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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第5時限目 合宿のお時間 その13

 益田さんに合宿話を相談したその日の夜、私がそろそろ寝ようか、本でも読もうか少し悩み、やっぱり少し本を読もうと椅子に座ったタイミングで益田さんが私の部屋を訪ねてきた。


 何だろうと思ったら、


「理事長に確認を取ったら、宿泊については問題ないそうだ。ただし、1回100円の宿泊料が掛かるから、それは覚悟しておいてくれ、とのことだったよ」


 という話だった。実際はもう少し情報があったけれど、何にしても益田さん、もの凄く行動早い。もう話をしてくれたんだ。


 というわけで、翌日の学校の1限休み時間に正木さんたちに早速報告する。


「寮で1泊100円? やっす!」


 前の席の子が何処かに行ったのを良いことに、勝手に席に座っていた岩崎さんが目を丸くした。


「でもなんで100円なんだろうねー?」


 首を傾げた片淵さんの言葉。うん、私も同じことを思って、昨日益田さんに聞いているからお教えしましょう。


「寮生は寮費を払っているから、不公平が無いように寮費の日割り程度は取るべきだろうとかいう話のようですよ」


「寮費ってそんなに安いんだねえ、知らなかったなー」


「いえ、実際の寮費の方は光熱費や水道代が共用分でプラスされるのでもうちょっと高いみたいですが、宿泊費で商売をするわけでもないので分かりやすく100円にしたんだとか」


 何にしても格安過ぎる気はするけれど。


「100円くらいなら2泊3日合宿とかでも全然余裕じゃん。帰るの遅くなったときに泊まらせてもらうとかもアリだよね」


「もう、真帆の家はそんなに遠くないでしょう?」


 正木さんのたしなめるような言葉に岩崎さんが口を尖らせる。


「いーじゃん、別にー。たまにはあたしだって1人でゆっくりしたい日だってあるんだし。お母さん、進路がどうだとか、勉強しろだとかうるさいし。あーあ、あたしも寮暮らししたかったなー」


 頭の上で手を組んで、岩崎さんが愚痴る。


「まあ、でも寮で合宿出来そうだし、良かったねー」


 片淵さんの言葉に、思いもよらない方向から声が飛んできた。


「へー、寮で合宿とか出来んだな」


 突然の声に、私たちいつもの4人はほぼ同時に声の主の方を向く。視線の先には茶髪の2人が良いこと聞いちゃった! 的な顔で立っていた。あっ……これは。


「そっかー、寮って寮生以外でも泊まれるんだー。知らなかったぽよー」


 中居さんがいつも通りゆるーいノリで言う。


「聞かれたくないヤツに聞かれたなー……」


 岩崎さんが小声で言うと、デビルイヤー持ちだったらしい大隅さんがまた私の椅子を半分占拠してくっつきながら言う。


「何だよー、小山教えてくれよー。寮ってそんな簡単に泊まって良いのかよ」


「えっと、理事長の許可は貰っているみたいですよ」


 誤魔化そうとしたところで誤魔化しきれないだろうから、私は素直に答える。って大隅さんくっつき過ぎ!


「へー、良いじゃん。あたしも家帰りたくないときとかに中居の部屋に泊まったりしてたけど、中居の部屋汚えんだよなあ」


「酷いじゃん! そんなこと言いながら、家出したとか言って割りと頻繁にうちに来てたのにー」


「まあな」


 見た目通りとか言ったら怒るだろうけれど、家出とかしたことあるんだなあ、なんてことを思いつつ正木さん、岩崎さん、片淵さんの表情をこっそり見ると、濃度は個人個人で違うけれど、ああ面倒くさいなと言いたげな表情は共通していた。


「んじゃあ、今日早速泊まりに行くか」


「え? 今日ですか?」


 肩まで組んできた大隅さんの言葉に、流石に私も驚いて声を上げる。


「何だよ、駄目なのかよ」


「駄目では無いと思いますが……昨日の今日なので、寮長さんに確認しないと」


「ふぅん? んじゃ、放課後その寮長さんとやらに会いに行くか」


「そうするじゃん」


「で、小山の部屋に上がり込もう」


「そうするじゃん!」


「で、夜まで遊ぼうぜ」


「そうするじゃん!!」


「あの、えっと……ははは」


 勝手に話を進める大隅さんとそうするじゃん言うだけの機械人形みたいになった中居さんに対して、私は苦笑いで返すだけだった。


「んじゃー、放課後な」


「こやまん、待ってるぽよー」


 言いたい放題言って去っていった2人を呆れ顔で見送りながら、私は正木さんたちに向き直る。


「……ちょっと悪いタイミングでしたね」


 私が溜息と共に言葉を吐き出すと、


「嫌だったら嫌と言っても良いと思います……よ」


 気の優しい正木さんが言うのだから、やっぱり傍目にもちょっと……というのはあったみたい。


「そうだよ。小山さんはもっと主張していいよ。あたしたちも小山さんが何も言わないからついつい好き勝手言っちゃってたし、あたしたちのこと含めてちゃんと嫌なら嫌って言っていいよ」


「いえ、嫌ではないんですが……」


 正木さんたちとの付き合いは言うまでもなく、あの2人だって自分から絡むようにしたのだから、自業自得と言うと言い方が良くないと思うけれど、特別嫌ではない。まあ、ちょっとスキンシップ過多な部分とか絡み方の面倒臭さはあるけれど。


「んまー、どうしても困ったら準にゃんの相談に乗るよー……ってチャイムだ。とりあえず、寮の合宿については聞いてくれてありがとねー」


「いえいえ」


 チャイムが鳴ったから、岩崎さんと片淵さんが慌てて席に戻る。放課後は……まあ、何とかなるかなあ。

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