パンロプ村の若頭は兄貴肌
「ナツ!どうしたんだい!?」
そう言ってネネさんが驚いた様子で近づいて来る、
オオカミに似たモンスター、ダイアウルフと言うらしい
に魔力が底をつき、動けなくなって
噛み殺されそうになったところを、
パンロプ村の若頭、リオンさんに助けられた。
「いやーびっくりしたぞ?あんな草原の真っ只中で
魔力が尽きて動けなくなってるなんて 、今度からは気をつけろよ〜。」
そう言ってリオンさんは笑いながらネネさんに事情を説明してくれた。
「すまないナツ、昨日の夜にその事も話しておくべきだった、魔力が切れれば体が急激にだるくなり、
思った通りに体が動かせ無くなる。私の説明不足でナツを危険にさらしてしまった……本当にすまない」
と顔を曇らせながら頭を下げた。
「いやいや!ネネさんが謝ることじゃ無いですよ!
頭をあげてください!!!
聞かなかったのは自分ですし、朝勝手に抜け出して
勝手に魔法の練習に行ったのは自分です。
ネネさんが謝る理由なんて何1つ無いですよ!!
自分こそ勝手なことをしてしまってすみませんでした」
ネネさんの悲しそうな顔を見て、
心が締め付けられるようだった
自分の勝手な行動のせいで、他の人に、ネネさんに
嫌な思いをさせてしまったのだから、
「まあ、なんだ、ナツも今回は無事だったわけだし、
色々学んだ事もあるだろうから、また次に同じ失敗をしなきゃいいんじゃないか?大丈夫だ。」
そう言って背中を叩いてリオンさんは励ましてくれた。
「そうだ!ナツ、
今日の夜、うちに飯食いにくるか?ご馳走するぞ?」
リオンさんは自分に元気を出させるためか、
見ず知らずの自分たちを
今日の夜ご飯を一緒に食べないかと誘ってくれた。
どれだけ優しいんだろう、この人は…
会ってほんの少しだけれどリオンさんの人の良さ、優しさがビシビシと伝わってくる。
こんな人だから若頭になって、
村をまとめられるんだよね。
それでも自分は
落ち込んだままの気分で行っても
申し訳ないと思い断ろうとした
しかしリオンさんは、
「今日は家にいるの俺1人なんだ、寂しいから、俺がみんなとワイワイ食いたいんだ、
もちろんネネ?だったか?も一緒に誘ってきてくれていいから!なっ?」
と、そう言って、家の特徴と場所を教えて
歩いて帰って行った。
帰り際もリオンさんは、村の人たちに話しかけられ
とても頼りにされていた。
「とってもいい人だ」
気づいたらそう呟いていた。
「そうだね、とてもいいひとだ」
ネネさんも隣でいっしょに呟いていた。
その夜ネネさんといっしょに、リオンさんの家で
ご飯を頂くことにした。
木で出来た木製の家のドアを鉄の金具でノックすると
中から大きな声で
「おお!きたなナツ、ネネさんも、入ってくれ!」
そう声が聞こえてきた。
中に入ると、卓上が色々な模様に削られたお洒落なテーブルの上に料理人も顔負けのご馳走が並んでいた。
「これ全部リオンさんが作ったんですか??」
「ああ、そうだぞ!」
「すっ、すごい!」
見ているだけで口の中に唾液がたまってきた。
隣のネネさんを見ると
「ごくっ」と喉を鳴らしてるのが見えた。
可愛い………
そんなやりとりをしていると、
「ほら席に座れ〜、早く食べようぜ!」
リオンさんはそう言って椅子を引いてくれた
「はいっ!」自分は笑顔で返事をした。
食事をしながら、これまでの話をした。
って言ってもここに来て今日で2日目、
その前までの記憶は喪失している事にしてあるから
そんなに話題は無かったが、
逆ににリオンさんの話を聞かせてくれた。
ちなみにリオンさんの作った料理の味はどれも絶品だった。
話の中で、
リオンさんには奥さんがいて、たまたま用事で
メッキール王国に行っている事。
そして奥さんを明日メッキール王国に迎えに行く事。
リオンさんは元Aランク冒険者で接近戦を得意とする
武闘家だった事。
冒険者だった頃はよく旅に出かけていた事。
奥さんともその旅の中で出会ったらしい。
そんな事を話してくれた。
そんな中、自分はリオンさんの話を聞いてなんとかリオンさんとメッキール王国まで一緒に行けないかと思い
「ネネさん、自分たちの目的地もメッキール王国ですよね、もしかネネさんとリオンさんが良ければ、一緒に向かう事は出来ないですか?」
そうネネさんに相談してみた。
もちろん人数も多い方が安全に目的地へたどり着けるし、兄貴肌のリオンさんに接近戦の武闘家としての戦い方も聞いてみたかったからだ。
「問題ないぞナツ、リオンさんが良ければだけれど」
銀色の髪の毛をゆらしながら首を傾け
笑顔で賛成してくれた。
天使降臨!!!
隣に座っているネネさんを見て心臓がドキドキしていた
リオンさんは?と聞こうとした時
リオンさんは急に立ち上がり、
「それじゃあ、今日は早く寝て明日に備えないとな?
明日からよろしくな、ナツ、ネネ」
そう言って拳を突き出してきた。
なんだか今日、迷惑をかけてしまい
落ち込んでいた心がとても軽くなった。