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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第14時限目 契約のお時間 その19

「……なのに」


「なのに?」


 不機嫌そうな無表情、って言うと何言ってるのか良く分からない感じがするけれど、さっきよりは若干不機嫌度薄めで私を見る華夜。


「準は身長大きいし、女装癖じょそうへきあるし、喧嘩っ早いし、色んなことに首突っ込むし、女装癖あるし、えっちだけど」


「ちょっと待って、女装癖2回あったよね!? ていうか女装は趣味じゃないからね!?」


 生活必需品……違う、生活に必要なだけの自然な行動……うん、もうむしろ言い訳する方が駄目な感じになる感じがある。


 あ、それと最後のも……べ、別に普通の生活をしているだけで、そういう意図で……いや、うん、これも言い訳出来ない感じあるからそれ以上触れないようにしておこう。


 私がちょっとだけ途方に暮れていると、華夜が続きを言った。


「小さい子にはすぐに好かれてた」


「小さい子……あ、みゃーちゃんのこと?」


「多分。寮に来て、2階に上がっていくのを何度も見た」


 だったら、ほぼ間違いなくみゃーちゃんだ。


 流石にまゆちゃんと間違えてはいない……と思う。


 まだ謎に包まれている寮生という可能性も確かにゼロではないけれど、それだったら多分「寮に来て」ではなく「部屋に行く」と言うべきだし。


 もちろん、実は華夜もまだ会ったことがなくて、かつみゃーちゃんくらいの小さな子だったら話は別だけれど。


「どうやって仲良くなったの」


「え、えっと……」


 夜の学校に忍び込んだときに不慮ふりょの事故で正木さんと接吻せっぷんに限りなくちかしいことをしてしまって、それを撮られておどされていたけれど、最終的にはみゃーちゃんが困ったところを助けてあげたら云々……うん、これを時系列通りに話すと結構時間掛かるなあ。


 だから、私は非常に簡略化して言った。


「ちゃんと相手の目線で、優しく接することかなあ」


「私には優しくなかったのに」


「うぐっ」


 えぐるような、するどい言葉に、思わず私は心臓を押さえたくなる衝動しょうどうられつつ、言葉に詰まった。


「そんな準みたいな人間でも好きになってくれるなら、私もなってくれるはず」


ひどい!?」


 たたみ掛けるように言う華夜に、私ががぁん! とショックを受けていると、


「……うそ


 と、少しだけ頬を緩めた、気がした。


「お返し」


「うぐっ……」


 ま、まあ、そうだよね。


「でも、もう満足したからいじめない」


 そう言って、私がようやく安堵あんど吐息といきを床に転がしたら、


「……今日のところは」


 と言うから、私は「えーっ!?」と大仰おおぎょうに驚いた。


 ……1番驚いたのは、少なくとも私が知る限りで、初めて華夜が押し殺したような笑い方をするのを見たことだったけれど。


 許してくれた……のかは分からないけれど、ようやく怒りで天をいていた髪を下ろしてくれたのかな。


 私が若干のに落ちなさを抱えながら、再度溜息をくと、


「準」


 と言いつつ、華夜が私に近づいてきた。


「え、あ、うん。何?」


 呼ばれるがまま、華夜を見ていたら、私の正座の上にまたがって乗ってきた。


「……え、ええっ!?」


 な、何をするの!?


「約束」


「や、約束?」


 唐突な言葉に、私は目をぱちくりさせた。


「そう、約束」


「あの、何の……?」


「もう、私にあんな態度を取らないこと」


 真面目な顔で華夜がそう言うから、私も真面目な顔でうなずいた。


「もし、それをちゃんと守れるなら、私も準に酷いことしないし、言わない」


「う、うん」


「あと、千華留も貰っていい」


「いや、それは駄目でしょ!?」


 当たり前のように、千華留をゆずり渡そうとする華夜。


「…………冗談」


「結構、間が長かったよね!? そこまで悩むこと!?」


「準は細かいこと、いちいち気にしすぎ」


 全然細かくないし、千華留が居る前で言ったら「私ってそんな扱いですかぁ!?」とか言いながら泣きそうだけれど……ま、まあこの場には居ないから良い……いや、良くないけど、もうツッコミ疲れたからもう良いや。


「守れる?」


「うん」


「じゃあ、約束」


 古来から続く、約束の手法。


 それを求めるように華夜が右手の小指を出したから、私もならって『指切りげんまん』をする。


「指切りげんまん、嘘吐いたら――」


「準の体中の血という血を千華留に飲ませた後に、干からびた体を海に沈める」


「怖すぎるよ!?」


 さっきから表情は変わらないのに、華夜のテンションがおかしい。


 ……まあ、私もツッコミのテンションがおかしいけれど、お互い様かな。


 きっと華夜も少しくらいは私との仲直りを喜んでくれているのだろうと思うし、思いたい。


「指切った」


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