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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第28時限目 不思議のお時間 その31

「おはらい……?」


 前置きなしで話しだした真帆まほに、正木まさきさんが首をかしげた。


「前に言ってた、トイレの花子さん的な幽霊ゆうれい騒ぎのことかねー?」


 りんごジュースのブリックパックをずずずっと吸った後に尋ねた都紀子ときこに対して、


「そう、それそれ」


 とはしをビシッと都紀子に向けた真帆。


「真帆、お行儀ぎょうぎ悪いよ……でも、そういえばそんな話あったね」


 正木さんが真帆の行動をとがめてから、言葉を継いだ。


「今日の朝のホームルームで言われるかなって思ったんだけど、言われなかったからちょっと気になってたんだよね。千早ちはやのお母さん……っていうか千早んとこの一家? 一族? ってそういうお祓い的なのを代々やってきてるんだよね。で、休み時間に他のクラスの子から聞いたんだけど、話題になってた幽霊のお祓いを千早のお母さんがしたんだって」


「ほへー……って、本人から直接聞いたんじゃないんだねー」


 一足先に食べ終わった都紀子が頬杖ほおづえつきながら、間の抜けたような言葉を出すと、真帆が「それがさー」と不満をにじませつつ言葉をつなげた。


「本人はあんまりそういうの、教えてくんないんだよねえ」


「ありゃ、そうなんだねー。結構仲良さそうな感じだったから、教えてくれるのかなーって思ってたんだけど」


「仲が良い……というよりは腐れ縁みたいな感じだけど、千早に聞いたらさー……」


 真帆はまゆを上げ……あまり似ていない千早の声真似こえまねをしながら言った。


「『あんな場所に行って巻き込まれて、ろくなことにならないと言ったでしょう? 興味を持つこと自体が罪よ』って。言い過ぎじゃない!?」


「あっはっは、なかなか厳しい言い方だねー」


 ……これ、私が実際に色々巻き込まれたから、本当に注意喚起ちゅういかんきの意味で言ってくれてるんじゃないかな……とか思ってしまう。


 もえもそうだけれど、ちょっと言い方がきつい子って本当は良いことを言っていても素直に受け取りづらいのが勿体もったいないなあって。


 伊久美いくみ姉妹と融合ゆうごう? 合体? 乗り移り? をされていなければ、実際あんなに何度も地面をごろごろ転がされていたし、場合によっては大怪我していたおそれだって……あれ? でも良く考えたらはるかさんも翌日普通に学校まで来ていたし、命をうばう気がなかったと言われた通り、かなり手加減してくれていたのかも?


「それで……その、本当に居たの? 幽霊って……」


 悩む私は正木さんの言葉で意識を目の前の会話に戻した。


「それがさあ……千早のお母さんと千早、どっちも行ったらしいけど直接は見てはないって。ただ、怪しい気っていうか……雰囲気ふんいきはあったらしくて、ちゃんとお祓いしてきたんだってさ」


「ほへー、それでどうにかなるもんなんだねー」


「……本当に大丈夫なのかな……」


 信じているかどうかはさておきそのまま受け入れる都紀子と、納得がいかないというかまだ不安そうな正木さん。


 とりあえず、あのうそつき妖怪ようかいは消えたらしいから、大丈夫だろうと思うけど……それこそ伊久美姉妹みたいに消えたフリしてどこかに隠れてたりしないよね……?


「なんか、さっきからじゅん、全然(しゃべ)ってなくない?」


「……えっ?」


 真帆の言葉で、正木さんも都紀子も私を同時に見る。


「ってか疲れてるっぽいけど、何かあった?」


「大丈夫ですか?」


「夜ふかししたんかねー?」


 皆が口々に尋ねるから私は両手を左右に振って、


「あ、いや、別にそんなことないよ」


 と笑って否定する。


 あまり心配掛けたらいけないな、と思っていたら都紀子が「あ、分かった」と突然言って、むふふ笑いをしながら続けた。


「昨日、何か面白い動画見てたとかー? まゆちんから聞いてるよー。雨海あまがいさんが出てた過去のドラマとか、色んなMVとか見てるってさー」


「……あー、うん、そうそう。最近、色々面白いのを見ててね……」


 実際、都紀子が言ったように、過去に羽海うみが出演していたドラマを見たり、羽海たちのグループのLALALA(ラララ)LOVERラバーだけではなくて、ミチルさん……真理まりのお姉さんが所属するsound(サウンド) ofオブ the seaシーSTAR☆PEACE(スターピース)の曲、他に最近流行りらしい曲を羽海から聞いてMVを流す、というのは最近よくりょうでやっている。


 まあ、今の私がぼーっとしていたのは別のことだったのだけれど、都紀子が振った話題に乗っかることにした。


 ……だって、実はすぐそばに非現実的な存在に会える可能性があると分かったら、それこそ真帆は行ってしまいそうだから。


 特に、相手が吸血鬼だったりしたら。


 ああ、もう1人居たなあ、そういうところに行っちゃうタイプの人。


「ちょっとよろしいかしらぁ?」


 そう思ったところで、私は声をけられた。


 ……この、ちょっと間延びした感じの声は振り返らなくてもだれか分かる。


「どうしたの、星野さん」


 確認も含めて振り返ると、果たして座った私と同じくらいの目線の辺りに、星野さんが立っていた。


 ……腰に手を当て、ひどくご立腹りっぷくの様子で。


「ちょっとつら貸して欲しいのですわぁ」


「え、ちょっと辛辣しんらつじゃない!?」


 何か怒ってる?


 怒られる原因、何かあったっけ!?


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