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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第27時限目 友情のお時間 その6

「そうやって、貴女あなたは皆を甘やかしすぎなのよ」


「そ、そうかなあ」


「……まあ、いいわ」


 小さく1つ溜息ためいきを道端に捨てて、


「とにかく、やることは終わったし、帰りましょう。もうちょっと詰めて頂戴ちょうだい


 と言いながらもえが自分の肩で私をぐいぐいと押してくる。


「ちょっとちょっと!」


じゅんが折りたたみかさ1本しか持ってきてないんだから、仕方がないでしょ」


「いや、だからそれは――」


 萌と押し合いへし合いをしながら、りょうまで歩いた道は……雨の降る中だったけれど、ちょっとだけ温かかった。


 翌日。


「……」


 まだ、しとしとと小雨が降る中、傘の雨粒を落として、昇降口しょうこうぐちくつき替えた私は、教室に向かう途中で見覚えのある車椅子くるまいすの女の子を見つけた。


 ……いや、私が知る限り、この学校で車椅子の女の子は1人しか居ないはずだし、その後姿にも見覚えがある。


 唯一ゆいいつ、見覚えのないのはいつも一緒いっしょに居る女子生徒の姿が見えないという状況。


 ……あ、そんなことなかった。


 そういえば、前に椎田しいださんの携帯を探しに来たとき、というか天体望遠鏡を片付けに来たときも同じような光景だった。


元橋もとはしさん、おはようございます」


「あら、小山こやまさん。おはようございます」


 私自身、元橋さんと椎田さんの関係に対して、ちょっと神経質になりすぎだとは思いつつも、別に挨拶あいさつくらいは許されるだろうと思って、私は元橋さんに声をけたのだけれど。


「丁度良かった。教室に行かれるのであれば、押してもらえませんか?」


 返ってきた言葉は少し意外なものだった。


「いいです……けど、椎田しいださんは?」


 私はいつも居る眼鏡めがねのクラスメイトの名前を出して、きょろきょろと周囲を見渡す。


智穂ちほさんは今日もお休みです。風邪かぜが長引いているようで……」


「そうなんですか。それはちょっと心配ですね」


「ええ……。ほら、ここ数日、夜間は急に冷え込むようになったでしょう? 元々、智穂さんは体が弱い方ですから、こういう時期は体調をくずしてなかなか治りにくいみたいなんです」


「なるほど」


 元橋さんの話を聞きながら、教室に向かって車椅子のハンドルを押し、スロープを上がる。


 昨日の咲野先生の話からしても、本当はこういうとき、先生たちを呼んで手伝ってもらった方が良いのだろうとは思うのだけれど、もしここで私が手伝わずに先生たちを呼んだら、何だか元橋さんを拒絶きょぜつしているようにも見えるかな……と思ったから、私が車椅子を押すことにしたのだった。


「風邪といえば……元橋さんは体調大丈夫なんですか? 昨日休んでましたけど」


 椎田さんと同じように風邪だったのかな? と思っての質問だったのだけれど。


「私はただの定期検診ですから、大丈夫ですよ」


「あ、そうだったんですか。昨日、2人共休んでいたので、もしかしてどちらかの風邪が移ったのかなと……」


「違いまーす」


 ぶぶー、とばってんを作って私に見せる元橋さんにくすくすと笑う私。


 元橋さんって、結構お茶目なところあるよなあ。


 それにしても……確かに昨日、咲野さきの先生が言ってたなあ、元橋さんは検診で来れないことがあるって。


 他の子たちが授業や放課後に遊びにいくとかしているのに、それが出来ないというのは……結構辛いかもしれない。


「私はあまり下半身が動かない以外は元気なんですけど、智穂さんは体が弱いのにいつも私のために早めに学校に来て、帰りのバスまで手伝ってくれるので、とても助かっているんですよ」


 にこにこと言う元橋さんに「良い人ですね」と相槌あいづちを打ちつつ、スロープを上がり切ると。


「……ああ、ここからはもう自分で大丈夫ですから」


 元橋さんは振り返ってそう言った。


「いえ、教室までもう少しですし、いいですよ」


「ほら……あれです」


 ひそっと元橋さんが私に言う。


「”そういう”関係に思われたら困りますから」


「……ああ、なるほど」


 前に言っていた話だよね。


 ただ、家の外で遊んでいるときならいざ知らず、学校内ならそんな考え方をされるとは思わないのだけれど。


 普通にクラスメイトが困っているのを助けるだけだし。


 そう思ったのだけれど。


「……」


 ただ、無言で首を横に振る元橋さんの手伝いを、無理やりするのも本末転倒だから、私は手を離した。


「では。ここまでありがとうごさいました」


 そう言って、先に元橋さんが教室に入る。


「……」


 恋愛感情云々は差し引いても……元橋さんともまだ距離があるなあと感じたのだけれど、それ以上に「本当にそれだけが理由?」という疑念も胸に渦巻うずまいていた。


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