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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第13時限目 血縁のお時間 その24

「はー、食べた食べたー」


 片淵さんがそう笑いながら、液体生物かってくらい、ソファに沈み込む。


「紀子も準もちゃんと食べた?」


「うん、たくさん。ありがとう、真帆」


「そうだね、十分頂いたよ」


 片付け中の岩崎さんが、私たちの言葉を聞いて「良かった」と言ってから、台所に足取り軽く入っていく。


「お話に聞いていたよりは元気みたいで、良かったですね」


 こそっ、と正木さんが私に耳打ちする。


「ええ、そうですね……」


 帰ってきたときには、笑顔は見せていたけれど、大分疲れが顔色ににじみ出ていて、大丈夫か不安になった。


 戻ってきてからソファで横になった岩崎さんは、ご両親が戻ってくるくらいまでゆっくりしていたら元の調子に戻ってきたみたいだったから、一安心した私たちはそろそろおいとましようか、と話をしていたら、折角だから晩御飯もどうぞと岩崎家総出そうでで言われて、そのままずるずると食事後のデザートまで頂いたところだった。


「でも、こんなに豪華ごうかな夕食、お呼ばれして良かったのかな?」


「いいのいいの!」


 私が正木さんに、こそっとたずねたところで、岩崎さんがひょこっと横からのぞき込んできてそう言ったから、


「のわっ!」


 と思わず変な声を出してしまい、総一くんに笑われた。


「準は気にしすぎ。もっと素直に受け入れちゃったらいいんだよ」


 岩崎さんが私の隣、正木さんと逆側に座って伸びをする。


「あ、そうそう。総一と光一が今入ってるけど、お風呂も入っていきなよ」


「え? あ、でも……」


 私がちょっと躊躇ちゅうちょしたのは、別に着替えが無いからとか、湯冷めしそうとか、そういう理由ではない。


1日目に着ていた服を洗濯、乾燥までさせてもらったし、湯上がりで夜に歩いても風邪は引かない程度には暖かくなってきたからね。


「何、また遠慮えんりょ?」


「いや、そういうわけでは……ほら、明日も学校あるし」


 まあ、こんなことは言っているけれど、やっぱり体面上というか、ご両親も戻ってきているから家族水入らずの方が良いんじゃないかというか。


 私が下手にそうやって誤魔化ごまかそうとするけれど、


「どうせ家に戻ってからも、お風呂に入るでしょ? ほらほら、紀子と都紀子も入った入った」


 と押し切られてしまう。


 ま、まあ、別に嫌なわけではないから良いのだけれど。


「うえー、ちょっと待ってー。まだお腹いっぱいだからぬぇー」


 まだ固体生物に戻れていない片淵さんがそう言うと、呆れ顔の岩崎さんがやれやれとばかりに片淵さんを見る。


 でも、気持ちは分かる。


 出前で色々注文しておいてくれたみたいで、お寿司とかピザとか、何だかパーティーみたいな感じになっていたから、あれこれと食べ過ぎちゃったし。


「仕方がない。準、まだもうちょっと時間は後になると思うけど、総一と光一が入ったら先に入ってきて」


「ん、分かった」


「よーし、ゲームするぞー!」


 狙いすましたかのように、リビングに入って早々、相変わらずの発言をする総一くん。


 その後から、ぺたぺたと足音を立てつつ光一くんも。


「こら、総一! ちゃんと体拭いてから出てきなさい! ……準、もうちょっと遅いかと思ってたけど……ごめん、人多いから、もう入っちゃってくれる?」


「うん、分かった」


 そこまで無理して入る必要もないような、と思わないでも無かったのだけれど、まあ岩崎さんとしては色々と思うところがあっての行動だろうから、私は素直に岩崎さんの好意に甘えることにする。


 洗面所に入った私は、まず足元が水浸みずびたしになっているのを見て、あははと苦笑した。


 いつも、工藤さんの朝風呂の後がそんな感じだけれど中学生、小学生と同レベルというのはちょっとやっぱりまずいと思うな、工藤さん。


 とりあえず、手近にあった雑巾で床を拭いてから浴室に入った。


 髪、体と順番に洗って湯船に入ると、


「あー、えっとさー、準?」


 扉の向こうから声が聞こえてきた。


 岩崎さんの声?


「ん? どうしたの?」


 着替えはさっき手の届くところに置いたし、タオルも昨日と同じ場所から取ればいいと思うのだけれど。


「えっとさー、湯加減、どう?」


 ああ、そういう質問、良くあるよね。


「うん、丁度良いよ」


「そっか。それなら良かった。あ、それでさ、ちょっと悪いんだけど、人が多いからさ」


「うん」


「あたしも、一緒に入るね」


「うん……え?」


 流れで頷いてから、一瞬だけ思考がフリーズした。


「ほら、2人も戻ってきちゃったし、ささっと、皆お風呂に入らなきゃいけないからさ」


 ややみながら言う岩崎さんに、違和感いわかんがありながらも、拒否きょひ出来る理由はない。


 寮のお風呂では、何度か一緒に入っているんだから今更でしょ? というのは分かるけれど、一応今までは他の子も居たからね。


 ……いや、そういう意味では、片淵さんと2人で入ったりもしてるし――


「い、良いよね?」


「う、うん、良いよ」


 慌てていたのもあるけれど、私もやや噛みながら承諾しょうだくする。


 いや、お互い何を緊張しているのか。


 何もやましいことないから大丈夫!


 一応、女同士だ(ということに世間体的にはなっている)し!


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