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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第11時限目 写真のお時間 その4

「っていうか、実際に体験した桜乃さんに聞いてもらったら1番早いんじゃない?」


「既にそれは調査済みですわぁ」


 私の言葉に、星野さんは即座の回答。流石と言うべきかな。


「吸血鬼問題は、本人の記憶が無いのが最大の問題やっちゅーことはよー分かっとるが、もしかすると何かしら情報を持っている可能性はあるからな。念の為本人には調査済みや」


「それで、結果は?」


 分かっているけれど、念の為確認。


 私の言葉に、左右に首を振る桝井さん。


「なーんにも成果なしや。せやから、本人以外の関係者が目撃してる可能性を考えて、小山に白羽の矢が立ったっちゅーこっちゃ」


「私も現場は目撃していないから、分からないけど」


「でも、あのとき桜乃華奈香の救出が早かったですわよねぇ?」


 まあ、あの場に居たら、そういうことも知っているか。


 こうなったら、下手に誤魔化すよりも、あの2人の話以外は色々話してしまう方が良いのかも。


「そこまで知っているなら言うけれど、私と桜乃さんは地下室に住んでいるみゃーちゃん……美夜子ちゃんと協力して、私たちが囮になりつつ、美夜子ちゃんが学校中の監視カメラを使って犯人を突き止める方法を取っていたの。私は丁度、吸血鬼探しに一区切り付けて、美夜子ちゃんの部屋に戻ってきてたんだけど、桜乃さんから妙な電話があって、監視カメラから離れていったから、不安になって現場に来たら倒れてたんだよ」


「妙な電話とは?」


 当然来る星野さんの疑問に、


「監視カメラに映っていない人物と桜乃さんが話をしていて、その人に付いていくって」


 と自分で答えてから、ふと気づいた。


 ……いや、そもそもカメラに映らないなら、学校の集合写真とかでもカメラに映らないよね?


 そうしたら、誰でもすぐに園村さんが吸血鬼だって気づくんじゃ?


 とすると、もしかして単純にカメラの映像範囲外に、あの天然系吸血鬼が居ただけ、とか?


「知らないですわ、その情報。メモメモっと……」


「やっぱり聞いといて正解やったな」


 どうやらこの情報は知らなかったみたいで、若干自爆感もあったけれど、もし本当にカメラに映らないのであれば遅かれ早かれ見つかってしまうと思うし、それ以前にこの情報自体が私の勘違いなのかもしれない。


「吸血鬼はカメラに映らない……ということは、カメラで片っ端から撮影していけば、その内に映らない人物が出てきて、その人物をとっ捕まえれば良いわけですわねぇ」


 ふふふ、とカメラを持ちながら不敵に笑う星野さん。


「貴重な情報、助かりましたわぁ」


「ありがとさんな」


「いえ」


 よし、何にせよこれでようやく――


「それはそれとして、今後も貴女の監視は続けないといけないですわねぇ」


「何故」


 割と素で、そう返してしまった。


「あの大隅星歌や中居晴海まで、転校1、2ヶ月で手懐けたり、あの変わり者の桜乃華奈香、果てには堅物の太田萌すらも懐柔かいじゅうしたその手腕しゅわん、非常に興味がありますわぁ」


「いや、懐柔というわけでは……」


「太田は真面目ちゃん好きやろうし、あの二見台からの転校生であれば大して疑問は無いんや。問題は大隅と中居や。あいつらが学校内で1、2を争うような問題児で、教師陣も手を焼き続けてたっちゅーのに、二見台からの真面目ちゃん転校生があっという間に仲良くなったと聞いて、実は転校生が二見台で問題を起こして転校させられてきたような、ヤバイのなんちゃうかという噂になってるらしいで」


「……」


 ああ、やっぱりこっちの教師も同じなんだ。


 自分の理解を超えたことがあれば、相手が間違っているとか、そんな考えになるっていう。


 とはいえ、その情報は大隅さん自身も似たような話をしていたから、確かにほぼ確定情報で――


「言っておきますわぁ」


「……?」


 突然の星野さんの言葉に、私は思わず疑問符のみで返した。


「私たちは貴女が何か卑怯な取引をしたとか、そういう疑いで尋ねているわけではありませんわぁ」


「……うん」


「教師が先程申し上げたようなことを考えている、という情報は裏取りが取れている情報ですけれど、周囲の聞き込みから、貴女がそういう人間でないという情報を得てはおりますのよぉ」


「そう」


 私が少しつまらなさそうに言うと、


「私たちは単純に、知りたいだけですのよぉ。まだ知らない、全てのことを」


 と今までみたことがない真剣な眼差しで、星野さんはこちらを見ていた。


「まあ、つまるところ、情報オタクっちゅーわけやな」


「浅葱! 折角、私が良い方向にまとめようとしたというのに……」


 大体貴女はうんたらかんたらと、星野さんが不満を垂れ流し始めたところで、桝井さんは私の首に肩を回して、


「ウチらを、体のいい情報屋と考えてええんやで。ま、その分だけ報酬は弾んで貰わないといかんけどな」


 とニカッと笑ってから、


「何にせよ、これから2人で小山の監視をさせてもらうことになるから、よろしゅうなー」


 と続けた。


 ……ああ、何だか面倒なことになってしまったなあ……。


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