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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第28時限目 不思議のお時間 その19

 デカブツ呼びはかなりひどいと思うけれど、今までもたまに呼ばれていたし……あれ、そう考えたら今までと全然変わらない?


「えっと、話はそれだけかな? それならもう帰――」


「そんなわけないでしょう!?」


 教室の方に上半身を向けたところで、千早ちはやさんにまた滅茶苦茶めちゃくちゃ怒られた。


 でも、正直細かい事情を説明されずに突然呼び出され、一応の結論らしいものが出たから、そろそろ終わりかなと思っても仕方がないと思うけれど。


 帰る気満々だった私は再び彼女に向き直って、尋ねた。


「えっと、それで……残りの御用は?」


「今日の晩、空いているわよね?」


 唐突とうとつ過ぎる言葉に、私は数秒間目をしばたたかせて、情報の処理に努め、そして答えた。


「…………え、今日の夜? 空いているといえば空いているけど……何故?」


 何か、千早さんと約束していたことあったっけ?


 ……いや、今約束したばかりだからそういうわけでもなく。


 そもそも、千早さんと最近話をしたのっていつだっけ……?


 神社に寄らないという選択を取ってからはあまり関わらない方が良いのかなと思って、積極的には話しけていないし。


 そうすると、尚更なおさらどういうこと……?


 頭の中にハテナを沢山たくさん詰め込んだ私の言葉に「そう」と短く答えた彼女は、


「じゃあ、19時半に学校の噴水に集合で」


 と短く要件を伝え、教室の方へもどろうとした。


 良く分からないけれど、約束をしたいだけなら先に言ってくれれば――


「……ん?」


 学校の噴水?


「あ、ちょっ! 千早さん!」


「何」


 じろり、と私を睥睨へいげいした千早さんに、私はちゃんと伝えるべきことを伝える。


 ……いや、だってさっき理事長室で、友達でも正門が閉まっている時間帯には軽率に他人を寮内りょうないに招き入れないよう、怒られたばかりだし……。


「夜の学校は、あの、基本的には閉まってて……」


 私の説明の途中で深い溜息ためいきく千早さん。


「知っているわ。今回は正式な依頼だから”私たち”は正式に入れるから問題ない。話は以上?」


 何か今度は立場が逆転して、さっさと帰りたいオーラを出している千早さんなのだけれど、何やら不穏ふおんというか聞き慣れないキーワードが。


「依頼……?」


 さも当然のように千早さんは「そうよ」と答えて、「もう全部伝えたわね?」という表情でまたきびすを返すから、私はまだまだ引き留める。


「え、ちょ、待って。え、依頼? ってどういうこと?」


「言葉通りよ。この学校の理事長さんから頼まれたの。うちのお母さんが……だけれど」


「そ、そうなんだ」


 そういえば、最初に会ったときは色々と衝撃的しょうげきてきなことも多くて気づいていなかったけれど、お父さんのことは親父おやじ呼びだったのに、お母さんは普通にお母さんなんだなあ……なんてことを思いながら、質問の続きをした。


「えっと、お母さん……ってはるかさんのことだよね? あの人も来るの? っていうか、もしかしなくてもこの学校に出てくる幽霊ゆうれいうわさの対策?」


「そういうことよ」


「え、ってことは……幽霊が、本当に居るってこと!?」


 若干じゃっかんパニックになりかけた私の反応にまた深い溜息を投げ捨てたから、その冷静な態度に少し(へこ)みつつ、ただし私自身も平静を取り戻した。


貴女あなたたちが騒いだからでしょう?」


「え、騒いだ……って?」


桝井ますいさんと星野さんと一緒いっしょに夜の学校に行って、目を見たと言っていたのでしょう?」


「……え?」


 確かにその話は”見た本人同士”ではした。


 でも、それはあくまであの2人と話をしただけで、他の子たちとは全く話をしていない。


 学校に来てから、正木まさきさんたち……特にこの件を気にしていた真帆まほにも。


 だから、騒いだと言われても全くの寝耳に水。


 私がぽかーんとしている様子を見て、千早さんがちょっと私に気を遣うように尋ねた。


「……まさか貴女、知らなかったの?」


「知らなかったというか、私はその話を学校に来てからしてなくて……。というか、昨日の学校に入ったのも……」


 私が千早さんに昨日の経緯……つまり、桝井さんがプリントを忘れて、教室に忍び込むときにそのまま巻き込まれたという話をすると、千早さんは頭に手をやって、


「……ごめんなさい、デカブツは取り消すわ。貴女、なんというか……巻き込まれ系なのね」


 とすまなさそうに言った。


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