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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第28時限目 不思議のお時間 その5

 しかし、この学校の七不思議ななふしぎがかなりあやふやだった理由が、実は昔研究所だった建物を学校に改築した後、だれかが勝手に作って広めていたからだとは思わなかった。


 もしかすると、七不思議を勝手に作って流していた人が途中で作るのにきたのかもしれない。


「でも、トイレの花子さんか……」


 夜の学校へ調査に行くのはどうかと思うけれど、確かに事実確認はしておく方が――


じゅん、お風呂行くにゃ!」


「行きましょう!」


 どたどたっ、と食堂の中に足音が転がり込んできたから、椅子いすの背もたれに手をやって振り返ると、みゃーちゃんとみねさんがお風呂セットを持って立っていた。


「ああ、うん。ちょっと待って……あ、みゃーちゃん」


「ん、なんだにゃ?」


 椅子から腰を浮かせた私は丁度良かったと、思い出したことを確認する。


「うちの学校って、校舎に監視カメラがあるって言ってたよね? あれってりょうでも確認することは出来るの?」


 私の質問に首をかしげるみゃーちゃん。


「出来るけど……どうしたにゃ?」


「ちょっと確認したいものがあってね。細かい話はお風呂の中でしようか」


 私も自分のお風呂セットを持って、みゃーちゃん、峰さんと3人でお風呂に入り、そこでトイレの花子さんを目撃した人が居るらしいという話をしたのだけれど……これが大失敗だった。


「…………じゅんのせいにゃ!」


「そうですよ!」


「ああ、うん……ごめんなさい」


 お風呂の中でも、お風呂から上がっても、2人は私にくっついたまま震えている。


 せめて、ご飯を食べているときは離れて欲しい……と思いつつも、自業自得じごうじとくと言われればそうなので、仕方がないとも。


 何故、そんなことになったかといえば話は簡単。


 2人共、ホラーとか怪談が苦手だということを知らなかったから。


 トイレの花子さんの話は当然と言うべきか、最初は冗談じょうだんとしか思われていないようだった。


 ただ、私が確認のために監視カメラの映像を見たいと話をすると、少し様子が変わる。


 普通なら、そんな絵空事えそらごとをいちいち確かめるなんてことはしないから。


 でも、私が「一応、確認したい」とか「念の為ね」と言うから2人は徐々に「え、本当に居るの?」と気になり始めてしまったみたい。


「明らかに、貴女あなたが悪いわね」


「そうですね」


 トイレの花子さんの話をみゃーちゃんたちにしてしまったことについて、夕食で一緒いっしょになった、もえ智穂ちほにもばっさりと切り捨てられ、私は若干じゃっかん理不尽りふじんさを感じつつも、


「ごめんなさい」


 とまた謝るしかなかった。


 ただ、それでも監視カメラを確認する重要性はく。


「監視カメラを確認して幽霊ゆうれいなんて居ないって分かったら、安心出来ると思うんだけど……」


「幽霊だったら、そもそもカメラに映らないにゃ!」


「いやまあ、それはそうかもしれないけど……」


「そ、それに本当に写っていたら、どどど、どうするんですかぁ!?」


 あわわ……という表情の峰さんに、私は答えた。


「まあ、そのときは……おはらいとかが専門の人にお願いするしかないと思う」


「そんなこと出来る人、本当に居るのにゃ?」


「うん、クラスメイトにね。まあ、だから絶対大丈夫というわけでもないけど……」


 私が1番気にしている理由は別にある。


「”ある子”がこの話、ひどく気にしててね。最初は学校にしのび込もうかと言ってたくらいだったから、そんなものは居なかったよと安心させたいんだよ」


 真面目なトーンの私の言葉に黙りこくってしまう皆。


 最後に、溜息ためいきいてから、みゃーちゃんが言った。


「…………それで満足するなら、確認用のノートパソコン、貸してやるにゃ」


「ありがとう、みゃーちゃん」


 みゃーちゃんの言葉に、私は感謝の言葉を述べる。


 ということで、食堂にみゃーちゃんがノートパソコンを持ってきてくれたから、私はそれを開いたのだけれど。


「……いや、あの、別に皆で見ないといけないわけじゃないけど」


「こ、怖い、けど、皆が、一緒、なら……」


 夕食に来ていたまゆちゃんがちょっと震えながら言う。


 花乃亜かのあちゃんはいつも通りの、ちょっととらえどころがないような表情で、パソコンの画面をのぞき込んでいる。


 で、華夜かよも少し興味ありげな視線をノートパソコンのディスプレイに向ける。


 ……ううむ、こんなに大事おおごとになるとは。

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