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あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


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第8時限目 変身のお時間 その39

 何はともあれ。


 廃墟ダンジョンをクリアした私と中居さん、大隅さんは3人並んで家路についていた。


 白黒ギャルズの名前は白ギャルの方がゆかぴー、黒ギャルの方がぱるにゃんだということが判明したけれど、まあ今後会うことは無いと思っているし、多分すぐに忘れると思うけれど、覚えられれば覚えておこうかな。


 私たちが建物から外へ出たとき、どうやら“オハナシ”されたと推測されるゆかぴーの彼氏以外の男性陣が横たわっていた。


 そして、何故かその人たちと一緒に、


「こいつら何者だ?」


 という目をしたちょっと怖そうなお姉様方が立っていて、私は立ち竦んだ。何だか最近、怖いお姉様多くない……!?


 私の不安は大隅さんと中居さんの説明で霧散した。


「あー、あれは姉貴の友達だ」


「……お友達……?」


「多分、アタシたちを助けに来てくれたぽよー」


 怖いお姉様たちの表情は大隅さんと中居さんの姿を見て綻んでいたし、私もまとめて頭を撫で付けられたりしたから、さほど怖い人たちではないことが分かったけれど、結構な人数で暗がりに並んで立っているのはどうにかならないですかね?


 そしてそのお姉様方に事情を聞くと、美歌さんがここに来る前に呼び寄せていて“オハナシ”に参加してくれたのだとか。


 ああ、なるほど。ここでノビてる男性陣全員を美歌さんが1人でどうにかしたのかと思っていた。良かった、現実的で……いや、良かったのかな?


 それはともかくとして、美歌さんはお姉様方と共に事後処理した後、バイクで帰るからということで私たち3人は別途徒歩で帰ることになった。


「ホンット、今日は散々だったな」


 大隅さんが頭の上で腕を組みながら言う。


「あははー、ごめんね、星っち」


「晴海が謝ることじゃねーよ。あの白黒のがやったことだったんだろ」


 大隅さんにも白黒扱いされていたゆかぴーとぱるにゃんだったけれど、まあ自業自得だよね。


「それよりも小山。お前、頭殴られたとか言ってたが、本当に救急車呼ばなくて大丈夫か?」


「うん。確かにあのときは痛かったけど、今はそんなにでもないから」


 ほとんど痛みがないことと問題がないことはイコールではないから、本来はすぐに病院とかに行った方が良いのかもしれないけれど、色々と事情が事情だからなあ、と二の足を踏んでいる。


「こやまん、本当にごめんね」


 中居さんがまたぺこりと頭を下げるから、


「ううん、大丈夫。中居さんは悪くないよ」


 と私も大隅さんと同じ意思表示をする。


「小山も言ってるだろ。晴海は別に悪いことしてねーんだから、謝んなよ」


「でも、巻き込んだのはアタシのせいだし……」


「しつこいぞ。お前は悪くねー」


 何だか大隅さんも大隅さんで、意固地いこじになっているようなところはあるけれど、中居さんはどうやらこれ以上何を言っても仕方がないと思ったみたいで、


「ん、じゃあもう謝らないぽよー」


 といつもの、とまではいかないけれど大分重しの取れた雰囲気に戻った。


「そうだ、中居さん」


「んー?」


 ふと思い出したことを聞いてみたくなって、私は中居さんに尋ねる。


「もし、良ければ教えて欲しいんだけど、何で中居さんは髪を染めたの?」


「あー、それかー」


 中居さんは私の言葉に、少し考え込む。


「答えづらければ良いよ」


 地雷を踏んでしまったかなと思って、私は思わずそう言ったけれど、


「マジ大丈夫ぽよー。ちょっと昔のこと思い出しちゃっただけじゃんねー」


 と慌てて中居さんは手を左右に振ってから、私の質問に答えてくれた。


「んー、ゆかぴーとぱるにゃんと仲良かった頃はまだアタシ、黒髪だったんだよね」


「うん」


 髪を染めたのは大隅さんと仲良くなってからだって聞いているけれど、私はそれ以上何も言わずに続きを待つ。


「ゆかぴーとぱるにゃんはあんまし髪染めるの抵抗無かったみたいで、中学入ってそっこー染めたらしいんだけど、アタシはその頃はずっと髪染めるのって悪いことだって思ってたから、ずっと染めて無かったんだよねー。せんせーもうるさいし」


「なるほど」


 私は相槌を打つけれど、逆側に居る大隅さんは何も言わずに聞いている。


「最初は良く3人で遊んでたんだけど、途中からハブられて。そんときはよく理由が分かんなくてさ、あーアタシだけ髪の色が黒のままだったし、見た目が自分だけ違ったから嫌われちゃったのかなーって思って。だから、次仲良くするときには相手に出来るだけ合わせようって、そう思ったぽよー」


「いや、だったらギャルっぽいのと仲良くしなければいいだろ」


 沈黙していた大隅さんがようやく口を開いた。


「んー、アタシも最初はそう思ってたんだけど、アタシぽんこつちゃんだから、頭良い子とは中々仲良くなれないじゃん? そしたら、星っちが一緒に補修受けてたから、もしかして仲良くなれるかも! って思ったワケ」


「あたしに声掛けてきたのはそんな理由だったのかよ!」


 呆れ顔と共に声を上げた大隅さんに、


「えへへ、ごめーんね☆」


 中居さんはいつもの感じで軽く返すけれど、また少し真顔になった。


「でも、結局は違ったみたいなんだよねー。準にゃんは聞いてたと思うけど、アタシが彼氏奪ったとか、そういう話になってたし」


「あ、それ気になってたんだけど、何でだろう」


 中居さんの口ぶりからして、思い当たる節はあまり無さそうなのだけれど。


「確かに男子には何人かからコクられたけど、アタシはゆかぴーとぱるにゃんと一緒に居れればそれだけでいいと思ってたから、全員振ってきただけなんだよね」


「……って間違いなくそれが原因じゃ……」


 思い当たる節有りすぎ。むしろ、節しかないレベル。


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