものだ。それが僕の役割だ。



 皆は暗黙の了解という。



 そうして物語をすすめて、終いには『めでたしめでたし』っていうのが生きがいだ。それこそが僕の役割だ!!



 どの世界、どの運命、どの物語にも存在する語り部という存在は、なくてはならないキーパーソンなのだよ。



 わかるかね!? ひねくれガール。



 もう少し詳しく説明するとだね、たとえ



——手短にお願いしますね——



 なんだとぉ! 語り部の私に手を抜けというの



——手短にお願いしまぅっゔぉおおおん——



 あがああああああ!



 つい悲鳴を上げたが、たった今僕の鼓膜が大音量で揺さぶられたのだ。調整前のライブのマイクがごとく、爆音のノイズが響き渡った。



 これはおそらく、向こうの調整ミスで起こったことであろう。



 ばかあああああ! 鼓膜破けるさねよ!



——失礼しましウィイン——



 うぅ!

 鼓膜が……バンド経験の少ないロックバンドみたいになってるさね! 激しいのはシャウトだけで十分さね! いちいち語りながら耳をふさぐ身にもなりたまえ!



 ……こなくそぉ。こんなに馬鹿にされて黙っていられるわけないさねよ! 僕は、目の前のモニターに顔を限界まで近づけて、心の限りを叫び倒した!



 そんなに気に食わなかったのかさね?

 そんなに長かったのかさね?

 まだ序盤じゃないのかさね!?

 僕の主張はそんなにおかしいのかさね?

 語り部は黙ってろとでもいうのかさね!?

 馬鹿野郎、じゃあ一個だけ言わせろさね。



● 僕がオメェラにしゃべりかけるときは●って付けるさね!

● 丸が付いてないところには喋り掛けてくんじゃないさね!

● お前は必要最小限のルールも知らないのさねか!?

● 僕の声はよぉ! さね!

● エネルギーの扱い方をわきまえている人間にしか聞き取れないようになっているんですよ!! さね!

● だから基本的に●つけて喋りかけたい人だけに、聞こえるようにしますさねぇ!!

● もうこれ以上は勘弁してつかぁさいぃいい!……さね。



——ウィン——



● 返事のつもりさねか?



 ミズノはいつも冷静だ。とても、声から察する若さだとは思えない。だが、彼女の場合、たまにこのような締まらない展開になってしまう。そこは改善してもいいと思うさね。



——詠嘆のエクレツェアが現在のシーンに向かいました——



● って……は? いまなんて言ったさね?

● あいつの出番はまだ一年も先じゃないかさね?

● 言っておくが、そんなもん妊娠してないのに出産するようなもんさねよ!?



——つべこべ言わないでください——



● 言わせてるのはそっちさねよ。



 僕はミズノに言われるがまま、モニターを切り替えた。一昔前のブラウンんかんテレビのように、取っ手を回してチャンネルという名のシーンを変える。



 戦場、保健室、銅像の前、広場……あ。いったい何がどうなって……ナンテコッタイ。



 僕はその瞬、珍しく間眉をひそめた。



******************************************



 晴天が広がる網目状のドームの元、広場にはポツンとお立ち台がある。風が吹き、太陽が照る。広場は人々の歓声に覆われていた。



 はずだった。



 だが、いまはその逆だ。



 曇天、冷たい風が吹き、雲のねずみ色が雨の匂いを漂わせる。広場には誰もいない。グレーのタイルが敷き詰められているそこには、歓声も響いていないのだよ。



 ばかばかしい。



 このくらい時間は、雲がかかるとどこかおどろおどろしく、雷が轟かないのは幸いだった。



 極東の国がグレンシアから独立した記念日。今日ここが、そのお祝いの式典場、だった。(過去形)



 だった。(過去形)



 そう、だったのだ。(過去形)



 あの馬鹿詠嘆のエクレツェアが!

 何かやらかしたのさね!

 あと20分で始まるはずの式典を!

 なかったことにしているのさね!

 あのど素人が!

 だからあいつとの仕事は嫌だったんさね!



 しかも、もう語り部は本格になっているのさね!

 まさかの三人視点さね!

 僕はどこにもいない!

 僕の視点が宙にプカプカ浮いているだけのこの有様さね!

 どうやって表現しろと!? 

 詠嘆のエクレツェアめぇ!

 あいつの提案は僕を毎回すんばらしく追い込んでくれるさね!!



 あぁ、今僕の心癒してくれるのはこのしっとりとした空気だけ……ってちょっと待つさね!

 なにさね、あれは!?

 なんで紫の穴がぽっかり空いているんですかぁああああ!?



……叫びすぎた、こ、声が……平常運転だ。



 曇天には風穴が空いたような紫の小さな台風は渦巻いて電気を貯めている。少し轟音を轟かせ、咀嚼するように揺れた。



● ミズノ、いったいどうなっているさね!



——どうやら移動する場所を間違えたようですねゔぉおおん——



 いぎゃああああ!



 ……れ、冷静な声だが、なぜそんなことになったんさね。あいつの登場シーンはまだ先だろう。



「おーい、助けてくれぇえ!」



 あーもう嫌、穴から悲惨な声聞こえてるさね。助けて欲しいのは主にこっちのことさねよ。



 その主は詠嘆のエクレツェアだった。姿は黒い装飾がたくさんで黒炭で作ったスバメの巣のようだ。

『黒の装飾この上なくうるさい姿』

 と我々は呼んでいる。



 そしてだ、その後ろから白い鳥の怪物が迫りきている。『ガーゴイル』がぞろぞろとついてきているのだ。



 ガーゴイルとは異世界のモンスターである。人と鳥が混じったようないわゆる鳥人と呼ばれる姿であるが、このガーゴイルは想像よりも人の姿をしていた。



 どうやら、石膏で形作られたモンスターのようだ。細長い胴体を持つガーゴイルは2メートルほどの体格で、顔が鷹のように鋭かった。



 しかし、黒目などはなく、全て真っ白な姿である。



 何したらそうなるんさねよ!



  詠嘆のエクレツェアは、紫の穴からぴょ〜んと飛び出て、広場に着地した。彼は顔を空に向けて、僕に問いかける。



「おい、今物語はどのシーンだ!?」


● お墓まいりのシーンさね。


「そのシーンは『太一とキシヨが入れ替わっていることを示唆する』大切なシーンなんだよ! これじゃ分かりにくすぎる!」


● あー!! ほら見るさね! だからまだ早いって言ったさね!

● 僕は『たった三文字の友人』って語らったはずさね!?

● キシヨくんの名前出さないでもらえるかな!?

● なんでここに現れたのさね?


「それは、あの、ほら。お前、ややこしくなるかもしれないって言ってたじゃんか?」


● その顔はすんごく後ろめたい時の顔さね、まったくもう。



 詠嘆のエクレツェアは子供のような困った顔をした。苦笑いのようで、えへへへと笑っている。それが事件を起こしたものの態度で良いのだろうか。



 すると、突如として声が聞こえる。



「はーっはっはっはっは! それはこの私、バル・グレンシアのことを言っているのか?」


「わいらだって利用されれば怒りまっせ〜!」



 紫の穴から響き渡る笑い声。

 そして関西弁。



 続いて、人間ではありえない巨体の屈強な男が現れた。裸の上半身に白いオブジェを身につけている。

 もう一人は、古代ギリシャ人のようなスリムな男だ。

 そして関西弁。



 穴の縁から飛ぶ。ともに白髪たなびかせる。そうして、二人は異様な緊張感を漂わせて、広場の灰色のタイルに降り立った。

 そして関西弁。



 はぁ、要するにグレンシアの怒りを買ったわけさねね。



● 自業自得さね馬鹿ヤロー!


「そんなこと言っても墓参りのシーンに影響を及ぼすわけにはいかねぇぞ! ミズノ! 防衛戦だ! ここは俺がなんとかする!」


● そうしてもらわなければ困るさね! 



——かしこまりました——



 上空から大量のガーゴイルたちが、まるで滝のように襲いかかる。紫の渦を背に、石膏のような両翼を銀幕のように大きく広げた。



「詠嘆のエクレツェア、オン・ステージだ」



 彼は敵に突貫して



 プルルルルル、プルルルルル

 ガチャ



● いちいち鳴らすなさね、ミズノ!



——お墓まいりのシーンが始まります、今すぐ作業に戻ってください——



***************************************



 ポッポ〜。10分後



***************************************



 ふぅ、以外と大変さねね。たった今、僕はお墓まいりのシーンに行ってきたところさね。



 ……さねさねは語り部に使わないって言ってたのに。



 そんなことより、今は広場が大変だった。



 グレーのタイルが大きく砕け、下の土があらわになっている。その上にガーゴイル達の破片がばらまかれ、ぱっとみると、お好み焼きのようだった。



 我ながらアホな例えしてしまったさね。まあ、ここからが本領発揮だ。僕ほどになると10分間の空白を埋めるほどの語らいなど、たやすいのすいですさね。



 詠嘆のエクレツェアよ、ただいま〜。よしよし、だいぶ戦闘が終わったな。すぐに空白の10分を語るから待ってろよ。



「は!?」



 詠嘆のエクレツェアは語りを聞いて唖然としている。空を見上げると、僕の声に耳を傾けた。何か不服そうに黒い装飾を揺らしている。



 しかし、僕は語りを続ける。それがお仕事なのだ。台本をすぐさま手元に用意した。



 え〜と、ぱらぱらぱら。このページだ。



 えー、詠嘆のエクレツェアは素早かったー。



「ちょっと待て! 今までいなかったのか!?」



 えー、まず、前から迫った二体のガーゴイルを。あー、目にも留まらぬ手刀で切り裂きます。いー、続いて、集団には指全部を使って空気を弾いた。散弾銃のような空気弾を浴びせるとー。最後に、もうめんどいわ、とか言いながら指鳴らして全部粉々に砕いてしまった。



 らしい。



 てか、多分そう。



「そうさ、そこからさらに敵が追加されて、10分戦ったんだ。だからもう少しきちんとやって



 そして10分待ちます。出来上がった状態がこちらです。わー、ガーゴイルが散らばって、綺麗なお好み焼きみたいですね!(裏声)



「こらあああああ!」



 本気で叫ぶ詠嘆のエクレツェア。この時ばかりは、冷静さや掴めない性格というキャラクターをかなぐり捨てていた。



● そんなに気に食わなかったさね? せっかく語らってやっているというのに? こんなハプニングにも追加料金を取らないのにさね? そこらへんのキャバクラでもテーブルひっくり返せば50万くらい取られるさね。



 そんな人間には語り部からの粛正を行うことにしている。なにせ、僕が語らったことはその通りになるといいう特権があるのさね。



 ひどい顧客である詠嘆のエクレツェアを、残りのガーゴイルが襲うぅう!!



「ウォオイ! それをやると、俺がわざわざ『真っ白なガーゴイルが何体も爪を立てて襲ってきました』って言わなきゃならんだろうが!!」



 そうなのだ。詠嘆のエクレツェアも僕と同じく、語り部という仕事を経験しているのだ。それにより、僕の代わりを務めることも可能である。



 ただ、欠点を挙げるとすれば、少し分かりづらくなるというだけの話さね!



「やっちゃダメだろうが!!」



 襲う襲う襲うぅうう!!



「ガーゴイルは軍団をなして迫り来る! しかし、全力疾走ではあるが、どことなく隊をなして整列もしている。それでも、それを根拠に手加減する俺ではないのだ!!」



 詠嘆のエクレツェアはガーゴイルたちの両手のひらを向ける。黒い装飾を腕まくりすると、手のひらを大きく開いて力を込めた。



 途端に、手のひらが光り輝き始める。ガーゴイルをできるだけ引きつけて、手から白いエネルギー波を噴き出させた。



「Xバースト!」



 爆撃のようなその攻撃を、ガーゴイルたちを疾走するまで放ち続ける。



「Xバースト! Xバースト! Xバースト!」



 襲う襲う襲う襲うぅう!!



「って、ちょっとやめろ! お前が語ると本当に全部そうなっちまうんだよ!」



● 気まぐれでその逆を起こす張本人が何言っているんさね。僕が右に進めといえば左に進むし、花の描写をしていれば踏み潰すアホンダラさね。



 だが、彼の戦闘はその不粋さに反して可憐なものだ。ヒラリと宙に舞い、くるりと敵の接触をかわす。その隙にまたエネルギー波を解き放つのだ。



 ガーゴイルたちは石膏で出来ているため、強い力を叩きつけると簡単に壊れていった。エネルギー波を受けると、マネキンが分解されているにも見える。



 黒い装飾を身に纏いながら、蝶のように舞うその姿は、まさにゴキブリだ。



「ぶっとばすぞ?」



 それはご愛嬌。



 たった今、詠嘆のエクレツェアは、その残りの二体の頭を両手に鷲掴みにする。手にエネルギーを貯めて、爆発させるように発射して吹き飛ばした。



 フラストレーションを発散するかのような能力。さぞ気持ちいだろう。とは言っても、詠嘆のエクレツェアは僕の語り部に納得いっていないようだった。



「ちょっと待てっ、今までの描写に倒した数が入りきってないぞ?」


 詠嘆のエクレツェアはまた中に向かって話し始めた。鎖骨あたりにある黒い装飾が僕の視点を指し示すように、僕の方を指差していた。2個の黒い鎖とその先のお守りであることに気がついた。いわゆるペンデュラムである。


● なんども言わすなさね! ●の付いてないところに干渉するなとと言っている!


● そうなると、君のことをいちいち『また中に向かって喋っているアホンダラ』と形容しなければならんくなるさね。


「もっとやりようがあるだろ!!」


● たった今お墓まいりのシーンから帰ってきたところださね! 仕方ないさねよ!


「納得いかん! お前が別のところに行ってる間に今語った30倍は戦った!」



 パーっとやってガーッとやりました。



「バカにしてんのか!?」

● してる! 次!



 ガーゴイルは片付いた。だが、まだグレンシアの主戦力が二人も残っている。



 グレーのタイルがめくれた丸い円形の広場。ドームが端っこにある。その行く手を遮るように、詠嘆のエクレツェアはポジショニングしていた。



 樽のような巨体と、子供サイズでギリシャ人風の二人は、その広場の上に陣取っている。中心で隣同士だ。詠嘆のエクレツェアを眺めていた。



「はーっはっはっは! ガーゴイルでは役に立たんかったか。ジル、援護しろよ」

「あははは、わかってるって、バルくんいってらっしゃい」



 バルは半裸の巨体を揺らして、詠嘆のエクレツェアに突進し始める。



「はっはっは! フィガー・悲劇的な幕引き(カタストロフ)!」



 バルの右手首の装置が光る。重厚な白色で、腕時計のような見た目をしているが、時を刻む文字盤が銀色で愉快に輝いている。



● それが聞いていたフィガーとやらか。



 しかも、そのフィガーは興味深かった。何処にもなかったはずの荘厳な金の矛を生み出したのだ。三叉の重厚感があるものだ。



 矛はどちらかといえば近距離でもなく長距離もなく、中距離から攻撃する武器だ。だが、バルの金の矛は一振りで銀色の衝撃波を生み出す。凄まじい射程を誇っていた。



 速度もまた別格。



 詠嘆のエクレツェアも戦闘態勢に入る。



 まずは、素早く左にそらして交わした。だが、黒の装飾が引き裂かれる。それでも、宙を舞うごとくひらりと避けた詠嘆のエクレツェア。異世界最強らしい身のこなしとも言える。

 


 だが、そこは僕自身、嫌という程知っていた。だから、驚くべきなのはバルの斬撃波なのだ。



 僕の知る限り、詠嘆のエクレツェアに攻撃を当てられる人間はそういないはずだ。稀に見る強者であった。



 しかも、バルの斬撃波は、そのまま後ろの灰色のビル街を斜めに裁断してしまったのだ。その張本人も半裸の巨体を揺らして、それはどうした、とでもいいそうである。



 景色が一気に崩れ去る。かと思いきや、詠嘆のエクレツェアも負けてはいない。その光景を見もせずに認識すると、黒い装飾の手をかざした。そして、どういう原理か、その崩落を止めて見せたのだ。



 おそらく物質を固定する能力を使ったのだろう。どういう原理かは知らん。



「はーっはっはっは! そんなことをする暇があるのかぁ!?」



 バルは荘厳で金色の矛をなんども振るう。半裸のままなんども銀の斬撃波を繰り出す。だが、強力でも当たらなければ意味がない。



 やはり、詠嘆のエレクツェアは素早い。先ほどは、舞うようだと比喩したのが、今はまるで宇宙空間のように、宙を漂いながら躱している始末だ。



 バルの戦闘が中距離に入った。その間も迷わず、半裸のまま銀の斬撃波を生み出し続ける。ズバン、ザバン、と背景に構えるビルが切断されていった。



 なんとも迷惑な戦い方だ。



 だが、何度も言うように、詠嘆のエクレツェアは余裕の表情だ。衝撃波で切り裂かれた建物を、すべて固定する。さらに、余裕があるのか、黒い装飾の手で僕の視点に合図を送った。



 心配するなとでも言いたいのだろう。



 実は、詠嘆のエクレツェアはこうやって戦うことで、僕の仕事を手伝ってくれているのだ。



 本来ありえないはずの戦闘で切り裂かれた建物が本来どうあるべきか。そこを考えると、この理屈がわかる。



 本来の物語では普通に存在する灰色の箱に窓ガラスのはまったビル街は、その全てにオフィスが入り、もれなく人は仕事をしているはずだ。



 しかも、今日は記念式典の日。そんな日に、突拍子もなくビルが全て切り裂かれていると知ったら、語り部どころではない。



 全て僕が修復することとなる。これがまた大変で、下手をすると今の戦闘をはじめっから巻き戻す必要すら出てくる。



 あの手間を考えると、詠嘆のエクレツェアがビルを固定してくれるのは、非常に有り難い。



 ちょっとだけ優しい……はっ?

 何を迷いごとを。



 やっぱりはた迷惑なのは変わらない。そもそも、この状態はこの真っ黒バカのせいだ。人間の言葉では表現できないような、そんな罵倒でもしてやろうか。



 するとその時、ギリシャ人のような布の姿が風ではためく。ジルが遠くで戦いを眺めていた。



「ふわあああああ」



 飽きたように大あくびをする。すると、ジルはバルに何かを嘆き始めた。



「ああ! バルくん、そんなぬるい攻撃じゃ敵は倒されへんで!」



 しかし、バルの矛は詠嘆のエレクツェアを殺すには十分な威力だ。風を切るほどの威力とスピードが増したように感じた。



 だが、ジルは相変わらず嘆く。



「そんなぁ! バルくん、そんな遅い攻撃絶対に当たらへんって!」



 だが、バルの金の矛はその言葉を機に、数段早くなった。先ほど上がったスピードの比ではないほどだ。



 詠嘆のエクレツェアの顔面に命中する。金の鉾の横っちょあたりだ。



「いってえ! あぶねぇ!」

「ちゃうって、バルくん! そんなんじゃぜったに勝たれへんって!」



 やはりそうだった。その言葉をきっかけに、バルが戦いを優勢に運び始める。金の鉾を手足のごとくぐるぐる回して、半裸の巨体からは想像できない器用さを見せつけた。



 まるですべてジルの取り越し苦労だったように、当たり前のように事態が敵に好転している。



 思わぬ猛攻に詠嘆のエクレツェアは飛び跳ねた、距離を取ると、遠くで観察していたジルを責める。



「お前さっきから嘘ばっかりつくんじゃねぇよ! 鬱陶しいわ!」

「その嘘は全部シャンパンのせいでっせ?」

● 言った言葉が嘘になる能力さねか。



 確かに、異世界のことを語らっているのだが、いきなり嘘を現実にする能力というのはハードルが高いものだ。突拍子もない能力がいきなり登場すると、後に控える人間が弱く見えてしまうかもしれないのだ。



 だが、それほどまでに、グレンシアの提督というのは強力なのだ。第三提督、ジル・グレンシアという男は。



 ジルが得意げに鼻をほじった。



「そうやなぁ、でもあんたらも嘘が上手やろ?」



● は?



「だって、さっきからウチらがあのドームに気ィ付かんような戦い方してるやん?」



● バレてたさね。



「あはははは、だっておかしいもん、広場の外の建物はいくらでも壊れてんのに、なんでこのドームだけ壊れてへんの? 違和感ありまくりやん」



 そうだ、あのドームの中では太一がお墓参りの真っ最中なのだ。



「バルくぅん? あのドーム絶対に壊したらあかんデェ?」

「了解!」



 それまで、優勢に戦い、狙い続けていたバルが、急な方向転換をして、チェック柄のドームを切り裂いた。



 斬撃波が発生して、瞬く間にドーム全体を斜めに裁断してしまう。建築素材がチリを吹きだして斬撃の後を知らせる。



 しかし、詠嘆のエクレツェアが吹っ切れたようにドームに近づく。苛立った顔を少し見せたが、黒い装飾に隠れてしまった。次の瞬間にはドームの壁面に触れて、瞬く間に固定するのだ。



「ケンカ売るなら俺にしろよ〜?」



 詠嘆のエクレツェアは普段、笑顔である。しかし、こうやって、たまに背筋を光より細い針で軽くなでてくるような顔をするのだ。



 はたから見ていても同じように感じるのだから、今グレンシあの二人も唇を噛み締めているだろう。謎の緊迫感が、予期不安として現れるのだ。



 僕はまだ、詠嘆のエクレツェアのそこ時からを知らないのかもしれないと、ふと思う時がある。この思いは、気のせいじゃなければならないと思う時すらあるのだ。



 僕は書斎の中で、少し身震いをした。



——マルコさん、またシーンが進みました——

● あいよ〜。



******************************************



 ピッピ〜。3分後。



******************************************



 ただいま〜。



 その頃、詠嘆のエクレツェアは、グレンシアの二人からドームを見事に守り抜いていた。無傷のそれは、かすり傷一つついていない。



 それとは裏腹に、騒ぎは十分に起きていたようだ。塵ぼこりが舞い上がり、グレーのタイルもより散乱していた。爆弾でも破裂したようなクレーター、何箇所も場所で下から土の地面が露出していた。



 やはり、それなりに不穏な空気に包まれて、詠嘆のエクレツェアとグレンシアの二人は、それなりに見つめ合っている。



 だが、詠嘆のエクレツェアは汚れどころか、先ほど切り裂かれた黒い装飾も元どうりになっていた。カメラが外れたところで治したのだろうが、そういうのを作画ミスとかいうのだ。



 一方、グレンシアの二人はあちこち汚れている。グレーのタイルが引っかかっているジルのギリシャ人風コート。バルは半裸に土ボゴリがついて、脇腹に白粉でも塗ったのかと思うほどである。



 詠嘆のエクレツェアが、斜め上にある灰色の雲あたりを見上げる。首元の装飾で僕の視点を指差した。僕に抗議の声を上げる。



「おい! なんで俺の超絶かっこいい戦闘シーンだけ別のところに行っちまうんだよ!」


● 無茶言うなさね!

● 二つの場所で語り部をするのは本当に大変さね! 最初くらい違和感なく進みたいんさねよ!


「せっかく、あいつらの攻撃をことごとく無効化する激アツシーンだったのに」



 その激アツシーンは相当に熱かったらしい。詠嘆のエクレツェアの強さのあまりに、グレンシアの二人も、何もできないで立ち尽くしている。



「はーっはっはっは! 触れただけでドームがえらく頑丈になったものだな!」

「嘘ついても全然壊れへんし」

 その嘘すら効かない。



 だが、そうは言ってもられない。もう、あと10分でシーンはこの広場に移り変わる。破壊された建物を直すだけで5分。式典準備に3分だ。あと2分でグレンシアがなんとかなるわけがない。



 もうこれは負けたと言ってもいいくらいの状況ですね、はい。



 と、そこまで開き直ると、詠嘆のエクレツェアが、不服そうに空を眺め始めた。鎖骨あたりから、また黒のペンデュラウが顔を出す。



「俺にできないことがあるとでも? こんなやつらあと10秒でかたずけてやるよ」


● ほーら、そんなこと言うから二人が怒っちまったさね。



 バルが浮かび上がり、ジルはどこからか出してきたコウモリのような翼で飛び立つ。



 曇っていたあたりが、空の大穴から溢れる紫の光に包まれる。幻想的な広場のキャンパスで、たった今から異世界の民が、本領を発揮するところだ。



「はーっはっは! 我々も甘く見られたもんだな。まだ我々は『開幕』すらしていないというのに」


「さぞ異世界最強は強いんやろうなぁ。じゃあ、見せてもらいまひょか」



 グレンシアの二人が右腕につけた『フィガー』を操り始める。



 すると、彼らにエネルギーが猛烈に集中し始めた。彼らの体に、太陽が隠れているような錯覚に陥ると、光が一瞬で舞台照明にへんげする。



 エネルギーが一気に解き放たれた。



「フィガー・神話ミュトス開幕。モデル・北欧神話」

「フィガー・オペラッタ開幕。モデル・蝙蝠(シャンパン&バッド)」



 バルの装着していたオブジェが外れた。背中の大きな輪っかとして備わる。ガランガランと回転して、新たなエネルギーを溜めた。額に青い紋章を刻み込み。そばに現れた雷光を噛みちぎる。



 電流が口の中でくすぶる間、バルは指をパチンと大きく響かせる。すると、上空の雲が割れ、斜め方向から巨大な二股の矛が現れた。銀金二色で厳かな矛は、明確にドームを狙っていた。



 一方、ジルはバルと違い、一見姿はコウモリのコスプレのようだ。ふわふわしたマスクに百均でも買えそうなマント。だが、ジルの目は赤く光っており、牙も生えそろった、コウモリ姿のギリシャ人。



 ジルは唇を親指でぬぐうと、あろうことか詠嘆のエクレツェアを見下した。



「おやおや、そんな小さな矛じゃドームはおろか、詠嘆のエクレツェアさんにも届かへんでぇ」



 ずごごごごごぉ

 途端に、バルの召喚した矛がさらに巨大化する。



 これにはさすがの詠嘆のエクレツェアも愕然として、



「ばっか! 極東ドーム3個分の広さなら聞いたことがあるけど、極東タワー3個分のデカさなんて尺度聞いたことがないぞ!」



 バルはその神秘的な矛から流れ出る電流を、ゆっくりと己の指に宿す。



「はーはっっはっは! 審判の時間だ」



 敵は完全にこちらを駆逐するつもりだ。あの金色ででっかい鉾が落ちてくれば、この極東の大陸は第ダメージを受けるだろう。



 地面に大きなヒビが入り、それでも吸収しきれなかった衝撃が断層をずらし、大きな自信になるかもしれない。



 ならなかったとしても、とりあえずこの周辺5キロくらいは粉砕するだろう。



 僕もあんまりの規模に、御口をあんぐりと開けていた。書斎で一人こうやっていると思うと少し辛くなる時もある。



● これは参ったねぇ。もう僕がいっそのこと彼らごと消しちゃおうかい? 

● 詠嘆よぉ。その方が手っ取り早いだろうさね。



 僕は最良の提案をしたつもりだ。先ほど少し語ったように時間を巻き戻すことすら、必要な場面だろう。



 僕は空からの視点を動かして、詠嘆のエクレツェアの顔を覗いてそういったのだ。



 私の経験上、これが最も良い選択



「バカ言え、もっといいこと思いついた! ミズノ! 今から出す被害を最小限に抑えろ!」



 は!?



● ちょ、待つさね! いったい何考えてるんだ!



 僕は慌てて紳士服の襟をなおして、この真っ黒バカを止めようとした。身を乗り出して



「はーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは! 行け! 裁きのロンギヌス!」



 うわああ、物語が勝手に進んでいく!! おそらく、これもどれも、詠嘆のエクレツェアがなにかしているのだ。彼なら、語り部の主導権をこっそり握ることすらできるのだから。



 だけど僕は諦めない!!



「滅亡すらも、シャンパンのせいやでぇ」



 ジルが舌なめずりをした。しっとりとした唇が、強い風であっさりと乾く。



 急に現れた巨大な鉾のせいで、天気が乱れ始めた。雲がさらに分厚くなり、低気圧が生まれて風が吹き始める。ついにはシトシトと雨まで降り始めた。



 上空で咀嚼するようにうごめく紫の渦は、騒ぎのせいか大きくなっていた。おそらく、エネルギー濃度が上がったせいと思われる。



 これを放っておけば、たとえ鉾を防げたとしても、そのうち世界が飲み込まれてしまうだろう。



 だが、容赦無く、バルはゆっくりと指でドームを指差した。上空の矛は瞬時に加速してドームに迫る。



 詠嘆のエクレツェアに緊張が走った。



「マルコ! それでも出た被害を全てなかったことにするんだ!」


● やめろ! できるわけないさね!

● 迫る矛に手をかざしていったい何をするつもりダァああ!


「この世の終わり(ハルマゲドン)」



 バカあぁああああああ!



——マルコさん! シーンが進みます!——



 おぼえてろよぉおおお!



******************************************



 30秒後。



******************************************



 詠嘆のエクレツェアが手から解き放ったエネルギーは凄まじい。時、空間、巨大な矛、グレンシアの二人を跡形もなく消し去ってしまった。



 じゃねぇよ。



 今広場にあるのは、黒い装飾この上なくうるさい姿の詠嘆のエクレツェア。砕けた広場は衝撃で耕した農場のようになっていた。



 じゃねぇよ。



 天気もすっかり晴れて、低気圧が一気に吹き飛んだ。明るい日差しが差し込む。



 紫の穴も無くなって、曇り空スラ消しとばして、さらに何を消しとばしたと思っているんだ!?



「すまん、あいつらを止めるにはこうするしかなかったんだ」


● だからって、月まで破壊するこたぁなかっただろ!

● 一年後には地球でも破壊するつもりさねぇえ?


「それもいいな」


● いいわけないさね! 

● 俺は、まるで誰かに手を加えられて整頓されたように、の後にこんなこと言いたくなかったさね!


「よし、式典まで後1分だ。準備を頼むぞ」


● もうこんな仕事やめてやるさねぇえ!

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