表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

912/960

第28時限目 不思議のお時間 その39

 教室にもどると、勉強会の方針は決まっていた。


 結論としてはやっぱりりょうを使うのはやめようということになったみたいで、代わりに正木まさきさんの部屋に集まるということになっていた。


 確かに、寮ほどではないけれど、ここからだとかなり近いし。


 で、夕食前くらいまでゆるゆると、4人で勉強したり、おしゃべりしたり。


 正直な話、このメンバーでは成績がものすごく悪いとか、苦手な教科がかたよっているとか、そういう子が居ないから、寮に来ているメンバーみたいにあわてて勉強モードにならないといけないというのもなく、言うなれば女子会の延長線みたいな感じだった。


 まったりな勉強会が終わって、さて寮に戻ろうとしたら校門の前で桝井ますいさんが待っていた。


 正門にあるインターホンが寮長室までつながっているし、事前に益田ましたさんにも連絡もしているから、呼んだら正門を開けてくれるらしいのだけれど、スマホで桝井さんにそろそろこっちの勉強会も終わって帰るよとコミューのチャット機能で連絡したら、私が来るまで待っていたらしい。


 で、私が桝井さんを連れて寮に帰ってきたら、まあ予想通りというかなんというか……もえは頭痛の種が増えたとばかりに頭を押さえていたけれど、他の3人がオッケーで、彼女だけが駄目だめという理由も見当たらなかったし、騒がしくしないという約束をして、渋々(しぶしぶ)ながらも首を縦に振った。


 で、そうすると星野さんも来たい! という展開になるのだけれど、残念ながら親が許してくれなかったらしく。


「むぅぅぅぅぅぅぅぅ……」


 ほのかと同じ、スマホの向こうからの参加ということになったのだけれど、星野さんは非常に不満げ。


「まーまー、勉強自体は一緒いっしょにやっとるんやからええやんか」


「そういう問題じゃないのですわぁ!!」


 星野さんの気持ちも分からなくもないけれど、これはもう仕方がないとしか。


 むしろ、桝井さんの親がよく簡単にオッケーを出してくれているなと思ったけれど、そういえば桝井家の事情を少し知っている現状、もしかすると……という思いもある。


 簡単に言えば、お兄さんばかりに気を向けていて……っていうこと。


 とうの本人は楽しそうだからいいのだけれど。


 で、そんな感じで更に参加者が増えたのを、星歌ほしか晴海はるみたち、最初の参加メンバーや寮生の子たちも驚いていたのだけれど、多分1番驚いていたのは――


「……え、何? 今日って何かイベントとかあった?」


 ――と思わず萌に確認していた羽海うみだったんじゃないかなと思う。


 一応、小テストの件については羽海にも連絡しておいたし、その件で勉強会するために泊まりに来ている子が居るとも伝えておいたけれど、来ている子が想像以上に多かったみたい。


 こんな状況で唯一ゆいいつ、マイペースで勉強をしていて、萌とか私に質問をしているのは花乃亜かのあちゃんくらいかな。


 まゆちゃんと智穂ちほは最初の3人相手でも、桝井さん相手でもおっかなびっくりだったけれど、動画を休憩きゅうけいのときに流したりしていたら、いつの間にか仲良く……とまではいかずとも、普通に話すことが出来る程度の関係にはなっていたみたい。


 ちなみに今日も今日とてスタピの曲を流していたのだけれど、桝井さんも興味が出てきたらしく、早速ネット通販で音楽を買ったらしい。


 スタピ仲間が広がっていくなあ、なんてことを思いながら、本日の勉強会もそれなりに大人しく進んだ。


 勉強会が終わって、お風呂も済ませた後に、自室に戻った私はテオのご機嫌取りをしていると、今日もノックの音がした。


 昨日に引き続きかなと思いながら、流石さすがに今日は昨日ほど遅くならないようにと気を引きめてから、


「どうぞ、開いてるよ」


 と言ったのだけれど。


小山こやまの部屋、何やモノが全然ないやん。本当にここに住んどるんか?」


 昨日も聞いたような言葉を発しながら入ってきたのは、星歌でも晴海でもなく、少し窮屈きゅうくつそうな胸元をゆるめた水色のパジャマ姿の桝井さんだった。


「あれ、桝井さん?」


「ん、どしたん? あれ、誰か別の人間待っとったとか?」


「待ってたというか、昨日もこれくらいの時間に来た子が居たから」


 私の言葉に「ほーん?」とちょっと楽しそうな表情になる桝井さん。


「……ってことはあの2人……大隅おおすみと中居か?」


「ん、まあそんな感じ」


 私が答えると、ローテーブルの横にいてた座布団さぶとんを見て、


「なるほどなあ。ほんなら、出直すかー」


 と部屋を出ようとする。


「別に大丈夫。約束してたわけじゃないし、何か用事があったんでしょ?」


「用事……と言うほど大げさなもんでもないんやけどな。ちょい話をしにきただけや」


 両手の指を突き合わせて、桝井さんがそう言ったから、私はローテーブル横の座布団に座って、


「昨日の2人も同じような感じだったから、別に大丈夫。空きもあるしね」


 と言うと「ならええか」と表情をくずして、桝井さんが座った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ