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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第16時限目 勇気のお時間 その23

「じゃあ、申し訳ないけれど、テオの面倒見てもらえる?」


「分かったにゃ。代わりに、戻ってきたらノワールの赤ちゃんのこと、そろそろお願いするにゃ」


「あ、そうだね。そろそろ引き取り手を探さないと」


 この前ようやく2回目のワクチンも終わったから、少しずつ他の人とも接しても良いと言われてきていて、私もずっと自粛じしゅくしていた子猫ちゃんたちとのふれあいも始めている。


 だから、そろそろ子猫たちの引き取り手を探さないといけない。


 1人は既に確保されているけれど、他はまだだし。


 みねさんは写真部から情報を得たとか言っていたし、私がどうこう言う前にあの2人言いふらしているかなと思っていたのだけれど、その割にはまだ、うわさを聞きつけて私のところに来る人は居ない。


 何かの交換条件で教えたとか、そういうことなのだとしても、もうこれからは隠す必要は特に無くなるし、むしろある程度広めてくれた方が良い気もするから、相談してみようかな。


 まあ、あの2人もあまり良くない方向でうわさされていそうな気はするから、良い方向に広がってくれるとは限らない気もするけれど。


「あ、そうだにゃ。準、スマホ貸すにゃ」


 今後のことに思いをせていると、みゃーちゃんがそんなことを言ったから、私は思考しこう中断ちゅうだんした。


「え? うん、いいけど……どうしたの?」


 言われたとおり、ロックを解除してからスマホを差し出すと、みゃーちゃんは何やらしばらく操作をしてからスマホを差し返した。


「準の部屋に、テオ用の見守りカメラを置いとくにゃ。そしたら、ここからでもテオの様子が見えるようになるにゃ。多分、今日の夜からになると思うにゃ」


「あ、それ良いね」


 外出先から自宅のペットの様子を見られるカメラって、世の中にはそれなりの需要があるらしく、色んな機能付きが売り出されていた気がするけれど、私には必要ないかなとずっと思っていた。


 でも、今回みたいなときとかも考えると、確かに必要かもしれない。


「他に必要なものがあれば言うにゃ」


「ありがとう。今は大丈夫だよ」


 そう言って、みゃーちゃんの頭をでた。


美夜子みやこの話もそうだが、何か必要なものがあれば言ってくれ。今度来るときになるから、すぐには難しいかもしれないが」


 益田ましたさんも気を利かせてそう言ってくれるけれど、私は首を横に振る。


「今のところは大丈夫です」


 と答える。


 まあ、もしかすると必要なものは出てくるかもしれないけれど、あまり咲野さきの先生たちに迷惑めいわくは掛けたくないし。


 そんな益田さんの横で「あっ」と声を上げたのは咲野先生。


「そういえば、小山さんのお父さんとお母さんは来てない? こんなことになったのもあるしご挨拶あいさつというか、おびをしようと思って……病院に来たら居るかなって思ったんだけど」


「いえ、私が勝手にしたことなので、お詫びとかは別に……それはそれとして、両親はさっきまで来ていたんですが、もう帰りました」


「あ、そうなの? しまった、もうちょっと早く来れれば……!」


 ぐーを握って、咲野先生がそう言うけれど、


「やめておけ。こんなちゃらんぽらんな人間が担任をやっているなんて知ったら、むしろ小山さんのご両親も心配になるかもしれないぞ」


 と鼻で笑うような言い方をした益田さん。


「んぎゃーす!? んなことないでしょ! ねえ、私ちゃんと先生、めっちゃしてるよね!?」


 私につかみかかってからそう尋ねるけれど、私はあはは……と苦笑い。


 ま、まあ、先生しているときもあるけれど、全体的に評価するとちょっと不安方向に針が振れるというかなんというか。


「あれ、私に対するあつかい、ひどくない?」


 しゅーんとする咲野先生。


 まあ、咲野先生は気軽に色々言えてしまう、身近さがあるからだとは思うけれど。


「さあ、真弓、あまり騒がしくしたらいけないから帰るぞ」


「ぎゃー、あ、小山さん、もしご両親が来たら教えてね!」


「あ、はい……」


 いつもの2人の感じで、益田さんが咲野先生を引っ張る。


美夜子みやこはどうする?」


「みゃーはもうちょっと居るにゃ」


 手近な椅子に座ったみゃーちゃんは、振り向かずにそう言った。


「そうか。もし、帰るなら呼んでくれ。車でむかえに来よう」


「ん」


 みゃーちゃんが小さくうなずくのを確認してから、益田さんはわめく咲野先生を引きずって病室を出ていった。


「……相変わらず騒がしい人だなあ」


「まあ、いつものことにゃ」


 やれやれといった態度のみゃーちゃんが、横にあるテーブルの上の袋を見つけた。


「これ、何だにゃ?」


「ん? ああ、それはお父さんが買ってきたプリンパフェみたいなもの? らしいよ」


「プリン! ……た、食べていいにゃ?」


 目がとても物欲ものほしそうにしていたから、


「どうぞ。私、そこまで甘いもの食べられないと思うし」


 と答えた。


 もちろん、食べられないということもないと思うけれど、みゃーちゃんが欲しがっているのであれば、食べてもらった方が良いと思う。


 みゃーちゃんがスプーンでプリンを美味しそうに食べていたのだけれど、


「これ、準のお父さんが買ってきた……ってことは小山先生が来てたのにゃ?」


「うん。あれ、私のお父さんを知って……あ、そういえば月乃つきのちゃんを作るときに、お父さんとお母さんの論文を読んだことあるって言ってたね」


「そうにゃ。準のお母さんの方には、技術以外でも色々お世話になってたにゃ」


 プリンをほっぺたに付けているから、私は袋に入っていたウェットティッシュでいてあげる。


「お母さんも来てたよ。待ってもらってた方が良かったかな?」


「別に良いにゃ。多分、忙しいからってすぐに帰っていったにゃ?」


「あ、うん。良く分かったね」


 そんなに普段の仕事でも忙しそうにしているのかな。


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