表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

326/961

第13時限目 血縁のお時間 その10

 とはいえ、もうしばらく時間があるから料理のことは置いておくとして、再び総一くんに誘われて、ゲームに戻る私。


 だんだんコツを掴み始めてきたのと、探究心というか解析癖かいせきぐせというか、そういうものからコンピューターの動きを読み取る努力をしていた私は、ようやくキャラクターの動きに慣れてきたからか、少しずつは戦いになるようになってきた。


 まあ、もちろん分かったからと言って、すぐにどうにかなるわけではないのだけれど、最初よりは楽しみ方が分かってくると、少し熱が入ってきてしまい、総一くんが夢中になるのも分かるなあと思っていたら、


「そろそろ準備しないとじゃないかなー?」


 と様子をうかがう片淵さんの声が。


 時計を見ると、確かにそろそろよろしい頃合いになっていて、私自身こんな時間になるまで熱中していた驚きと、遊んでばかりだったことに申し訳無さを覚えて、岩崎さんのエプロンを借りて、よしやるぞと気合を入れたところ。


「包丁の握り方はこうで……」


「ふむふむ」


 調理に必要な基本的な情報は正木さんが大体把握していたし、言われながらそういえば学校で家庭科なる科目があったという古びた鍵を脳内で見つけた私は、鍵穴に差し込んでがちゃりと回したお陰で、記憶の箱が開いた気がした。


 ただ、残念なことに、丁寧に鍵を掛けてしまっていた割には中身はほぼゼロに近い状態だったので、結局正木さんに教えてもらって作業をしていた。


 ……そう、作業をしたのは基本的に私。


 何故そうなるかというと。


「猫の手……猫……あいたっ!」


「だ、大丈夫ですか?」


「は、はいぃ……」


 こう言っては、頑張っている本人に対して申し訳ないと思う。


 ……思うけれど、正木さんは、その、思った以上に不器用だった。


 もう、小説とかで出てくる典型的なドジキャラみたいな、指に絆創膏ばんそうこうをあちこちに貼りながら料理を作ってくれるタイプ。


 そういえば、ボーリングも嬉々(きき)としてやり方を教えてくれたけれど、ボールごとずべっと転んでいたのを思い出した。


 ……ああ、うん。


 何というか、そうだね……と何故か納得してしまった。


 知識が無いわけではないのだけれど、初めてと言って差しつかえない私よりも、見ていてハラハラしてしまう不器用さ加減なので、結局私が正木さんの情報を頼りに作業するという形に落ち着いた。


 ちなみに、片淵さんはお皿を並べるとか、箸を並べるとか、調理以外の諸々(もろもろ)をささっと準備してくれるから、そちらは任せることに。


 というわけで、私たちが大体夕食の準備を終わらせたところで、


「あ、お醤油しょうゆが……」


 調理用に使用していた醤油が丁度切れてしまった。


 料理として使用する分は丁度終わったから構わないのだけれど、問題は今日お刺身があるということ。


 冷蔵庫の中や棚の中をのぞいてみても、お刺身専用のお醤油は無いみたい。


「うーん……ちょっと買ってきますね」


 流石にお醤油なしで食べるわけにはいかないから、私がそう言うと、


「じゃあ、待ってるよー」


 と片淵さんが言うのだけれど。


 ちらりと少年2人の様子を見ると、夕食を今か今かと待ちわびている様子だったから、


「ううん、先に食べおいて良いよ。多分、そんなに時間掛からないと思うから」


 一応近くのコンビニにも醤油は売っているはずだから、ここからならそんなに時間が掛からないはず。


 ……と思ったところで、そういえばと思い出す。


「そういえば総一くん。岩崎さん……あ、お姉ちゃんにケーキを受け取ってきてくれって頼まなきゃいけないんだっけ?」


 私が言うと、出来たての唐揚げを口にくわえたまま、うんと頷いた。


 ……うん、先に食べてて良いよとは言ったけれど、ちょっと早すぎるよね。


「ちゃんといただきますはしないと駄目だよ。……じゃあ、私は岩崎さんの携帯持って、ちょっとバイト先まで行ってくるね。お刺身はちょっと後になっちゃうけど」


「はい、分かりました。冷蔵庫に入れ直しておきますね」


 正木さんと片淵さんに後のことをお願いして、私は早足で岩崎さんのバイト先に向かう。


 ここからなら、近いとは言わないけれど、歩いていけないことはないという程度だから、さっきゲームをしながら食べていたお菓子の分だけ動くという意味では丁度いい運動かもしれない。


 むしろ、あれだけお菓子を食べていたのに、総一くんも光一くんも良くそんなにご飯入るなあ、という感じ。


 これが若さ……などとちょっと年寄りじみた考えを抱きつつ、先に岩崎さんのバイト先へ到着。


 別に問題は無いはずだけれど、流石に醤油1本をぶら下げたまま、喫茶店に入るのはちょっと……と思って、私は先にポケットの中に入っている電子機器を本人に渡すことを優先した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ