表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

818/961

第26時限目 競争のお時間 その51

「ほあー、疲れましたね……」


「そうだね……」


 皆での夕食を終えて、りょうまでもどってきた私と谷倉たにくらさん。


 ライブ終了後、皆での食事会が続けてあったから、ゆっくり出来ないというか、気が抜けない時間が続いたのだけれど、玄関の段差に腰掛こしかけた途端、どっと疲れが出た。


 それは谷倉さんも同じようで、隣に座って大きな溜息ためいき三和土たたきに転がしている。


 ただ、実は寮でもまだまだ気が抜けない、ということをすぐに思い知らされた。


「……あ、帰ってきた」


 後ろの方からそんな声がしたから振り返ると、


「ホントだ」


「おかえり、なさい」


「ちょっと! sound of the seaのミチルさんが来てたってマジ!?」


 とぞろぞろ食堂から皆が出てきた。


 どうやら皆、食堂に集まっていたらしい。


「あはは……」


「お疲れ様。皆、帰って来るの待ってたのよ」


 ちょっとあきれ混じりのおだやかな顔で迎えてくれたもえの向こう……食堂から届く香りに、私ははっとした。


「……あっ、そういえば夕食いらないって言うの忘れてた!」


「ちょっ……突然声出すから、びっくりしたじゃない。財布でも忘れてきたのかと思ったわ」


 そんな茶化ちゃかすような萌をきっかけに、小さな笑いの輪が広がった。


「で、ご飯食べてきたの?」


「うん。まあ、ちょっと……その辺も含めて、とりあえず食堂で話そうか」


 今日どうだったのかを話さないと、このまま部屋に返してはくれないだろうから。


 私は谷倉さんに少し疲れた笑顔を向け、同じ表情が返ってきたのを見てから、床に根が生え始めていた重い腰を上げた。


 それからの食堂は今まで以上に騒がしかった。


 当然といえば当然、いつもならそういう騒がしい周りを止めるはずの萌ですら、今日の話でヒートアップしていたのだから。


「え、本当に? ミチルさんって谷倉のお姉さんなの?」


「はい。私はただの一般人なので、負担をけないようにって黙っていた方が良いって言ってたんですけど。つい、私がステージで言っちゃって……」


「でも、突然お姉さんが出てきたら、驚いて当然」


 頭をいた谷倉さんに、相変わらずの無表情で華夜かよがフォローする。


「でも、ライブが無事に終わって、良かった」


 まゆちゃんの言葉に、私と谷倉さんは多分、今日1番大きくうなずいたと思う。


 本当にそれ! って感じで。


 皆からの質問攻めが一旦終わった……と思ったら、その後お風呂でまた質問攻めになり、部屋でくつろげるようになったのは、いつもなら予習復習を終えて、そろそろ布団に入ろうかなというころだった。


 その寛ぎの時間も、テオをもふもふする時間に取られている。


 朝早くから出ていって、夜遅くまで帰ってこなかったからか、お風呂のために着替えを取りに戻ったところで、テオが私にふぎゃふぎゃとかふごふごとか、文句なのか歓呼かんこなのか、とにかく大きな声で鳴きつつ体をり付けてしばらく離してくれなかった。


 そして今、部屋に戻ってきて、布団の上で横になった私の顔をぺちぺち尻尾しっぽたたいている。


 ご飯はちゃんとあげたから、多分スキンシップの要求……つまり、まだモフり不足だということだろう。


「疲れたよー、テオ」


 多分、このまま目を閉じてしまったら、どろのように眠ってしまうだろうと思うけれど、テオの体に手を往復されていたら、そんな私の眠気をノックの音が押しのけた。


「はい……?」


 こんな時間にだれだろうと声を返しつつも、何となくとびらの向こうの相手に見当はついていた。


 上体を起こすと、予想通りというべきか、


「あ、もう寝てました……?」


 とドアの向こうから谷倉さんがパジャマ姿で顔をのぞかせていた。


「ああ、大丈夫。どうぞ……じゃない、ちょっと待ってね」


 3回目にもなると流石さすがに覚えていた。


 私はベッドを下りて、部屋のドアに向かうのだけれど、何故か谷倉さんは先に自分の部屋の方へ。


「…………あれ?」


 今までだったら、部屋を出て合流してから谷倉さんの部屋に入っていたのだけれど、何故か私を置いて部屋に戻っていく。


 違和感を覚えつつも「最終日も眠くなるまで話をしましょう!」という理由で呼ばれたのだろうと思いながら谷倉さんの部屋に入ると、何故か谷倉さんはベッドに入り、人1人分くらい布団を広げていた。


 ……その様子を見て、私の脳内のハテナ密度が急上昇し、思考が止まった。


「え、えっと……どういう、状況、ですか?」


 思わず私が丁寧ていねいに尋ねると、


「良ければ、一緒いっしょに寝るとか、どうかなと!」


 と学校に居るときのテンションで、谷倉さんが言った。


 ……んん? どういうこと?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ