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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第27時限目 友情のお時間 その8

「こんにちは」


 学校の図書室で、この部屋のぬしに話しけた。


「……いらっしゃい」


 図書室のカウンターの中に座っていた花乃亜かのあちゃんは私の声に反応して、さらさらのショートカットヘアをらしつつ、手を振ってくれた。


 事前に花乃亜ちゃんが図書室に居る日を聞いておいて良かった。


 去年まではほぼ毎日居たらしいけれど、今年……というか今年度で卒業だからいつまでも図書委員としてずっと居るわけにもいかない、ということで週1回くらいのペースで入っているらしい。


 ……いや、週1でもそこそこ多いと思うけれど。


 そういえば、卒業で引き渡しといえば、まゆちゃんが管理してたあの花壇かだん……というか畑、どうなったんだろう。


 帰ったら聞いてみようかな。


「今日、まだ、来てないよ」


 私の顔を見て、花乃亜ちゃんがさきんじてそう教えてくれた。


「あ、いや……椎田しいださんに会いに来たわけじゃなくて」


 確かに花乃亜ちゃんには椎田さんの件を相談していたけれど、今回はただただ図書館の一利用者いちりようしゃとして来ただけ、と私は説明した。


 まあ、本当にただただふらりと訪れただけだから、何を読みたいとかいう目的もないのだけれど。


「……分かった。じゅん叔母おばさんの本、もう読んだ?」


「え? 叔母さんの……って、もしかして前に言ってた静野しずのさんの新刊? まだだよ」


「私、読み終わった。だから、返却する」


 そう言って、本をこちらに向けた。


 ……返却した直後だから、必ず借りられるってことね。


「じゃあ、借ります」


「ん」


 小さくうなずいて、花乃亜ちゃんはカウンターの中で何やらごそごそとしていたのだけれど、ぴたりと手を止めた。


「……準は利用者カード、作った?」


「利用者カード? あ、まだ作ってない」


 多分、どこでもそうだと思うけれど、図書館で誰が何を借りたのか、というのを管理する必要がある。


 この学校も利用者カードを作って、カードのバーコードと本に付いているバーコードを読み込ませることで、利用者と貸出した本の管理をしているらしい。


「良く行ってる図書館、利用者カード、無くなった」


「無くなった? どこかで無くしたの?」


「じゃなくて、アプリで管理」


「……あー、そういうこと」


 利用者カードがアプリになったから、いちいち持ち歩かなくていいってことだよね。


 それは確かに便利かも。


 昔、利用者カードを家に忘れて取りに帰ったこともあったし、全部アプリにしてくれた方が助かるなあ。


 たまにしか使わない人はいちいちアプリに登録しないといけないから面倒だとは思うけれど。


 花乃亜ちゃんが手早くカードを作って、彼女が返却した静野しずのさんの新刊を渡してくれた。


「ありがとう」


「他に借りる本は?」


「んー、今日はいいかな。まず、これ読んでくるよ」


 借りた本を軽く上げて見せてから、私は図書室をぐるりと見回した。


 前に花乃亜ちゃんの手伝いで新しく買った本をたなに片付ける作業を手伝ったことはあったけれど、利用者として入るのは初めて。


 クラスメイトは見当たらず……というか利用者自体が思ったよりも少なくて、4人掛けのテーブルが4つ、個人勉強用のテーブルが15席くらいなのだけれど、利用者の数は合わせても片手で数えられる程度。


「……意外と少ないね」


「テスト前じゃないから」


 暇だからか、カウンターの中で本を広げる花乃亜ちゃんが視線を本からはずさずに答えた。


「やっぱりテスト前だと混雑する?」


「うん。でも、テスト前以外、いつもこんな感じ」


「そっか」


 今日が少ないだけなのかなと思ったけれど、むしろこのくらいが通常運転らしい。


「何か読みたい本、ある? 今度、新しい本を追加する」


「読みたい本かあ……うーん、まず蔵書に何があるか分からないから、見てからかな」


「分かった。読みたいのがあれば、教えて」


「うん、ありがとう……でも、私が読みたいからって仕入れても大丈夫なのかな?」


「大丈夫」


 ぶい、と花乃亜ちゃんが指を2本立てる。


「図書館の利用者、全然居ないから」


「……それはどうなんだろう……」


 利用者増えないなら、新しく本を仕入れないという手もある気がするけれど。


 とりあえず、今借りた本を読むために、個人勉強用スペース……小さい仕切りがあって、左右からの視線を気にせずに集中できるスペースなのだけれど、私はそこで本を開いた。


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