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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第26時限目 競争のお時間 その49

 でも、谷倉たにくらさんのお姉さんみたいに笑って流せない人も。


「ちょ、ちょっと待て! え、じゅん、ミチルさんと電話したことあったのかよ!?」


 星歌ほしかが食ってかるような感じで言うけれど、私は落ち着いてと星歌をゆっくりと押しのけて言う。


「いや、そのときは単純に谷倉さんのお姉さんとしか知らずに話をしてただけで……」


 私の言葉に、またくっくっくと笑う谷倉さんのお姉さん。


真理まりちゃんとビデオ通話してるときに入ってきたのに、私を見てあまりびっくりしなかったから何故かなーとは思ってたんだけど。もしかして、画面小さくて気づいてなかった?」


「すみません。その……私、テレビを全然見ないので、そもそもお顔を拝見はいけんしたことがなくて……」


「ええっ!?」


 その言葉に、谷倉さんのお姉さん以外も反応した。


「ちょっ……えっ!? じゃあ、家で何すんの!? やることなくない!?」


 1番反応が大きかったのが浅宮あさみやさん。


「あー、現代っ子っすねえ。う私も、実は全然テレビ見てないんで、会社の同期と全然話合わなかったりするんすけど」


 腕組みしつつ、一定の同意を得られた篠谷しのやさん。


「うちはテレビが点いてるのが当たり前だからなー。ただ、最近は部屋で動画サイト見てるから、見る番組は減ったけどな」


 美歌みかさんは腕を組みながらそう答えた。


 良かった、ギリギリ味方の方が多い――


「でも、準のやつ……勉強が趣味なんですよ」


「ないわー」


「ないな」


「それはないっす」


「あっはっは、ウケる。ないね」


 星歌の言葉で味方が居なくなった。


「でもま……もし私を有名人だと知っていても、小山こやまさんならこっそり拡散とかしなかったでしょ。真理まりちゃんがオッケー出すくらいの相手だし」


「え? でも、それは普通かと……」


 私の言葉に、苦虫にがむしつぶしはしなかったけれど、口の中に入ってしまったことに気づいたくらいの表情で、谷倉さんのお姉さんは溜息ためいき混じりに言った。


「いやー、そうでもないよ? 帰ってからコミューの他の人の投稿とか見てみたら分かると思うけど、ああやって美歌ちゃんが言ってても、こっそりライブ撮って上げる子とか居るし」


 首肯しゅこうした美歌さんが話を引き継ぐ。


「そうなんですよね。あんまりひどいのには注意して、それでも守れなければ出禁できんにしたんですけど、未だに居ますね……そういう子」


「そういうものなんですか」


 ちょっと意外。


「世の中、いい子ばっかりだけじゃなくてさ。約束を守るっていう、普通のことが普通に出来るだけでも大事なことなんだよ。まー、でもホント……今日は来て良かった。次、セッションするときまでにはちゃんと腕、治しなよ」


 笑いながら谷倉さんのお姉さんに言われて、赤べこ並にぶんぶんと繰り返し頭を縦に振る篠谷さん。


「ぜっっっっっっっっっっっったいに治しておきます!」


「っていうか、また来てくれるんですか?」


 うれしそうな美歌さんの言葉にうなずく谷倉さんのお姉さん。


「いつになるかは断言出来ないけど……ま、いつかはね」


 そう言って、立ち上がった谷倉さんのお姉さんはスマホを取り出した。


「それじゃー……ご飯行くか! 打ち上げのこと気にしてたけど、メンバーも一緒いっしょってことなら、真理ちゃんも問題ないでしょ?」


「え? あ、うん!」


「ホントですか!? やったー!」


「色々面倒がないように、お店は私がいつも行ってるとこだけど。この人数、個室で入れるかなー」


 無邪気むじゃきに喜ぶ美歌さんたちを引き連れながら、谷倉さんのお姉さんが先頭を進んでライブハウスを出ていく。


 ……えっと、あれはスタピのメンバーと谷倉さんが行くってことで、私たちは呼ばれてな――


「小山さん、早く! 他の3人も……あ、えっとMIKAさんのお友達の方も、良ければ来てください」


 先に出ていった谷倉さんがもどってきて、そう告げる。


「いいの?」


「良くなかったら、お姉ちゃんはあの場所で言わないです! 立場が立場だから、軽率に発言すると後々大変なので!」


「な、なるほど」


 谷倉さんのお姉さんは有名人だと認識はしたつもりだったけれど、その認識だけでは甘かったらしい。


「マジぽよ!?」


「よっしゃぁ!」


「い、行きます!」


 晴海はるみ、星歌、桜乃さくのさんもライブハウスを出ていくから、じゃあ私も……と足を踏み出した、そんなとき。


「ねえ、ちょっとキミ」


「……えっと、私、ですか?」


 確かこの人……えっと晴海はるみにあゆねえと呼ばれていた、色々と伝説を持つ人だったはず。


 茶色のウェーブヘアでヘアバンドのお姉さんは私を見て、一点の曇りもなく言った。


「キミさ、男の子だよね?」


「…………!?」


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