表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

918/959

第29時限目 出立(しゅったつ)のお時間 その3

 とりあえず、一件落着いっけんらくちゃく……といったところだったのだけれど。


「そういえば、晴海はるみたちの班、あの2人はオッケーもらったんだよね?」


 晴海は私の質問に指で丸を作って、


真理まりっちと華奈香かなかっち? もらったよー」


 と返してきたけれど、その隣で苦笑した星歌ほしかは、


「貰ったっつーか……あれは他のチームが残ってないからあきらめた、みたいな感じだったな」


 と語った。


 ……見ていなくても、何となくそのときの情景じょうけいは浮かぶなあ。


「だいじょぶだいじょぶ、同じチームなんだからその内に仲良くなるってー」


「だといいが」


「あ、そういえばさー……まゆっちたちはどうなん? 班、だれが居るー?」


 晴海が繭ちゃんにそう振ると、


「あ、わ、私はもえちゃんと……か、花乃亜かのあちゃん、と、千早ちはやちゃん、だよ」


「仲間ー」


 と繭ちゃんの回答後、隣の花乃亜ちゃんがもにゅっと繭ちゃんとほっぺたを合わせつつ、両手でピースする。


「ほほー、なるほどねー。で、いいんちょーが引率?」


「誰が引率よ。2人共しっかりしているわよ、貴女あなたたちよりも」


「うへぇーい」


 晴海がなぞの返しをした横で、


「千早……って誰だ?」


 と首をかしげる星歌。


 そういえば、あまり関わりはないのかな、星歌と千早って。


 ……とか言って、私も最初は関わりのない子は名前どころか名字みょうじさえ怪しかったけれど。


玉瀬たませさんじゃん?」


「ああ、玉瀬か……ってよく覚えてんな、晴海」


「まー、クラスメイトの名前、しっかり覚え直すタイミングがあったかんねー……ね、こやまん」


 そう言って、晴海が私に同意を求めるのだけれど、さっぱり心当たりがない。


「……え? 何かあった?」


「いやいやー、ほら、こやまんと最初はアレがアレだったじゃん?」


 アレがアレって……まあ、最初は確かに色々あったけれど。


「んでんで、こやまんのことをちゃんとチェックしたときに、他のクラスの子もちゃんと覚え直したんだー、ぶい」


 そう言って、Vサインを作る晴海。


「あはは、そういうことね」


 あのときがきっかけだとは知らなかった。


 小悪党みたいな捨て台詞ぜりふいていったなあと思ったら、次回会ったときには本当にちゃんと私のこと、調べてるようだったし。


 ……って、それなら星歌も一緒いっしょに覚えててもおかしくない気がするけれど……まあ興味によるのかな。


 さて、それはそれとして、これで繭ちゃんチームの4人が分かったから、じゃあ残りの班は――


華夜かよ千華留ちかる浅葱あさぎ風音かざねと同じ班、ってこと?」


「……そう」


 ちょっと不服そうな華夜。


「どうしたの?」


 私が尋ねると、ややむすっとした表情寄りの無表情で華夜が返答した。


「あの2人、我がまま


「あー……」


 あの2人は確かに我が強いからなあ……とはいえ、華夜は華夜で我が強そうだけれど。


 そのせいで、行きたい場所がこっちの2人とあっちの2人、全く違っててもおかしくはない気がする。


「現地ですぐに班が割れそうです……」


 頭を抱える千華留ちかると力強くうなずく華夜。


 他にチームを組んでいる子を考えると仕方がない気がするけれど、ある意味で1番危険なチームかもしれない。


「そういう準は、いつものあのメンバーってことね?」


「あ、うん。正木まさきさん、真帆まほ都紀子ときこの3人と同じ班だね」


 ココアを飲んでいる手を止めた萌の質問に、私がうなずいて答えると、星歌が指を折って人数をカウントして、


「……ってことはこれで、全員か。まー、何にせよ無事にチームも決まって、後は修学旅行を待つだけだな」


 と満足そうに言う。


「そうだね」


「楽しみだなー」


「で、そういえば何処どこ行くか決めたー?」


 そう口々に言っていたところで。


「……るいです……」


 ふと、私のすぐ近くから声がした。


「え?」


 誰の声? と思って、周囲を見渡していたら、真横で立ち上がる子が1人。


「皆さんばっかりずるいです! 私だけ、りょうで1人じゃないですかぁ!」


みねさん……? あ、そっか……確かに」


 寮に居るのが3年生ばかり……というか3のAばかりだから、全員修学旅行に行ってしまう。


 ここでみゃーちゃんがまだ居れば……それは別の意味でまた大変だろうけれど、それでも話し相手が残る。


 でも、そのみゃーちゃんまで修学旅行に行ってしまうわけだから、ここには1人しか残らない。


 皆が楽しそうにしているのに、自分だけ留守番というのは……うん、確かに可哀想かわいそうだ。


「そんなの知らないにゃ。『てとら』はどうせ2年後に行くんだにゃ」


「それはそうだけど、そのとき皆は居ないもん! っていうか『てとら』じゃなくてほたるだって言ってるでしょ!」


 いつもの感じで、私をはさんで2人の喧嘩けんかが始まりそうだったから、まあまあと仲裁ちゅうさいに入り、


「そうだ、峰さん。出来るかは分からないけれど……ほら、あの2人居るでしょう? お友達の時任ときとうさんと倉岡くらおかさん。あの2人を寮に呼んでみるとか……そういうの、どうかな?」


 と私は峰さんに提案してみた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ