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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第30時限目 遊歩(ゆうほ)のお時間 その2

「えーっと、今日はー……まず神社でお参りしてー、それから15時までは自由行動でー、集合したら今日とは別の民宿へバスで移動して、今日は終わりだねー」


 都紀子ときこが修学旅行のしおりの日程表を読み上げると、


「いや、昨日に比べてめっちゃ内容薄くない? 昨日、割と色々詰め込んでたし、どっちかは今日に移しても良かったんじゃないの?」


 と前の椅子いすから見下ろす形で真帆まほが、都紀子の開いているしおりを見ながら言う。


「場所の問題もあると思うけど、もし今日庭園回ったりしてたら、自由時間が半分くらいになってたよ?」


「……あ、そっか」


 正木まさきさんの説明に、真帆は合点がてんがいったようだった。


「今日の時間配分は結構ギリギリだから、半分しか時間なかったら困ってたねー」


「ええ、時間を考えて回らないと……」


 そう。


 今回、自由行動で回るこの町は結構歴史がある町だから寺院とかが多いのは確かなのだけれど、よくよく調べてみると資料館とかお店とか、後は少し山の方にあるから温泉とか、色々なお店がひっそりと長く続いているようだった。


 後は、建物の外観が景観を損ねないように配慮されてはいるけれど、少し郊外こうがいの方に行けば映画館やショッピングモールなんかもあるみたいで、ただただ古いものだけが残っている場所というわけではないみたい。


「昨日と違って、乗り物の乗り換えがないのも助かるよねー」


「確かに。……てか、それだったら昨日からずっとバスで良くなかった? そっちも何か理由あんのかな?」


 椅子に膝立ひざたちしている真帆が腕を組んでそう言うと、


「あー、それはアタシも思って先生に聞いたんだけどねー。全部バスで移動すると、時間掛かりすぎて移動だけで1日がつぶれちゃうんだってさー」


「げっ! ってことは帰りも移動だけってこと? ……先生たちも結構ちゃんと考えてるんだねえ」


「当たり前でしょー!」


 真帆の背後からにゅっと飛び出す咲野さきの先生に、私たちはほぼ同時に一驚いっきょうきっすることとなった。


「あー……聞いてました?」


「ました。全く……そりゃ、皆の1回しかない修学旅行なんだから、ちゃんと考えて日程組むに決まってるでしょ? っていうかもう点呼して出発だから、ちゃんと前向きなさい」


「はーい」


 私たちは先生の指示通り、各自の席にシートベルトをつけて座った。


「……それはそれとして、昨日は早く寝ちゃったの、少し勿体もったいなかったねー」


 こそっと隣の都紀子が小声で私に言う。


「うん、それは確かに……」


 まあ、就寝時間までは結構たっぷりしゃべってはいたけれど、もっと夜ふかししても良かった気はする。


 でも、布団ふとんに入ったら、いつの間にかすやぁ……と眠っていたから仕方がない。


 ……あれ、もしかして、都紀子が言ってた“早く寝ちゃったの”って!?


「もしかして、寝てたの私だけ!?」


 はっとして私がそう小声で都紀子に返したのだけれど。


「いやー、アタシもいつの間にか寝てたねー」


「あたしも一瞬。あの布団、何かめっちゃ気持ちよくなかった?」


「うんうん」


 前の席から2人、つまり3人全員が睡魔すいまに勝てなかったらしいと知って、ちょっとホッとした。


 私だけ勝手に寝てしまったのかと思ったから。


 もしかすると、話を合わせてくれているだけかもしれないけれど……。


「よし、今日は遅くまで起きてよう!」


「でも、今日の方がもっと歩き回るから大変かも」


 バスの椅子の隙間すきまから、正木さんが小さな手帳を開いているのが見える。


 確か、皆で何処に行こうかと相談していたときに開いていた……つまり。


「まずはたきを見に行って、それからドラマの撮影に使われたお寺とビル、その後にお昼ごはんのお蕎麦そばを食べてから、お茶屋さんでお団子を食べて、最後にお土産みやげを見て、バスにもどって来る、というルートですね」


 ルートをばっちりメモしてくれていた。


「おー、さっすが紀子のりこ。ちゃんとメモしてくれてて良かった。あたし、言われるまでお茶屋さんのこと忘れてた」


「真帆がでっかい串団子くしだんご食べに行きたいって言ってたのに……」


 正木さんが非難の視線を送ると、真帆はあははと笑った。


「まー、うちの班は食いしん坊さんが2人も居るからねー」


「うん、そうだ……うん? え、もしかしてそれ、私も入ってる?」


 都紀子の言葉にちょっとうなずいてから、言葉の意味に気付いた私が都紀子を見ると、


「体格的に仕方がないけどねー。でも、じゅんにゃんがよく食べるのは間違いないからねー」


 ふっふっふ、と都紀子が悪ーい笑いを見せる。


 ぐぬぬ……まあ、確かにそれは間違ってないけれど!


「いやいや、あたしも食いしん坊(わく)!?」


「真帆は普通にそうだと思うよ」


 私がすんっ、と冷静に答えると、


「ちょっ!? 準、酷くない!?」


「えー、でも真帆は体格の割に――」


「こらぁ! 小山さんチーム、静かに!」


 名指しで先生に指摘され、バス内でくすくすという笑い声が広がり、私たちは「はーい……」としおらしくすることにした。


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