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箱庭の外から  作者: 三富
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『外からの迷い人』



 ――私は、いつから夢を見ていたのだろうか。



 今は学校の帰り道、授業中うとうとしなかったし、連日の寝不足が~とか眠たくなる薬を服用している訳でもない。突然に眠ってしまう病気を持ってる訳でもない。だから眠るなんてことは無い、筈。



 ――だけど、これが――現実だと言うの?



 辺りを見回す限り、通りの商店街の一角であることには間違いない。


 春には桜が舞い散る桜並木道、今は夏だから新緑で生い茂っている。少々寂れたシャッターや、少しオシャレなレンガ造りのお店、古木で作られたような渋いお店、青と赤と白のポールがくるくる回っている床屋、いつも歩いているこの通りに存在していても不思議なことは無い。だけど――。



 ――だけど、人の影も、気配すらも全く無い。



 私は学校終わりに部活に勤しむこともなく、授業が終わり次第にすぐ学校を出て帰途についていたところだったのでまだ空は明るい、しかも夏真っ只中だから夕方でも十分過ぎるくらいに明るい。

 通りに住んでいる人、仕事帰りの人、買い物を終えた主婦の人、ペットの散歩をする人、それこそ私のような学校帰りの学生が歩いていてもおかしくはない、いやむしろこの時間だったら誰一人として歩いていない方が異様だろう。



 その異様なことを今現在体験をしている。



 夢か幻か、はたまた幻覚か、知らない間に後ろから口元にハンカチで塞がれたかな……。変な漫画飲みすぎかな? だけど、尻もちをついて地面とお尻の骨とが当たった所からじんわりと鈍い痛みが広がる。腰も抜けてしまって動けないでいる。


 痛みがある。感覚もある。夢にしては情景がリアルすぎる。それに、痛みで幻覚から覚めたりするのをよく見る。だから、夢の中という訳ではなさそうだけど――。


 動けないでいる私の左を見る。持っていたバッグが散乱している。授業ノート、教科書、筆箱、お財布、化粧小物入れ、携帯。

 至って普通な女子学生のバッグの中身だろう。持っている物も全部私の物だ、特別変わったものを入れた記憶も無い。



 荷物を見える範囲で一つ一つ確認してから、再び視線を正面へ戻す。



 視線の先、足元より僅か50cmにこの状況で混乱している最大の理由が其処に居る。




 ――フクロウ。



 あれは、眉毛のような、耳のような物があるからミミズク?


 灰色の羽に黒の筋見ないな細かい線が入った体長20cm弱くらいの小柄な猛禽類。体の大きさに似合わない鋭くしっかりした足、大きくてビー玉みたいに綺麗な朱色の目、そして奥の奥まで透き通っていそうな闇色の瞳で時折瞬きをしながらこちらを見据えている。


 首を曲げたり、カックンカックンさせたり、毛繕いをしてりして一息ついたところで。




「お嬢さんや、こんなところに珍しいどうしたんだい?」




 心に響く優しい声色を響かせ、ごくごく普通に、さも当たり前かの様に、私に話しかけてきたのだった――。







 現代の少し不思議なお話しです。


 戦いません。



 ゆっくり更新していきますので、どうかよろしくお願いします。

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