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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第27時限目 友情のお時間 その5

「実際にその状況を見てた子も居て、手伝おうと申し出てくれた子も居たんだけど、大丈夫です、要りませんって元橋ちゃんが押し返しちゃってたんだよね。そんな状況で、更に検診とかで学校に来れない日とかが結構あって……ってなると、どうなるかは分かるじゃん?」


「……そうですね」


 朝は結構青空が見えていた気がするけれど、いつの間にか愚図ぐずりそうになっている空を見上げた咲野さきの先生につられて、私も空を仰ぐ。


「結局、学校のスロープの上り下りだけはどうしようもないからってアタシたちの手伝いを受け入れてくれたんだけど、それ以外はかたくなに受け入れてくれなくてねえ……。どうしようって話をしてたんだけど、いつの間にか椎田しいだちゃんが元橋もとはしちゃんのそばに居てくれるようになったんだよ。本人に聞いたわけじゃないけど、どこか2人共近いところがあったからなんじゃないかなって……あ、つまりアタシの想像でしかないんだけどさ」


「でも、それは確かにあるかもしれませんね」


「ま、とにかくそれ以降ずっとああやっていつも一緒いっしょに居る感じ。正直に言うと、担任としては今のまま椎田ちゃんに任せっきりというのはあまりいい状況じゃないと思うし、何より……今の状態、友達同士っていうか共依存きょういそんに近いようにも見えちゃうし」


 そこでまた、ふーっと溜息ためいきく咲野先生。


「無理やりあの2人を引きくなんてことは絶対にしちゃいけないと思うんだけど、あのままはあのままでちょっと心配だし、どうにかいい方向に転ばないかなーって思ってて、小山こやまさんに話を振っちゃったってわけ」


「はあ……」


 気の抜けたような返事をする私。


 そこで私が出てくる理由が分からない……わけではないけれど、今どっちかというと絶賛敵視されているというかマークされているというか……。


「無理に椎田ちゃんとか元橋ちゃんと上手いことやってねって意味じゃなくて、もし小山さんがあの2人とも仲良くなってくれたらいいなーってくらいの話で聞いといて」


「…………分かりました」


 ちょっと考えてから、うなずいた。


 とはいえ、恋愛感情はないけれどとりあえず男という存在に興味があるという元橋さんと、その元橋さんが私に興味を抱いていることに少なくとも良い感情を持っていない様子の椎田さん。


 全くもって、仲良くなるイメージが出来ない。


「ま、とにかく色々話を聞いてくれてありがとね。またよろしく」


 そう一方的に話を終えて、咲野先生は手をひらひらさせながら、校舎に入っていった。


 咲野先生が言う通り、普通の友達とは違うレベルでつながっているのであれば、遊びに行くときに私が居る方がやっぱり邪魔じゃまにしかならないのでは、という気持ちが強くなってしまった。


 自分の教室までもどってきて、かばんを持って出ていく私。


「……雨かあ」


 りょう辿たどり着くちょっと前、空から降ってきた冷たい粒に気づいて、ひとちた後、自分の部屋でテオの歓待かんたいを一通り受けたところで、コミューの通知音が鳴った。


 誰だろうと確認するともえの名前が。


『助けて』


「萌……!?」


 急に立ち上がった私のひざから吹き飛ばされたテオはちょっと不満そうだった気がするけれど、そんなことを気にしていられない私は取るものもとりあえずけ出した。




「……確かにまぎらわしいこと書いたのは悪かったけれど」


 折りたたがさを広げた私の隣を歩くのは、ちょっとあきれた顔の萌。


「その後もすぐに送ったでしょう? ちゃんと最後まで内容を確認しなさいな」


「あ、あはは……」


 実は、私が飛び出した後、萌の通知には続きがあって。


『雨が降り出したから、かさを持ってきてほしいの。今日降るって聞いていなくて』


 まあ、そんな感じで大した話ではなかった、というか私1人で他に傘を持っていない上に、物凄ものすご形相ぎょうそうで現れた私を見て、萌がぎょっとしていたけれど。


 ……ほら、中居さんのときとかみたいに、本当に困ったことが起こるかもしれないから。


 特に萌は理事長の娘という立場もあるし、誘拐ゆうかいとか……まあ考えすぎとはいえ、無いとは言えない。


 とにかく、私が差した傘に、萌と2人でくっつきあって歩く。


「……でも、私もあまり先生のこと言えないわね」


「え?」


 萌が呟いた言葉の意味が分からず、尋ねる。


じゅんに頼ってばかり、ということよ。傘のことも、最初に思い浮かんだのが準だったわけだし」


「ああ、なるほど。いや、別にそれくらいは構わないんだけど……」

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