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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第15時限目 図書のお時間 その10

 翌日。


「……」


 無言のまま、テオを一心に撫でる六名さん。


 昨日「また来ます」と言った六名さんは、宣言通りまた来た。


 ……いや、うん、別に困るとかいうわけでもないから構わないのだけれどね?


 うるさい人だから云々(うんぬん)って言っていたし、おそらく私が座敷童子を目撃したと勘違いし始めたときから、ずっと私を遠巻きに監視していたのだろうと思う。


 ただ、それならばそんなにうるさい人には出来るだけ近づきたくないとか言うのかと思いきや、こうして続けて来るということは、思ったほど嫌われていないのか、それ以上にテオを触りたかったのかのどちらか。


 あまり考えても仕方がないから、私はその疑問を、かぶりを振って場外に吹き飛ばしたのだけれど、そんな私の部屋に違う女の子の声が転がってきた。


「準、子猫のことで……?」


 半開きになっていたからそのまま入ってきたみゃーちゃんが、ベッドに座っている私と、テオを撫でたまま振り返った六名さんを順に見てから言った。


「……準がみゃー以外のちっちゃい子を誘拐ゆうかいしてきたにゃ……」


「してないから!」


 ジト目で私を見たみゃーちゃんに、私が思わず立ち上がって突っ込んだけれど、隣で見ていた六名さんが失敬しっけいだとばかりにすくっと立ち上がった。


「私は高校生」


「みゃーも高校……に住んでるにゃ」


 みゃーちゃんは目をらしながら消防署の方から来ました的な誤魔化ごまかし方をしたけれど、全く誤魔化せていない。


「年齢だって17歳」


 胸に手を当てつつ、六名さんが少しほこらしげに言うから、みゃーちゃんも言い返す。


「……切り上げしたら、みゃーは20歳にゃ!」


「いや、切り上げしたらみんな20歳だよ!」


 思わず心にしまっておいたはずだった声が、心を突き破って飛び出してしまったけれど、さっきから張り合い方が子供っぽいというか……。


 というか、こう言ってはなんだけど、本当に六名さん高校生だったんだ。


 ……ほ、本当に高校生、なんだよね……?


「……ふ、ふん、別にみゃーは高校生じゃなくてもいいにゃ。準!」


「う、うん……?」


 突然呼ばれて、私はちょっと目を丸くしたけれど、


「ベッドの上に座るにゃ」


 と指令を下すから、素直に従って座り直す。


 ベッドに座った私のひざの上に、みゃーちゃんがぽすんっ、と収まる。


 みゃーちゃんの、この部屋に来たときの基本スタイル……なんだけど、前に華夜かよとかまゆちゃんが来たときは、その姿を見られるのが恥ずかしいからか、さささっと私の上からどいていた。


 にも関わらず、今回はむしろ見せつけるように座っている。


 ……ああ、もしかして高校生だと言われたことの意趣返し的な感じで、自分は子供だからこういうことをしてもいいと、そう言いたいのかな?


 いや、でも別にうらやましがられるとか無いから、全く意味がないよねと思ったけれど、


「で、子猫たちのことにゃ。ちょっと大きくなってきたから、準の友達なら触りに来てもいいってことにしようと思うにゃ」


 と少し楽しそうに言うみゃーちゃんが可愛かったから、まあ良しとしようかな。


「大丈夫かな?」


「大丈夫にゃ。小さい頃から色んな人に合わせておいた方が、多分人に慣れるはずにゃ」


「うーん……」


 みゃーちゃんの言うことももっともだとは思う。


 思うけれど……。


「でも、もうちょっと待った方が良いかもしれないね」


 私の言葉に「え、でも……」とみゃーちゃんが少し残念そうに言うから、私は頭をでながらみゃーちゃんに言う。


「もちろん、子猫たちが早い内から色んな人に慣れた方が、テオみたいに人に懐きやすいかもしれないとは思うけれど、まだ1回目のワクチン注射が終わったばかりだったよね? 前に動物病院で聞いたときに、2回目の混合ワクチンがもうちょっとしたらあるでしょう? それが終わって、十分耐性がついてからの方がいいんじゃないかなと思うの」


「……うん、確かにそうかもしれないにゃ。じゃあ、準が言うならそうするにゃ」


 みゃーちゃんがにっこり笑ったから、私はなでなでを続ける。


「それに、ノワールちゃんもようやく落ち着いたばかりで、もう少しだけ落ち着かせてあげた方が良いかなって思うし」


「む、確かにそうにゃ」


 最初会ったときのノワールちゃんは非常に人懐っこかったのに、子供を生んでからしばらくは、私が近づくとびくびくするようになってしまった。


 そんなノワールちゃんが、最近ようやくまた私にすりすりしてくれるようになってほっとしたけれど、これでもしノワールちゃんのところに人が大挙たいきょして押し寄せたら、また神経質な状態に逆戻りするのではという心配がある。


「というわけで、次のワクチンが終わったら――」


 私がそう言い掛けたところで、膝の上に居るみゃーちゃんが半分くらい押しのけられた。


 一体何が起こったのかと思ったら、何故か六名さんがテオを抱えて、私の膝の上半分くらいを占拠せんきょしていた。


 ……いや、ホントに何故!?


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