トレイム
自然に身を委ねるしかない空中で今私は逃げられない物から逃げている、平民も悪人もどんな王様だって受け入れてきた現実から。私は地面に中叩きつけられる直前「お前の望みは悲しい事だな」確かにそう聞こえたのだ。バンと鈍い音がなる、私の体は少し弾んでもっと小さな鈍い音がなったこれが死ぬということだろうか。痛みはない...ん?、私は死んでいない?再び囁き声が聞こえた。「望みは叶えた、次は俺の望みを叶えてもらおうか。」次の瞬間私の目の前には人形の魔を帯びた大きな悪魔が鋭い目付きでこちらを睨むように見ていた。手はハサミのようで鋭くいかにも強そうだ、一体悪魔の願いとはどんな願いだろう。ここまで私が地面についてから1秒と立たない内の話であった。私が周り状況に目をやったときにはやっと鳥たちが驚いたのか必死に羽を動かし始めた頃だった。「私を苦しめてきた書物を探して欲しい」どこまでも低い声だ。私は驚いてはいたがいたって冷静な態度をとっていた。「どんな書物なんだ?」悪魔が答える「名前はわからんが、青色の書物だ見ればわかる」情報は少いし探すのも面倒だ、だが助けてくれたのも事実私はまるで無傷だった、それに断れば何をされるかわからない。ここは返事だけでもしておこう。「わかった、だが力を貸してくれ」どさくさに紛れて自分でも気が付かずに私は2つめの願いをしてしまった。またなにか面倒が増えるのではないか、しかし心配など要らないことであった「よかろう、力をかそう」こうして私は悪魔トレイムの力を借りる事になったのだ。
それから私はおっさんの家で過ごし一週間がたった。この一週間でわかった事が2つほどあった。まずこの家はアレックスという人の家でおっさんの家ではないということ、もう一つはトレイムは姿を出すととても体力を消費するということだ。トレイムを信用していない訳ではないが、まだ警戒は解くことができなかった。だからよく観察をしたのだ。観察といっても彼は私の意識の中にいるだけで口数も少い。だが少し観察してきて彼の性格などが少しわかってきたように思えた。彼は自信家で気分によって動く事が多い。こんなことがどう役にたつかわからないが知っておいて損はないだろう。そしてポストに手紙が入っていたのである。
次回、サリバン