表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/960

第3時限目 日常のお時間 その8

 股間のパッドを取り付けるため、スカートと下着を脱いでから、スカートを脱ぐ必要が無いことに気づいて履き直した。スカートに慣れていないと、ついつい下着を脱ぐためにスカートまで脱いでしまうのは女装あるあるかもしれないと思ったけれど、その情報を共有出来る相手が居ないから良く分からない。そして、そんな情報を共有出来る人を増やしたいとは全く全然少しも思わない。別にそういう趣味があるわけじゃないからね!


 股間用のパッドにクリームを塗っているのだけれど、内側に満遍なく塗ろうとすると結構大量消費することになる。これ、毎日塗り替えていてクリーム足りるのかな?


 きっとこの股間用パッドも細部まで精巧に作られているのだろうけれど、その出来を確認しないで履く。パッドを履くという表現が妙だとは思う気持ちはあっても、下着型になっているから仕方がないと思う。そういう意味ではパッドという表現が間違っているのかも?


 見ないようにするとは言いながらも、前後はちゃんと確認しなければいけないらしいから、さっきみゃーちゃんが教えてくれた通り、薄目を開けて確認しながら取り付けようとするけれど。


「あ、あれ……えっと、ここにこうして……あれ、入らない」


「大丈夫にゃ?」


「だ、大丈夫だから!」


 恥ずかしさから、思わず私は力んで答える。


「クリームは塗ったらすぐにくっつく訳じゃないにゃ。完全にくっつくには1分くらい掛かるから、焦らずフィットさせるにゃ」


「う、うん」


 しばらく試行錯誤してようやく収まりの良い状態になったときには、パッドに塗りたくったひんやり肌色クリームが体のあちこちに付着していた。とは言っても、見事に自分の肌と同化しているから、薄く伸ばしてしまえば傍から見ても分からない。


「ちゃんと取り付けられたにゃ?」


「うん、何とか。ちょっとだけ……キツイかな」


「何がキツイにゃ?」


「何でもないからね!」


 制服を着直すと、ニヤニヤと子供らしいいたずらっぽい顔がこちらを向いていた。


「実はこっそり準の着替えシーンを録画していたにゃ」


「えええっ!?」


「……と言ったらどうするにゃ」


「やめてね、本気でみゃーちゃんならやりかねないと思うし」


「みゃーを何だと思っているにゃ」


「んー……」


 今年1番額に皺が出来るくらいに私は思案してから言った。


「素直になれないけれど、誰かに構って欲しくて、でも自分から構ってとは言えないから、目の前で嫌がらせみたいに壁を引っ掻いたりして気を引く子猫?」


「長いにゃ! それにみゃーはそんな回りくどいことしないにゃ!」


「ホントかな?」


 私は苦笑しながら言葉を続ける。


「とりあえず、手を拭きたいからティッシュ貰うね」


 手に残ったクリームをティッシュで拭いていると、ベッドの端に座っていたみゃーちゃんが座っていたベッドからぴょんと飛び降りた。


「ちゃんと全部着けれたか見てやるにゃ」


「え、ええっと……遠慮しとくよ」


「何恥ずかしがってるにゃ。本当の裸を見られてる訳じゃないんだにゃ。ある意味コスプレみたいなもんにゃ」


「こんな恥ずかしいコスプレとか無いからね!?」


「いいから隠さずにちゃんとこっち向くにゃ」


「ううう……」


 僕は一体……いや、私は一体何をやっているんだろう。


「……ん、オッケーにゃ」


 裸をくまなく見られる気恥ずかしさで多分顔は真っ赤だったと思うけれど、とりあえずみゃーちゃんチェックはOKだったので一安心。


 服にも少し付いたクリームをティッシュで拭きながら机の上の時計を見ると、既に4時をもうすぐ越えようという時間だった。


「あ、そろそろ寮に戻らないと……」


「見た目が女の子になったから、銭湯が閉まる前に女風呂に入るつもりにゃ?」


「入らないから! っていうかお風呂入るとパッド取れるから気をつけろって自分で言ってたのに」


「ずっと水風呂に入るだけならバレないにゃ」


「いや、それはちょっと……」


 というかずっと水風呂なんて、いくら何でも寒くて風邪引いちゃうし。


 ……い、いや、そもそも女風呂に入る気も無いけどね!?


「他には何かある?」


「ふん、これだけにゃ。終わったら――」


「さっさと出て行け、でしょう?」


「そうにゃ」


 ベッドの端に座ったみゃーちゃんは私をじろりと見る。いつものことだから、私も私で鞄を持ってさっさと出て行く。


「あ、次回はちゃんと月乃ちゃんに言って、私を呼んでね」


「分かったからさっさと行くにゃ」


 べーっ、とあっかんべーするみゃーちゃんに軽く手を振りながら、私は苦笑いしながら部屋を出る。


「間に合うかな」


 階段を駆け上がり、靴に履き替えて寮までの道を走る。5時に校門前となると、1度戻って鞄を置いて着替えてから校門へ向かわなければならない。時間がかなりギリギリになっちゃうかな。


 生徒はほとんど帰っているようで、部活をしている生徒の声がグラウンドの方からしている以外に人の居る気配は無かった。


 寮までの道は距離はあっても坂道が少ないから割と走りやすい。とはいえ距離が距離だから、結構時間は掛かってしまうけれど。


 運動靴を履いているから今日は良いけれど、登校時に周りの子の靴を見ているとほとんどがローファーだった。多分、制服と同じで学校指定のものがあるはずだから、今後はちゃんとローファーとか履かないといけないかな。正木さんとかなら何処に売っているか知っているかも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ