蝋の時代
刻印された蝋のなかで
窒息する思想たち
見よ、理想に焦げる
肋骨の輪郭の空虚さを
鴉に啄ばまれる
まめの潰れた手を
鼓動の波長は
氷河に凍える泡沫
胡蝶の波紋と月
黒水晶の銀河
砂塵にゆれる一輪
形象を覆うものは
時代に黄ばんだ蝋の層
みな閉ざされた鉄塔の下
吐く息も黄ばむ時代だ
正午さえ霞んでいる
蒸発も許されない
赤銅の悲鳴が響いている
火を掲げるものは誰か
道ゆくがらんどうの胸には
風と反芻が木霊するのみ
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