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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第11時限目 写真のお時間 その7

「だから、あたしたちも犯人が誰か分からないから不安になるし、一体誰が犯人か知りたくなる訳なんだけど、そこで星野たちが、実はあの黒猫ちゃんが犯人なんじゃないかって噂があるって言い始めてさ。最初は冗談でしょ、って思ってたんだけど、あたしも犯人捕まえなきゃって思ってたから、あれこれ話を聞いてたらだんだん本当なんじゃないかって思ってきて」


「……なるほど」


 洗脳と言うよりも、ある意味悪い方向での自己催眠みたいな感じになっていたのかな。


「多分、あたしも焦ってたんだろうね。犯人が捕まれば、もう被害に遭う後輩の子も居なくなるしって」


 岩崎さんが少しバツの悪そうな表情を見せながら慌てた。


「あ、いや、何か暗い話になっちゃってゴメン。別にそういう話をしたかったんじゃなくて、単純にあの2人がそんな話してたってことを言いたかっただけなんだよね。結局、あの黒猫ちゃんはただ妊娠してただけだったし、あの2人の情報も結構いい加減だよね」


「んだねー……ってそういや、あのノワールちゃん? とかいう猫ちゃんの様子はどうなのかねー?」


 そう言いつつ片淵さんが私の方を見る。


「ああ、生まれた子たちはすくすく育ってるよ」


 最近はノワールちゃんと子猫たちの面倒を見るのに忙しいからか、みゃーちゃんが私の部屋に来る頻度は大分減ったけれど、代わりに私自身が寮長室に呼び出されることが増えたので、みゃーちゃんと会う時間はあまり変わっていないか、むしろ増えたくらいかも。


 ちなみに、みゃーちゃん的にはちゃんと子猫たち全員に名前を付けているらしく、教えてもらったけれどまだ覚えきれてはいない。


 ノワールちゃんと同じで、全て海外系の名前だったと思うけれど。


「ってそういえば、その子猫ちゃんたちの話なんだけど……」


 子猫ちゃんたちの話でふと思い出し、私は3人に引き取り手募集のポスター作りについて相談してみることにする。


「とりあえず、ポスターを貼るのは許可を貰ったんだけれど、作るのが中々大変そうだから、ちょっと手伝って貰えないかなと思って」


「貼り紙のお手伝いとかであれば構わないのですが、私はあまりそういうのは得意ではなくて……」


 正木さんが申し訳なさそうに俯く。


「手伝ってもいいけど、そういう準は絵とか描けたりしないの?」


 質問を差し戻した岩崎さんの言葉に、


「私、美術だけは苦手で……。十二色相環とか、そういう知識的なものはあるんだけど、それをどうやって実際に使いこなすかとか、そういうのは全然……。もちろん、基本的には自分で作るつもりだけれど、何かこう、人の目を惹くためにはどうすればいいかを教えてくれる人が居るといいなって」


 と私は素直に答えた。


「準にゃんって何でも出来そうなのに、意外だなー」


「いやいや、何でも出来る訳ではないから……。まあ、まだ子猫の引き取り時期までには時間があるし、そこまで急ぐ必要はないと思っているけれど、ポスター作るのにも時間が掛かるのなら、今のうちに準備だけはしておきたいなって」


 そして、ポスターの話をしながら更にまた別の話題、みゃーちゃんに会いたがっていた少女のことが気になって、


「ああ、また話題が変わって申し訳ないのだけれど……」


 と前置きしてから、新たな話題を振る。


「峰さんって子、知ってる? 1年生みたいなんだけど」


 私の言葉に、ほぼ3人が同時に「あー」という感じの反応を見せた。


「峰って、あの峰蛍ちゃんのこと?」


「あ、やっぱり知ってるんだ」


「というか、あの子も、この前のちっこいのと年齢は同じくらいだったはずだけど」


「……えっ? 何それ」


 岩崎さんの言葉に、私は目が点になった。


「所謂飛び級ってやつ? まだ珍しい方だけど、たまーに居るじゃん?」


「そうだったんだ。私はあまり良く知らないなあ」


「アタシはむしろ、準にゃんが実はそういうタイプなのかなーって思ってたんだけどねー」


 にひひ笑いしながら言う片淵さんの言葉に、あははと私は苦笑いした。


「残念ながらというべきか、私の年齢は皆と同じだよ」


 それにしても……と思う。


 なるほど、あの峰さんという子がみゃーちゃんに会いたがるのも無理はないかも。


 岩崎さんの話しぶりからして、飛び級制度は当たり前にはなっていないみたいだけれど、この高校で似た境遇の子が居るというのであれば、確かに会いたくなっても仕方がないと思う。


「制服着ていたってことは、みゃーちゃんと違って、正式にこの学校の生徒ってこと?」


「そうですね。噂では、峰ちゃんは美夜子ちゃんが居るからここに転校してきた、という話ですよ」


「あ、やっぱりそうなんですね」


「やっぱりって何?」


 私の言葉に、ほぼノータイムで反応する岩崎さん。


「あ、いや。理事長さんにポスターを貼ることについて許可を貰ってきたときに、峰さんが子猫の引き取りとみゃーちゃんに会わせて欲しいって話をしに来たから、みゃーちゃんの知り合いかなって」


 簡単にそう説明すると、


「へー? やけに情報が早いねー?」


 と片淵さんも驚いた様子を見せた。


「うん。それも写真部から聞いたって話だったけど」


 あ、結局また写真部の話題に戻ってきた。

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