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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第13時限目 血縁のお時間 その2

「片淵さんのお母さん、単純に片淵さんのこと好き過ぎだから……」


「いや、話聞く限りではどう考えても都紀子ときこのこと好きではないでしょ。まあ、会ったことないけどさ」


 私の言葉に呆れ顔を返す岩崎さんだったけれど、私は首を否定の意思を表す方向に振った。


「ううん。好きすぎるから束縛しちゃうタイプというか」


 私が答えると、目を丸くした岩崎さんが、


「え、マジでそういうタイプなの?」


 と片淵さんに確認を取る。


 まあ、事情を知らないとそうなるよね。


「にゃはは、まあそういうことだねー。今も昔も、その辺りは変わってないっていうか」


 照れくさそうな片淵さんが、


「というわけで、アタシも行くからねー」


 びっと親指を立てて言った。


 翌日、宿泊前提の私と正木さんは家も近いからと、正木さんの家の前に集まって共に岩崎家へ。


 ……というよりも「じゃあ土曜日に!」とか言って別れた後に、そういえば私、岩崎さんの家を知らないじゃん! となったので、正木さんに連絡して、連れて行ってもらうことにしたのが実際のところ。


 うう、情けない。


「結構近いんですよ、真帆の家」


 隣に並ぶ正木さんが言う。


「そうなんですか」


「はい。歩いて10分くらいです」


「確かに結構近いですね」


 まあ、そうでなければ今こうやって歩いて向かうのが無理な話になるのだけれど。


「だから遅刻とかあまりしないんですね」


 岩崎さんみたいなタイプは、こう言っては悪いけれど、ギリギリまで寝ていて、ギリギリ滑り込みセーフ! というタイプかなと思っていたけれど、岩崎さんが遅刻した姿を見たことがない。


「それもありますが、真帆のご両親、旅行に行くのが趣味で、居ない間は大抵真帆が朝早く起きてご飯の準備とかしているので、結構早起きなんですよ。むしろ、私の方が……あ、いえ、なんでもないです」


 少し恥ずかしそうな表情で、正木さんが慌てて話を打ち切った。


「ただ、そうやって早起きなので、どうしても授業中に眠くなってしまうみたいで、居眠りが多いのはそれが原因かもしれません」


「ああ、なるほど」


 それなら仕方がない……かな?


「でも、休日の旅行なら弟さんたちも連れていけば良かったような……?」


 土日で旅行、ということなら弟さんたちも、そして岩崎さんだって連れて行ってもおかしくないと思うのだけれど。


「……そうですね。昔は真帆も連れて行ってもらったりしていたみたいですが、真帆が高校生になってからは、部活が忙しかった真帆がなかなか旅行についていけなくなって。そうしたら、今度は弟さんたちも任せて、最近はご夫婦のみで旅行に行くようになったみたいです」


「それは……」


 ちょっと無責任というか、と続けかけたけれど、岩崎家に到着してしまったから私は口をつぐんだ。


 ただ、正木さんも言いたいことは分かっていたみたいで、少しだけハの字の眉で私を見てから、笑顔に戻し、チャイムを鳴らした。


「はーい!」


 チャイムが鳴ってすぐに、元気の良い男の子が出てきた。


「こんにちは、総一くん」


「あ、紀子おねーちゃん、こんにちは」


 行儀良く頭を下げた少年に、正木さんが続けて尋ねた。


「真帆は居ますか?」


「居るよー。お姉ちゃん、紀子お姉ちゃん来たよー」


 家の中にそう叫んだ、総一くんと呼ばれた男の子は、


「リビングにどうぞー」


 と私たちをうながし、自分も家の中に入っていった。


 私たちも「お邪魔します」と一声掛けてから、言われた通りリビングに入ると、


「あ、紀子、準。来てくれてありがとねー」


 台所で何やら作業中の岩崎さんと、


「お、いらっしゃーい」


 食卓の椅子に座ってジュースを飲んでいる片淵さんだった。


「片淵さん、早いね」


 まだ9時になったところなのに、片淵さんは既にくつろぎモードだったから、私がそう言うと、


「にひひ、まあねー。お母さんがなかなか家から出してくれないだろうと思って、朝早いおばあちゃんが居るタイミングを見計らって出てきたからね」


 と意地悪な表情で笑う。


 片淵さんもお母さんのあしらい方……というと人聞きが悪いけれど、そういうのを覚えてきたみたい。


「おばあさんって何かしてるの?」


「ああ、一応区長だから、町内会の打ち合わせとかには良く出てるんだよねー。お母さんには任せておけん! とか言ってさー」


 苦笑いで言う片淵さん。


 ああ、あのおばあさんなら確かに言いそう。


「ほらほら、紀子も準も、ぼーっと突っ立ってないで、都紀子みたいに座った座った」


 台所をせわしなく歩き回っていた岩崎さんがにこやかにそう言った。


「あ、うん。あれ、もしかして朝ごはんまだだった?」


 岩崎さんが台所で作業をしているから、もしかしてと私が尋ねると、


「違う違う、夜の仕込み。朝ごはんはちゃんと終わってるよ」


 2つのガラスコップにオレンジジュースを入れて持ってきてくれた岩崎さんは、椅子に座った私たちの前に置いてくれた。


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