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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第29時限目 出立(しゅったつ)のお時間 その22

 みゃーちゃんと手をつないで帰り、羽海うみたちが居る『秋桜こすもすの間』へ送り届けた後に『百合ゆりの間』へもどると、3人は既に準備万端じゅんびばんたんだった。


 といっても、すぐに出られるように貴重品を手元に置いておくとかくらいだけれど。


 ちなみに、3人に言われて知ったのだけれど、なかなか帰ってこないから、コミューで何度か連絡が来ていたみたい。


 確かにスマホの通知を見たら、コミューの通知がいくつもが来ているのが確認出来た。


 みゃーちゃんと話している間に邪魔じゃまされるといけないと思って、サイレントにしていたせいで全然気づいていなかったということもあって、ちょっと怒られた。


 さて、それはそれとして、旅館の夕食は豪華ごうかで、和食メインだったのだけれど、何やら高級そうなお刺身とか普段あまり食べられない小鉢こばち沢山たくさん置かれていた。


 しむらくは1人分を全部を胃の中に収めても、高校生男子にとっては少々量が足りないということ。


 女子校の修学旅行だし、正木まさきさんや都紀子ときこくらいの食欲を想定して、学校側も料理を依頼しているのだろう。


 ただ、どうやらおひつでご飯を準備してくれていて、私と真帆まほ、気付いた範囲では星歌ほしか浅葱あさぎがおかわりしていた。


 運動部と体が比較的ひかくてき大きい組……とくくると千華留ちかるが外れてしまうけれど。


 ご飯の量からすると足りないだろうと、今回も隣の都紀子ときこがちょっとおかずを分けてくれたりもしたから、お腹が鳴るほど足りなくはなかった。


「んっふっふー、まだまだ育ち盛りのじゅんにゃんの体だと足りないだろうからねー。あ、ちなみにアタシはもう育ち終わっちゃったけどねー、あっはっは」


 自虐じぎゃくを含めた台詞せりふを放ちながら、都紀子はおかずをくれるから、私はどう返すべきか悩みながらも、苦笑しつつ謝辞を返すくらいしか出来なかった。


 終わったら、お風呂の時間。


 ……といっても、これもまあ、りょうのお風呂とあまり大差なく“普通”に入った。


 うん、だって皆で「入りにいくよ」って誘われて、行かないわけにもないし、そもそも既に一緒いっしょに入ったことがある子ばかりだし。


 むしろ、一緒に入っていない子ってだれかか居たっけ……?


 流石さすが渡部わたべさんはお風呂に入っていないし、寮組は全員入ったことがある。


 他の子もりょうに泊まりに来たとか、そういうときに遭遇そうぐうしているし。


 ……ああ、玉瀬たませさんくらい? って今、丁度入っているけれど。


 ちなみに、私を男だと知っているにも関わらず、晴海はるみとか華夜かよみたいにあまり気にしていないまたは気にしていないように見える派と、風音かざねやほのか、智穂ちほみたいに私の視線から逃げる派があって、普通はまあ後者だと思うのだけれど、前者は……何故だろうね?


 胆力たんりょくの違い……?


 それはさておき、諸々(もろもろ)の事情を考えて、早めにお風呂を出ようと思っていたのに、なかなか会話が途切れず、お風呂監視担当の先生から「もう時間だから出なさい」と言われて追い出される始末。


 それでも話し足りない子たちがまだまだ居たようで、部屋に帰ったと思ったら、色んな子たちがこの部屋に入ってきて、最終的には10人強が8じょうくらいの部屋に集まってるような状態。


 そのまま無限に続くと思われた会話は、突然部屋のとびらがノックされたことで中断された。


「はーい?」


 私が代表で返すと、あきれ顔の咲野さきの先生が入ってきた。


「先生、どうしたんですか?」


「いや、どうしたんですか? じゃないから! もう消灯時間なんですー!」


「え? そんなはずは……あ、ホントだ」


 さっきお風呂から出たばかりのはず、と思ってスマホの画面を見ると、いつの間にか消灯の10時までカウントダウンという時刻。


「ほら、出た出た。明日は7時朝食だからね、早く寝てちゃんと起きなよー」


「はーい」


 私たちはそろって返し、他の部屋の子たちも帰っていく。


 最後に出た咲野先生が扉を閉めて、次の部屋に向かったのを確認してから、


「……とは言ってもねえ」


 と真帆が切り出す。


「うんうん。まだ眠くないしねー」


 都紀子はまだまだやる気満々。


「確かに……」


 こういうとき、普段なら先生の言うことを聞く正木さんも、今日は真帆の肩を持つ。


 かく言う私も、この時間は普段なら予習復習をした後に、本を読んだり、微睡まどろみ始めるまでテオをもふり倒している時間だから、まださほど眠くない。


 もちろん、今日は教科書やノートも持ってきていないから、ここで勉強という手もないし、そんなことし始めたらブーイングのあらしだと思う。


「トランプとか持ってくれば良かったかな」


「あー、確かにねー」


「いやいや、やっぱりこういうときはほら、あれじゃない?」


 真帆が何かを切り出そうとしたから、もしかして恋バナとか言い出すのかなと思ったのだけれど。


「枕投げ!」


「……」


 うん、なんというか、真帆はやっぱりこう……少年心を忘れないタイプだなって。


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