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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第3時限目 日常のお時間 その15

「そんなものなんですか」


 未だにイマイチ納得のいかない顔で私は答える。飼っても良いということは嬉しいのだけど、それでいいのかな?


「ただし、言うまでもないが糞尿の始末やその他諸々の世話はちゃんとするように。あくまで学校の生徒だが、その管理監督責任はこの紙を書いて出したキミ自身になるからな」


「は、はい。分かりました」


 まあ、何にしろ学校側からお墨付きを頂いたのだし、こちらとしては許可して欲しい側なのだから拒否する理由なんて無いよね。


「じゃあ、私はこれで」


 立ち上がって台所に向かいながら、三角巾を再度着け直した益田さんは「そういえば」とこちらに向き直った。


「夕食ならもう少し待ってくれれば出来るぞ。そちらの岩崎さんも良ければどうだ?」


「え? 良いんですか?」


 椅子から立ち上がって、岩崎さんが目を輝かせる。


「ああ。足りないことがないように、いつも2、3人前多めに作っているから構わないぞ。いつもは私が残りを食べ、食べきれないものは捨てるんだが、勿体無いからな」


「うーん……あ、でもお母さんがご飯もう作り始めてるかもしれないから、また今度お願いします」


「そうか、分かった。まあ、寮の娯楽室などは最近寮生が減ってしまって使うことも無くなったから、文化祭の準備などには使ってもらって構わない。ただし、そのときは寮長室に来て、一言借りますと言いに来ては欲しいが」


 何気なく聞き流しそうになった私は、1つだけ聞き慣れない言葉を聞いて、横から口を挟む。


「あ、あの寮長室って何処ですか?」


「ん? ああ、そうか。小山さんはまだこちらに来たばっかりだったか。岩崎さんも寮生ではないから寮長室を知らないな。寮長室は学校から寮に来る途中で丁字路になっているところを曲がればその先に小さな家が見える。そこが寮長室だ。たまに遊びに来てくれれば、飲み物とお茶菓子くらいは出すぞ」


 笑いながら益田さんはそのまま言葉を続けた。


「食事を作っているか掃除をしている時間以外は大抵寮長室に居る。居ないときは朝食、夕食の買い出しに出掛けていることが多いが、太田理事長か大山学園長に呼ばれて、校舎に居ることもある。ああ、そうだ」


 益田さんは携帯電話を取り出し、自分の電話番号を出してこちらに向ける。


「これが私の携帯電話番号だ。寮長室に居なければ、ここに掛けてもらえばいい。打ち合わせなんかでなければ、すぐに電話が取れると思う」


「は、はい。分かりました」


 私が慌てて電話帳に登録し、1度掛けて番号を確認して頷いた益田さんはエプロンの紐を結び直し、


「それでは今度こそ夕食の準備に戻るよ」


 と言いながら手を軽く振って台所に入っていった。


「ありがとうございました」


 私と岩崎さんが頭を下げて食堂を出ると、すぐに岩崎さんが小声で耳打ちした。


「まあ、たまには遊びに来てくれ、と言われてもなかなか難しいよねー」


「そうですね」


 特にあの益田さんだし。もし、寮長室に行くなら、喋る度に突っ込みを入れるくらいの体力を持っておかないとキツイかも。


「というか、今日初めて知ったんだけど、あの人って寮長さんなんだね。校舎でたまに学校の先生たちと仲良く喋ってたから、事務員さんか何かだと思ってたんだけど」


「学校の校舎で見掛けるときって何をしに来られてるんでしょうね」


「うーん。あれだ、文化祭の前には良く見るから、食事系の出店するときに手続きとかその辺りを任されてるんじゃないかな」


「なるほど、そう言われてみれば……」


 なんてことを言いながら歩いていたら私の部屋に到着。鍵を開けてドアを開くと、待ってましたとばかりに私の頭から飛び降りたテオが私のベッドの上に飛び乗り、伸び伸びと体を伸ばしてから居心地の良い場所を見つけて丸くなった。相変わらず自由人ならぬ自由猫だなあ。


「うーん、何回来てもやっぱり何もなさすぎるよね、小山さんの部屋」


 部屋の中を見回して岩崎さんが一言。


「あはは、まあそうですね」


「でも、結構箪笥は結構ゴツくていいのだよね。備え付けのやつ?」


 言いながら、勝手に私の部屋の箪笥を開け始める岩崎さん。こっちもこっちで自由人!


「あれ、この下着可愛い。これ何処で買ったの?」


 水色のブラを取り出してひらひらとさせる岩崎さん。女同士だとこうやって勝手に同性の箪笥を開けたりするのって普通なんだろうか。単純に岩崎さんだからだよね、きっと。今まで会った女子の中でも、岩崎さんは特別フリーダムだし。


「あ、あの、大体母が買ってきてくれるので、何処で買ったかはあまり意識したことが無くて」


 もちろん自分でも、お母さんが買ったわけでもないから嘘なんだけど。


「そっか、買いに行きたいなーと思ったんだけど、残念。あたしも、ほら、紀子みたいに大きくないから、あたし用のサイズとかもあると思って。まー、これくらいの方が割と色んな種類選べるから逆に困るよねー。結構、良い下着類って高いし」


「そうなんですか?」


「……小山さんって、ホント親に任せっきりなんだね」


「あう」


 ま、まずい。


「その割にこんなに可愛いの持ってるんだから、お母さんのセンスが良いんだろうね。……よし、何かまた欲しくなってきちゃったし、今度皆で下着買いに行こうよ」


「え、あ、うん、そ、そうですね」


 良かった、バレてない。


 ……案外、バレるバレるって考え過ぎなのかな。それはそれで、女の子としか見られていないということだから、喜んで良いのかは分からないけれど。


「でもホント、ちゃんとサイズ測ってもらって、良いのだと1枚で5000円とか軽く超えるからね」


「そ、そんなに?」


 ちょっと想像が付かない。男性用の下着でそこまで掛かった覚えは無いなあ。私が知らないだけかもしれないけれど。


「うん。あたしたちのサイズ……って勝手に小山さん巻き込んじゃったけど、Cくらいまではまだ安い方だよ。紀子のサイズでそこそこ……ああ、園村さん知ってる?」


「園村さん……ってうちのクラスの、あの背の高い?」


 工藤さんと並んで凸凹コンビというイメージしかないけれど。


「背が高いって、それは小山さんの方が高いと思うけどな。ああ、まあそれはそれとして、その園村さんね。で、あたしの見立てだと胸はクラスで1番大きいと思う。多分あれくらいのサイズだと、オーダーメイドしたら多分1万とか軽く行くんじゃないかな」


「うわ……」


 聞いてよかったのか分からない内容とお値段とで2重に驚く。


「逆に安いので良ければ1000円とかでも売ってるよ。まあ、ピンきりだよね。あたしなんかは可愛かったら安いのをついつい衝動買いしちゃう方だから、良くお小遣いがピンチになるんだよねー」


 あははー、と照れ笑いの岩崎さん。


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